気まぐれ短編集

春島傑郎

『ノーコンテスト』 (味付:男の友情)(脚本)

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〇病室
カツオの友人(あと二手で詰むな)
カツオ「う〜ん」
カツオ「そうするとこう来るよなぁ・・・」
カツオ「ハハッ」
カツオ「・・・」
カツオ「・・・・・・」
カツオ「おりゃあ〜〜!!」
  突然、将棋盤と駒が宙を舞う
カツオの友人「何しやがんだクソ野郎!!」
カツオ「ノ〜コンテストッ」
カツオの友人「はぁ・・・片付ける方の身にもなれよな」
カツオ「病気のせいで調子が出ないなぁ」
カツオの友人(相変わらず凄まじい負けず嫌いだな)
  散らかった駒を片し、帰る支度をする
カツオの友人「そろそろ行くわ」
カツオ「また来いよ」
カツオの友人「負けを認めん奴とはもうやらん」
カツオ「負けてはないからな」
カツオ「それに・・・」
カツオ「あと何回出来るかもわからんしな」
カツオの友人「・・・」
カツオの友人「・・・・・・」
カツオの友人「お前さぁ・・・」
カツオの友人「病気には負けを認めんのな」
カツオ「・・・」

〇オフィスのフロア
カツオの友人「もしもし」
カツオの友人「・・・」
カツオの友人「わかった」
カツオの友人「すぐ行くよ・・・」
カツオの友人「・・・」
カツオの友人「・・・・・・」

〇黒背景
  数年後・・・

〇狭い畳部屋
  突然、将棋盤と駒が宙を舞う
カツオの友人「またやりやがったなクソ野郎!!」
カツオ「ノ〜コンテストッ」
  カツオは心肺停止から奇跡的に復活した
  どうも病魔相手にも通用するようだ
  ノーコンテスト(無効試合)は・・・
カツオの友人「いい加減負けを認めやがれ」
  あの時より、随分高く飛び上がった将棋盤を見ると・・・
  少し安心してしまう
カツオ「負けてはないからなぁ」
  いや・・・
  やっぱムカつくわ

コメント

  • 短編なのにメッセージ性が強い!
    とても素敵な作品でした
    男の友情、ビシッと言って喝を入れる感じでしょうか
    こられも優しさ。素敵です

  • いつか2人のどちらかが寿命で死ぬその時に、果たして負けを認めるのかそれとも意地を張るのか。2人のこれからの友情物語が目に浮かびました。

  • これは、心を揺さぶられます!
    「病気には負けを認めんのな」この強い一言が心にずっと残ります。そこからのハッピー(?)エンドがたまりませんね!

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