【第一話】勇者は呪われてしまった!!(脚本)
〇謁見の間
王ジョージ「おお、勇者よ・・・・・・情けない」
王ジョージ「まさか、其方がこのような失態をやらかすとはな」
勇者マーキス「いえ、これには事情が。それに、戦闘能力が衰えた訳でもありませんし・・・・・・」
王ジョージ「うるさい! 罠にはまって呪われてしまう勇者なぞいらんわ」
王ジョージ「お前は、追放だ。代わりの勇者なぞ、いくらでもおる」
勇者マーキス「・・・・・・分かりました。すぐに、この場を去ります」
王ジョージ「待て」
勇者マーキス「・・・・・・へ? まだ何か、御用でも」
王ジョージ「誰が、大人しく返すと言った! 其方は、大穴送りだ」
勇者マーキス「大穴って・・・・・・かつて大罪人を落としたと言われる、あれですか?」
勇者マーキス「まさか、実在したなんて・・・・・・」
王ジョージ「そうだ。長らく使われてこなかったが、今がその時だ」
王ジョージ「其方が儂にクビにされたとでも触れ回れば、名誉に関わるからな」
勇者マーキス「そんな、身勝手な理由で・・・・・・」
王ジョージ「安心しろ、勇者は魔神と戦って勇敢に死んでいったことにしてやる」
王ジョージ「この先元勇者として惨めな暮らしを続けるよりも、随分な待遇だと思うがね」
勇者マーキス「自分の権威を、守りたいだけだろ」
王ジョージ「聞こえんな。勇者・・・・・・名前は、何だったかな? まあ、良い」
王ジョージ「お別れだ」
〇暗い洞窟
玉座の裏には、隠し通路があった。
湿った苔の匂いを嗅ぎながら、俺は暗闇の奥へと誘われていく。
突如背中を襲った衝撃は、一瞬鈍い痛みを感じさせたが・・・・・・徐々に頬に伝わる風の感覚すら、感じなくなった。
死の予感だけが、頭の中を駆け巡る。
やがて、視界の先に光る何かが見えた。
あれが、大穴の底なのか? 疑念の答えを探る間もなく、その光の中へ身体は吸い込まれていった。
〇教室
勇者マーキス「いてて。くそ、何なんだここは? 俺は、一体・・・・・・」
女子学生「きゃああぁああああ!! 化け物よ」
男子学生「が、骸骨? 突然、落ちてきた・・・・・・」
勇者マーキス「何となく、まずい状況なのは分かるぞ」
勇者マーキス「すまないが、諸君ら。俺に、事情を説明してくれないか」
男子学生「いや、さっき言った通りなんだけど」
女子学生「と、とにかく! 天使ちゃんを呼んで来ようよ。彼女なら、何か分かるかもしれないし」
男子学生「化け物には、化け物をぶつけるって訳か。そりゃあ良い」
女子学生「もう、そんなこと言わないの。あなた、いつも天使ちゃんに勉強を教えてもらっているの知っているんだから」
男子学生「な、別に俺から頼んでいる訳じゃ・・・・・・」
勇者マーキス「ちょっと、状況が分からないよ!! 雑談していないで、俺に分かるように説明して」
男子学生「あ、天使ちゃん・・・・・・」
勇者マーキス「え、あの子のこと? ただの、可愛い女の子にしか見えないけど」
天使ミア「あー、大変だ! 骸骨さんの頭に、大穴があいちゃっているよ」
勇者マーキス「ん、あれ本当だ。というか、まず気にするところ・・・・・・そこなの」
天使ミア「少し、じっとしていて・・・・・・すぐに、終わるから」
勇者マーキス「え・・・・・・天使? なんで、天使が地上に居るの」
天使ミア「ごめんなさいー、あなたの呪いまでは、私の力で解呪することは出来ませんでした」
勇者マーキス「・・・・・・俺の声、聞こえてないのかな? 骸骨だから、舌無いし」
高橋 美穂「あ、ちょっとミア!! 掃除が大変だから、羽を広げないでって言ったでしょ」
天使ミア「すみませんー」
高橋 美穂「で、貴方は?」
勇者マーキス「もしかして、ようやく話の通じる人に巡り合えた感じ?」
高橋 美穂「それで、誰なの!? もしかして、私たちの敵かしら」
勇者マーキス「いや俺、勇者なんだけど・・・・・・何で、こんな扱いを受けないといけないの」
「勇者ぁー!?」