呪われ勇者

jloo(ジロー)

【第七話】竜王の末裔(脚本)

呪われ勇者

jloo(ジロー)

今すぐ読む

呪われ勇者
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇荒廃した街
  廃墟の街に、見慣れない姿があった。
  竜人・・・・・・普段は縄張りから出ようとしない、高潔なモンスター。
  この異常事態を遠目から眺めるのは、同じく異常と呼べる存在だった。
高橋 美穂「ちょ、顔こわ・・・・・・やめてよ」
天使ミア「勇者さんは、本当に竜人のことが嫌いなんですねー」
勇者マーキス「あいつら、あんな所で何をやっているんだ・・・・・・」
勇者マーキス「確かあそこは、玉座の間があった場所のはず」
  三人は、同時に一つの解に辿り着く。
高橋 美穂「奴らが捜しているのって、もしかして」
勇者マーキス「ああ、おそらく大穴だろう。目的は分からないが、このままではまずいな」
天使ミア「もしかして、竜人が学校に一斉に雪崩れ込んできたりして」
高橋 美穂「笑いごとじゃ、無いわね」
勇者マーキス「今・・・・・・殺るか?」
高橋 美穂「だけど、あんな数の竜人に対処できるの」
勇者マーキス「無理だろうな」
高橋 美穂「勇者でも、無理なんだ」
勇者マーキス「それ程、強力な相手だということだ」
天使ミア「ちょちょっと・・・・・・話している間に、竜人の姿が何処にも見当たりませんよ!?」
勇者マーキス「まずい、もう大穴を見つけてしまったか」
高橋 美穂「どうするのよ、早くしないと皆が」
勇者マーキス「考えている暇は、無いようだ。行くぞ」

〇教室
  教室は、騒然としていた。
  負傷者こそ出てはいないが、生徒たちの殆どが縄で拘束されてしまっている。
  一触即発の状態・・・・・・不穏な緊張感が、場の空気を支配していた。
勇者マーキス「邪魔するぜ」
竜人の青年ダイアン「貴様、何者だ」
勇者マーキス「ここに居る生徒たちからしたら、お前らの方が何者だ? っていう状況だと思うけど」
竜人の青年ダイアン「話が通じんな・・・・・・」
勇者マーキス「お前らの目的は、何? どうやら、生徒たちを痛めつけることでは無いことは確かなようだけど」
竜人の青年ダイアン「それは・・・・・・」
竜人の子オーちゃん「ガル!」
勇者マーキス「オーちゃん?」
竜人の青年ダイアン「あ、貴方・・・・・・貴方様は!!」
  オーちゃんが姿を見せた瞬間、その場にいる竜人の全てが一斉に跪く。
  その瞬間、俺は彼らの目的を悟ることになる。
竜人の青年ダイアン「お前が、オーシュ様を誘拐した犯人だったという訳か」
勇者マーキス「知らないよ、向こうから勝手に来たんだもん」
竜人の青年ダイアン「オーシュ様を、こちらに引き渡せ」
高橋 美穂「オーちゃん、もしかしてこれでお別れなの」
天使ミア「仕方が無いですよ、仲間が見つかったんですもん」
天使ミア「これが、オーちゃんのためなんです」
勇者マーキス「断る」
高橋 美穂「え」
竜人の青年ダイアン「ほう、何故だ」
勇者マーキス「貴様らは忘れたかもしれんが、勇者と竜人には古き因縁がある」
勇者マーキス「姫を攫い殺した罪を思い出せないのであれば、今ここで記憶に刻んでやろう」
竜人の青年ダイアン「は、何を言い出すのかと思えば昔のことか。今更、何を」
  二人は、それ以上言葉を交わすことは無かった。
  何故なら、勇者がそれを断ち切ったから。
  竜人は、周囲の仲間に人質を連れて行くように指示を出す。
竜人の青年ダイアン「どうやら、交渉決裂のようだな」
竜人の青年ダイアン「オーシュ様を引き渡すのなら、生徒全員を解放してやろう」
竜人の青年ダイアン「しばらく、頭を冷やして考えて来い」
  言い残すと、竜人たちは人質を連れて窓の外へ飛び立ってしまった。
勇者マーキス「はぁ・・・・・・はぁっ」
高橋 美穂「ちょっと、何てことしてくれるのよ! 皆が、連れて行かれてしまったじゃない」
天使ミア「そうですよ。確かにオーちゃんと別れるのは、寂しかったですけど」
勇者マーキス「く、ごめん。少し、気が動転してしまっていたみたいだ」
高橋 美穂「もう・・・・・・竜人嫌いがここまでとは、思っていなかったよ」
勇者マーキス「幼い頃から、勇者として育てられてきたんだ」
勇者マーキス「竜人が犯してきた罪の数々は、よく知っている」
高橋 美穂「勇者にとって、それがとっても大事なことだっていうのは分かるよ」
高橋 美穂「だけど、今は我慢しなきゃ。人の命が、掛かっているんだよ」
勇者マーキス「・・・・・・ああ、分かっている」
天使ミア「今から、竜人たちに再び会いに行きましょうよ。きっと、次は上手くいきますから」

次のエピソード:【第八話】鍔迫り合い

ページTOPへ