第14話 『悪魔のアリス』(脚本)
〇山中の休憩所
頬にポツリと雨があたり、アリスはゆっくりと目を開いた。
佐川アリス「・・・美琴、ちゃん?」
〇森の中
亀岡将司「美琴ちゃんはどこに隠れたのかなぁ~」
亀岡が周囲を見渡すと、木陰から美琴の袖がはみ出しているを見つけた。
亀岡将司「・・・おじさんはね、おいしいご馳走を食べるときは狼になるって決めてるんだ」
亀岡将司「もちろん今日のご馳走は、美琴ちゃぁぁぁぁん!!」
美琴「!!」
怯えながら駆けだす美琴を、亀岡が高笑いしながら追いかける。
美琴「助けて・・・! 誰か!!」
亀岡将司「美琴ちゃん! 美琴ちゃぁぁぁん!!」
〇森の中
佐川アリス「美琴ちゃん・・・!! どこ!?」
佐川アリス「美琴ちゃん・・・!」
〇二人部屋
美琴「泣けや泣けや。 たくさん泣いたらスッキリするで」
〇木の上
美琴「なあアリス。 あんたはどんな大人になりたい?」
〇森の中
佐川アリス(私、いつも美琴ちゃんに助けてもらってた)
佐川アリス(だから今度は私が──!!)
〇森の中
美琴「助けて・・・父ちゃん・・・!」
美琴が祈るように目をつぶる。
亀岡将司「みーつけたっ!」
美琴の前にやってきた亀岡は、懐からゆっくりとサバイバルナイフを取り出した。
〇森の中
佐川アリス「美琴ちゃん!!」
美琴「アリス・・・ごめん、な」
美琴「あんたを置いて、逃げた・・・」
美琴「うちを・・・助けようとして、くれたのに」
佐川アリス「そんなの!」
美琴「あんたの話、ちゃんと聞かんで・・・勝手に絶交なんかして・・・うちアホや」
佐川アリス「もう喋らなくていいから!」
美琴「さっきな・・・父ちゃんに、助けてって言ってもうた」
美琴「あんないっぱい叩かれて、大嫌いだった、父ちゃんに、な・・・」
佐川アリス「美琴ちゃん・・・」
美琴「それでな、わかってん・・・あんな父ちゃんでも、うち、愛されたかった」
美琴「だから・・・アリス・・・あんたは──」
佐川アリス「美琴ちゃん!!」
亀岡将司「ようやく見つけたよ」
佐川アリス「!」
亀岡将司「ダメじゃないか。車のところで待ってなきゃ」
佐川アリス「美琴ちゃん、ごめん・・・!」
〇森の中
佐川アリス「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
佐川アリス(なんで、どうしてこんなことに・・・!)
あのとき、八歳のあたしは逃げながら心に誓っていた
どんな手段を使ってもいい。
必ずあの男に復讐をすると
佐川アリス(美琴ちゃんは何一つ悪いことしてないのに!)
佐川アリス(悪いのは子どもに手を上げる汚い大人たちだ!)
もう二度と、美琴ちゃんのような子どもを犠牲にしない
それが、あたしの人生全ての目標になった
〇墓石
佐川アリス(たとえあたしが、悪魔に魂を売ったとしても)
〇怪しげな山小屋
小屋の中に入ったアリスは、壁に飾られている斧にゆっくりと手を伸ばす。
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