【第六話】しばしの別れ(脚本)
〇けもの道
高橋 美穂「あはは、オーちゃん。痛いってば、噛みつかないでよ」
竜人の子オーちゃん「ガル、ガル」
高橋 美穂「痛いよ!!」
竜人の子オーちゃん「ガル・・・・・・」
天使ミア「美穂ちゃんは、おっかないな・・・・・・」
高橋 美穂「おっかないのは、オーちゃんの方よ。段々、気性が荒くなってきたんだから」
勇者マーキス「だから、言ってるじゃん。竜人は、怖いんだぞーって。ずっと!! 前から!!」
高橋 美穂「あながち、勇者の発言も無視出来ないようになってきたわね」
高橋 美穂「どうする、逃がす?」
天使ミア「逃がすって、一体何を言っているんですかー! また、スライムに食べられちゃいますよー」
高橋 美穂「ははは、冗談よ」
竜人の子オーちゃん「ガル・・・・・・」
勇者マーキス(オーちゃんは、冗談と思っていないようだな)
勇者マーキス「で、どーすんの? やっぱり、美穂ちゃんは危険だから帰った方が良いと思うんだけど」
天使ミア「王様にも、会えませんでしたからね。今頃、どうしているんでしょう」
勇者マーキス「生きていることを、信じたいけどね・・・・・・」
高橋 美穂「昨日の戦いでも思ったけど、やっぱり私は足手纏いなのかもしれない」
高橋 美穂「大人しく、帰った方が良さそうね」
天使ミア「私も、美穂ちゃんは帰った方が良いと思う。・・・・・・寂しいけどね」
勇者マーキス「明日、大穴の元まで送り届けるよ。探せば、何処かにある筈だ」
高橋 美穂「そうだね! あんな大穴、土で埋まっちゃうなんてことも無さそうだし」
天使ミア「そうだね、明日探してみよう」
高橋 美穂「ところで、その場合オーちゃんはどうするつもりなの」
勇者マーキス「あー、そうだったね。どうしようかな・・・・・・」
勇者マーキス「本当は、逃がすのが一番なんだけど」
高橋 美穂「駄目よ」
勇者マーキス(さっき、自分でも言っていたことなんだけどな・・・・・・)
勇者マーキス「じゃあここに居るのも危険だし、一旦美穂に預かっていて貰うことになるかな」
高橋 美穂「それが、良いわね。学校の皆で、面倒見るわ」
天使ミア「私は、天界に戻らなきゃいけない。もし生きているなら、王様を解放して貰えるかもしれないし」
勇者マーキス「それなら、俺も付いていくよ」
天使ミア「勇者さんが、どうしてですか?」
勇者マーキス「いや、仮にも主君が捕らえられているかもしれないんだよ? 直談判しに行くのが、道理じゃないか」
天使ミア「でも、大丈夫かなー? 天界長、怖いから」
勇者マーキス「悪いようにはしないさ、なるべく大人しくしているから」
天使ミア「ふぇーん」
高橋 美穂「何だか、大変そうね。私は側で見守ることは出来ないけど、応援している」
高橋 美穂「この世界の人間も、私たちと同じように生きているんだもん」
高橋 美穂「きっと、平和な世界が訪れるんだって信じてる」
勇者マーキス「そうだな、俺も肝に銘じておくよ。勇者として・・・・・・」
天使ミア「ふぁー、眠い。今日は、もう眠りましょうよ」
勇者マーキス「そうだな、俺も疲れた・・・・・・筋肉痛だ」
高橋 美穂「あんたは、筋肉無いでしょうが」
高橋 美穂「おやすみ、皆。あと少ししか一緒に居られないけど、絶対また会えるから」
勇者マーキス「ああ、必ず」