悪魔のアリス

YO-SUKE

第16話 『幻覚の中で』(脚本)

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〇火葬場
阿部美香子「今、こちらでは殺害された警察官、亀井綾子さんの葬儀が営まれております」
阿部美香子「亀井綾子さんは、もう一人の犠牲者となった相馬孝之さんと共に、片腕を切り落とされた状態で発見されました」
阿部美香子「これは狼おじさんとの関連も――」
  ふざけんな!!
  美香子とカメラマンが声の方を見ると、犬伏が同僚たちに押さえつけらていた。
犬伏徹「綾子が殺されるなんて、そんなことがあってたまるかっ!!」
阿部美香子「被害者の同僚の方、でしょうか?」
犬伏徹「僕は絶対に信じない!!」

〇葬儀場
  葬儀場では、祭壇に飾られている綾子の遺影をアリスが茫然と眺めていた。
佐川アリス「・・・・・・」

〇黒
  残りのターゲットは、金井五郎、佐藤淳、相馬孝之、金城アキラ、竹岡純一郎の5人だろ?

〇葬儀場
佐川アリス「あたしが綾子に、相馬孝之のことを調べて欲しいと頼んだ」
佐川アリス「そして綾子は事件に巻き込まれた」
佐川アリス「・・・あたしが殺したようなものだ」

〇警察署の食堂
新井和樹「眠剤・・・か。 そんなの飲んで、会議で寝るなよ」
佐川アリス「これ飲むと落ち着くので」
新井和樹「・・・ふん。好きにしろ。 もうすぐ会議始めるからな」
  アリスも席を立ち上がろうとするが、背後にふと気配を感じる。
  先輩、寝てないんですかー?
佐川アリス「!?」
佐川アリス「・・・気のせい、か」

〇大会議室
新井和樹「以上の点から、亀井綾子は──」
武田静香「ちょっと待って」
新井和樹「?」
武田静香「佐川アリス。無理しないで休みなさい。 あなた顔色悪いわよ」
佐川アリス「・・・大丈夫です」
武田静香「・・・・・・」
佐川アリス「犬伏があんな状態で、須藤刑事も体調を崩して休んでいます」
佐川アリス「・・・今、自分が休むわけにはいきませんから」
武田静香「悔しいのはあなた一人じゃない。 あなたの苦しさはわかっているつもりよ」
佐川アリス「新井刑事、続けてください」
武田静香「・・・まったく」
新井和樹「続けても?」
武田静香「どうぞ」
新井和樹「亀井綾子は、おそらく相馬孝之の殺害現場を目撃し、口封じのために狼男に殺害された・・・この線が有力だと思います」
新井和樹「相馬には幼児虐待等の犯罪歴が多数ありましたが、亀井綾子には──」
佐川アリス「あるわけない、ですよね?」
新井和樹「ええ」
佐川アリス「・・・・・・」
武田静香「謎は、切断されたのが右腕だったっていうところかしら」
新井和樹「はい、今までの被害者はすべて左腕が切断されていました」
武田静香「突発的な殺人だったから、右と左を間違えた・・・なんてことはなさそうよね」
新井和樹「ええ。ですが、きっと何か理由が──」
  アリス先輩、みーっけ!♪
佐川アリス「!?」

〇大会議室
亀井綾子「探しましたよ、アリス先輩」
佐川アリス「!!」
武田静香「どうしたの?」
亀井綾子「私が死んだと思ってました?」
佐川アリス「なんで・・・どうして・・・」
新井和樹「おい。どこを見て言ってるんだ?」
亀井綾子「アリス先輩は人を信用しすぎるんですよ」
亀井綾子「人間なんて一皮むけば、みんな怪物なんだから」
佐川アリス「綾子──」
武田静香「綾子? あなた何を――」
新井和樹「おい! 一人で何をぶつぶつ言ってるんだ!?」
亀井綾子「私、犬くんの代わりだって、アリスさんのパートナーだって頑張ってたのに、酷いじゃないですか」
佐川アリス「・・・・・・」
亀井綾子「先輩のこと信じてたのに」
佐川アリス「綾子──あたしは」

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