【第九話】空の上雲の楽園(脚本)
〇けもの道
勇者マーキス「あー、涼しいな」
天使ミア「どうですか? 風の、加減の方は」
勇者マーキス「もう少し、強めに羽ばたいてくれる? 暑くて、汗が止まらないよ」
天使ミア「了解しました。では、そーれー!」
天使ミア「あれ、勇者さん? 何処に、行っちゃったんですかー」
天使ミア「勇者さーん」
〇荒廃した街
高橋 美穂「うおっ!! びっくりした」
勇者マーキス「女の子とは思えない、野太い声が出てたよ」
高橋 美穂「あんたが、突然現れるからじゃない」
天使ミア「美穂ちゃーん、街の人からの聞き込みは終わりましたか」
高橋 美穂「ええ、やっぱり王様は天使たちに天界に連れて行かれちゃったみたい」
勇者マーキス「そうか、つまり王はまだ生きているんだな」
勇者マーキス「なら、ここで立ち止まっている暇は無い。俺たちも、天界に向かおう」
高橋 美穂「天界に行くって言っても、どうするのよ? あの、雲の上にあるんでしょ」
勇者マーキス「あ、それなら大丈夫。ミア、あれを頼むよ」
天使ミア「分かりましたー! 皆さん、その場を動かないでくださいね」
〇西洋の城
高橋 美穂「ちょっと、いきなり何するのよ! 驚いたじゃない」
天使ミア「すみませんー」
勇者マーキス「あの、二回も飛ばされて俺の頭がボロボロなんだけど治してくれる」
天使ミア「分かりました! えーい」
勇者マーキス「さて、ごほん・・・・・・」
勇者マーキス「ここが天界か、来るのは初めてだな」
高橋 美穂「何、ちゃっかり仕切り直しているのよ」
天使ミア「この先に、天界長が居るはずです。先に、進みましょう」
高橋 美穂「あれ? そう言えば私も来ちゃっているけど、良かったのかな」
勇者マーキス「まあ、いざとなったら俺が守ってやる。安心しろ」
高橋 美穂「いや、天界のマナーとか何も知らないし。大丈夫かなって・・・・・・」
勇者マーキス「はっはは! 美穂は怒るのも怒らせるのも上手いからな、どうなることやら」
高橋 美穂「ちょっと、何も面白くないわよ」
天使ミア「皆さん、見てください・・・・・・扉が」
高橋 美穂「ひとりでに、開いている」
勇者マーキス「俺たちを、招き入れているという訳だな。なら、遠慮せず土足で上がらせて貰おうか」