03 「トウヒ村と森林狼 その2」(脚本)
〇森の中
ククル「ふぅ・・・ やっと着きましたね!」
ククル「ここが フォレストウルフ が 住み着いている森です。」
コスモ「へぇ~・・・ 思ってたより綺麗な場所だね。」
ククル「そうですね・・・ でも、魔物の住処ですから、 "勇者様"方といえど気を抜かないで下さいね!」
ソーレ「・・・」
コスモ「そうだね。 気をつけて行こう。」
〇森の中
コスモ「ねぇ、本当にここにいるの? この森に入ってから、 一切魔物を見ていないけど・・・」
ククル「は、はい! 確かにこの森に入って行くのを見ました!」
ククル「それに、農作物を奪われたのも 一度だけではありません!」
ククル「その度にこの森に入って行くのを見たので、絶対にこの森にいると思います!」
コスモ「・・・」
コスモ「・・・それが相手の作戦だったりするのかもね。」
ククル「え?」
ソーレ「・・・罠かもしれないということ?」
コスモ「うん。 もし、その魔物たちに知性があるのだとしたらだけど。」
コスモ「悪いことをしているのに、 わざわざ自分達の住処を教えるかな? って。」
コスモ「まぁ、魔物だから悪いって思ってないかもしれないけど・・・」
ククル「そ、そんな・・・ では、次村の畑が襲われるのを 待てと・・・?」
ソーレ「・・・いえ。 その必要は無いみたい。」
ククル「い、いました! あれが フォレストウルフ です!」
コスモ「声がデカいよ! 気づかれるでしょ!?」
ククル「す、すみません・・・」
ソーレ「・・・もう気づかれているみたいよ? 恐らく、この森に入ったときから。」
ククル「どういうことですか?」
ソーレ「ほら、後ろ。 囲まれてるみたい。」
コスモ「・・・」
コスモ「罠ではあったね・・・ うん・・・」
ククル「どどどど、どうしましょう!?」
コスモ「う~む・・・ どうしようかな・・・」
コスモ「結構数が多いし、二人だと 結果しんどそう・・・」
ソーレ「・・・」
ククル「ど、どうすれば・・・」
コスモ「うーん・・・」
コスモ「あ、そうだ! ソーレ、ちょっといい?」
・・・
フォレストウルフ「グルルルルルルッ・・・!」
コスモ「はぁぁぁぁ!」
ククル「だ、大丈夫なんですか? コスモさん一人でなんて・・・」
ソーレ「黙ってて。 集中してるから・・・」
ククル「す、すみません・・・ あぁ!コスモさんが・・・!」
ソーレ「・・・!」
ソーレ「コスモ!!」
コスモ「集まったぞ! 遠慮しないで!」
ソーレ「詠唱範囲火炎・・・ 〘ライナフレイアレス〙!!!」
ククル「あぁ! コスモさんまで!」
ククル「ソーレさん!? なにをやってるんですか!?」
ソーレ「大丈夫よ。 彼、死んでも死なないから。」
ククル「え・・・?」
コスモ「あっつ〜・・・」
コスモ「でも、結構減ったな。」
コスモ「よし! このまま親玉まで一直線だ!」
ククル「えぇ!? なんで生きてるんですか!?」
ソーレ「貴方、さっきからうるさい。」
ククル「す、すみません・・・」
コスモ「たぁぁぁぁぁぁ!!!」
コスモ「はぁ・・・はぁ・・・ やっぱ殴るだけじゃ倒せないか・・・」
コスモ「でも、辿り着いたぞ・・・! お前がボスだな?」
フォレストウルフの長「・・・」
コスモ「いざ、勝負!」
フォレストウルフの長「・・・?」
コスモ「痛って〜・・・ くそっ・・・」
フォレストウルフの長「何故、生きている・・・? 確実に心臓を切り裂いたはずなのに・・・」
コスモ「残念ながら、俺は死んでも死なない・・・」
コスモ「敵に回した時点で、 貴様らの勝ちは無い・・・」
フォレストウルフの長「そうか・・・」
フォレストウルフの長「・・・」
フォレストウルフの長「我々の負けだ・・・ 降参しよう。」
コスモ「えっ!? そんなあっさり・・・?」
フォレストウルフの長「皆の者!!! 彼らを攻撃するのを止めよ!!!」
フォレストウルフの長「我々の敗北だ!!! これ以上抵抗するな!!!」
ソーレ「・・・流石ね。 もう、話がついたみたい。」
ククル「えっ!? もう、何がなんだか・・・」
ソーレ「コスモ!」
コスモ「ソーレ! お疲れ様!」
ククル「だ、大丈夫なんですか? その・・・」
フォレストウルフの長「・・・すまなかったな。 村の民よ・・・」
フォレストウルフの長「お主達の食糧を奪ってしまったこと、 詫びをさせてもらう・・・」
ククル「えっ・・・! あ、あぁ、いえ・・・」
ククル「そ、その・・・ 何か事情があったんですか・・・?」
ククル「ここにいるフォレストウルフ達皆、 随分と痩せ細っているというか・・・」
フォレストウルフの長「・・・先程この者にも話したのだが、 数ヶ月前から、この森の泉の水が何者かによって汚染されているのだ・・・」
フォレストウルフの長「そのため、我々の食糧であった魚や この付近に住んでいた動物達もこの森から離れて言ってしまったのだ・・・」
ククル「だから村の農作物を・・・?」
フォレストウルフの長「本当にすまないと思っている・・・ だが、我々も生きるためにはこうする他なかったのだ・・・」
ククル「・・・」
ククル「人間の言葉が話せるのなら、 最初から話してくれれば良かったのに・・・」
フォレストウルフの長「・・・」
ソーレ「それは無理でしょう・・・ この世界の多くの人間は、 魔物に対して少なからず恐怖心を 抱いているでしょうから。」
ククル「そ、それは確かに・・・ でも・・・!」
コスモ「まぁまぁ。 話し合いは今からでも出来るでしょ?」
コスモ「これからお互いに納得がいくまで 話し合えばいいじゃん。」
ククル「・・・」
フォレストウルフの長「・・・」
・・・
ククル「それでは、こういうのはどうでしょう?」
ククル「僕たちトウヒ村の安全を守ってくださる 変わりに、僕たちからは農作物の一部を 貴方方に分け与える。」
ククル「これなら、お互いができないこと・・・ 得のある取引だと思うのですが。」
フォレストウルフの長「・・・」
フォレストウルフの長「いいだろう・・・ 我が一族から何匹かを村の護衛として 連れて行ってくれ。」
フォレストウルフの長「食糧の配送は、護衛役の交代のときに ここに持ってこさせるというので 良いな?」
ククル「はい。 そこまでして頂けるなら 何も問題ありません。」
フォレストウルフの長「そうか・・・ 感謝する。」
コスモ「・・・まとまったみたいだね。 それじゃあ、ソーレ。 僕らは行こうか。」
ソーレ「・・・ええ。 行きましょうか。」
ククル「・・・あれ? お二人共、村に戻るんじゃないんですか?」
コスモ「いや、僕たちはまだやることがあるから。 ククルくんは先に戻ってて。」
ククル「・・・? 分かりました! それでは、また後で!」
コスモ「うん。 また村でね〜。」
〇黒
〇森の中の沼
コスモ「おっ! あれが泉かな?」
コスモ「誰もいないか・・・」
ソーレ「そのようね。 でも、何が沈んでいるみたい。」
コスモ「ん? あっ、本当だ」
コスモ「じゃあ、ちょっと入って取ってくるね。 ソーレはここで待ってて。」
ソーレ「え? ちょっと・・・」
ソーレ「大丈夫?」
コスモ「うん。 全く問題なし。」
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