〇教会の中
少年「牧師さま〜」
牧師「ん？」
少年「お話して〜」
牧師「あぁ・・・お兄ちゃんに聞いたのかな」
少年「うん」
牧師「楽しい話ではないよ？」
少年「うん」
牧師「・・・」
牧師「じゃあ話そうか」

〇黒背景
　　これは私の家系に伝わる・・・
　　数百年前に実際にあったとされる・・・
　　悪魔伝説

〇西洋の街並み
男A「神様聞いてください」
男B「俺の話も聞いてください神様」
神サマ(？)「はい 順番に聞きますよ」
　　神様と呼ばれたソレは皆に教えを説き、
　　皆を豊かにした
　　神様はたいそう皆から慕われた
　　でもそれが人々を狂わせていった・・・

〇西洋の街並み
男A「お前は神様の教えを理解できていない」
男B「自分に都合のいい解釈を振りかざすな」
神サマ(？)「皆さん落ち着いて」
神サマ(？)「争ってはいけません」
男A「自分の間違いを見つめ直すべきだ」
男B「お前がな」
神サマ(？)「・・・」
牧師「最近あまり良くない雰囲気ですね」
神サマ(？)「そうですね」
牧師「皆、神様に褒めてもらいたいだけなのでしょうが・・・」
神サマ(？)「・・・」
牧師「どうされました？」
神サマ(？)「私はここを去ろうと思います」
牧師「そんな・・・」
神サマ(？)「その本・・・ 私の教えを書いてるのでしょう？」
牧師「えぇまぁ・・・」
神サマ(？)「これからは貴方が皆を支えてあげて」
　　この本には神様の言葉がきっちりとある
　　だがそれは私の口から発されれば
　　途端に意味を持たなくなった・・・

〇西洋の街並み
　　神様が去ってから数年後・・・
　　二つの派閥に分かれた人々の争いは・・・
　　激化していた
男A「邪教徒共は皆殺しにせよ!!」
男B「お前らこそ死ぬべきだ!!」
牧師（この村ももう終わりだな・・・）
牧師「力及ばぬ私をお許しください・・・」
神サマ(？)「・・・」
牧師「・・・」
牧師「戻ってくださったのですか・・・」
神サマ(？)「・・・」
神サマ(？)「・・・・・・」
牧師「神・・・さま・・・？」

〇西洋の街並み
神サマ(？)「・・・」
「神サマ!?」
男A「これは良いところに」
男A「私共の解釈が正しいと言ってやってください」
男B「いえ、我々の考え方こそ正しいですよね？」
神サマ(？)「・・・」
神サマ(？)「・・・フフ」
神サマ(？)「アハハハ・・・」
神サマ(？)「アーハッハッハッハ」
「神・・・さま・・・!?」
神サマ(？)「バカすぎる・・・フフ」
男A「なんだと・・・」
男B「悪魔だ・・・」
男B「そうだっ!!」
男B「コイツは神なんかじゃない」
男A「そうだっ!! 我々は騙されていたのだ」
「殺せっ!!」
牧師「待ってくれみん──」
　　私はそれ以上、踏み出すことができなかった・・・
　　そのまま神様・・・いや、悪魔は死んだ
　　団結した人々が悪魔を成敗したのだ

〇教会の中
少年「悪魔がケンカを仕組んだってこと？」
牧師「そうだね」
牧師「人を憎むとき・・・ 悪魔がそこにいるのかもしれない」
少年「ボク悪魔なんかに負けないもん」
牧師「その意気だ」
牧師「・・・」
　　この話をするときの決まりがある・・・
　　それは・・・
　　神様の気持ちを決して明かさぬこと
　　アナタがあの時、そう望んだ通り・・・

〇西洋の街並み
牧師「待ってくれみん──」
　　神様はこちらを一瞥して、優しく微笑んでくれた
　　『これでいいの』と言われている気がして
　　私はそれ以上動くことが出来なかった
　　神様は殺された
　　争っていた人々が一丸となって自分を殺すその様を・・・
　　どこか満足そうに見つめながら・・・

〇教会の中
牧師「これが償いになるかはわかりませんが・・・」
牧師「我々は末代まで語り継ぐと誓いました」
牧師「アナタの”裏切り”を・・・」
少年「ねぇ」
牧師「おや、戻ってきたのか？」
少年「さっきの話だけど・・・」
少年「やっぱり人間が悪くない？」
牧師「・・・」
牧師「フフ」
牧師「そう感じたならそうだ」
少年「とりあえずボクはケンカしないようにする」
牧師「・・・」
牧師「やれやれ・・・」
牧師「話し方を考えないといけないな・・・」