エピソード1 宇津木サトコの場合(脚本)
〇学校の校舎
美咲女子学園
〇教室
私は、恋をしている・・・。
授業中──
宇津木サトコ「・・・」
「おい──」
宇津木サトコ「・・・」
「おい宇津木!!」
宇津木サトコ(しまった!)
池田育人「お前さっきからずっとボーッとしてるが、授業ちゃんと聞いてるか?」
宇津木サトコ「・・・はい、聞いてるっす」
池田育人「そうか、だったら前に出てこの黒板の数学の問題でも解いて貰おうか」
宇津木サトコ「・・・」
宇津木サトコ「はぁ・・・わかりました」
難問の数々
宇津木サトコ「どうっすか?(ぶっちゃけ余裕)」
池田育人「お、おう・・・全問正解だ」
池田育人「お前すげえな」
池田育人「実はイジワルして、これから教えようと思った公式を使う問題をだしたんだが・・・」
宇津木サトコ「そうっすか・・・」
宇津木サトコ「けどこう見えて自分けっこう頭偉いんで」
宇津木サトコ「さっさと教科書読んで、公式全部憶えといたっす」
池田育人「そうか、宇津木はちゃんと予習復習して偉いな」
池田育人「けど、授業は集中して聞けよ、この優等生ちゃんめ(笑)」
池田育人「じゃないと先生の立場がなくなって、給料泥棒になっちまうじゃねえか、このこの!」
頭ワシャワシャ
宇津木サトコ「ちょっと──!」
「池田先生!!」
早坂メグミ「女子生徒の頭を撫でるのはセクハラでーす!」
池田育人「おっとごめんな。ついふざけてやっちまった」
池田育人「宇津木、くれぐれもセクハラで訴えんなよ?」
宇津木サトコ「もしもし──教育委員会ですか?」
池田育人「ちょ──マジでシャレにならねえ!」
池田育人「あとお前、授業中にスマホ出すの禁止!」
宇津木サトコ「冗談っすよ」
宇津木サトコ「あと別に気にしてないんで、今後気をつけてください」
池田育人「おう、分かった・・・とりあえずもう席に戻っていいぞ」
池田育人「えーと・・・宇津木が解いたように、この問題は新しくこの公式を使って──」
〇教室
早坂メグミ「宇津木さん、トンデモない目にあったね」
宇津木サトコ「・・・」
早坂メグミ「まったく、池田先生ってあの見た目の通りけっこう軽いからさぁ」
早坂メグミ「生徒と親しみやすくするために、ああやって直ぐちょっかいかけてくるんだよ」
早坂メグミ「仮にもしさぁ、他の先生にあんな風にされたらゾッとするね」
早坂メグミ「ボクも宇津木さんがしようとしたみたいに、即教育委員会に通報するよ」
早坂メグミ「あっ・・・でもさぁ、やっぱ池田先生だから、あの行動が許されるというか」
早坂メグミ「多分ボクもあんな風にされたら気にして無いって言うね。あと・・・──」
宇津木サトコ「はぁ・・・」
宇津木サトコ(早坂さん、聞いてもないのに池田先生の事いっぱい語るなぁ)
宇津木サトコ(もしかして先生の事が好きなのか?)
池田育人「おい早坂!!」
〇教室
池田育人「今度はお前かぁ・・・」
早坂メグミ「あ、ヤバ・・・」
池田育人「──ったくよぉ、お前は運動は得意でも、試験は毎回赤点なんだから集中して授業を受けろ!」
池田育人「ちょっとは宇津木を見習え」
早坂メグミ「フン・・・はーい、わかりましたー(適当)」
池田育人(はぁ・・・反抗的な態度されるとキツいなぁ)
池田育人「それにこのクラスの連中にとって俺の授業に集中できないほど退屈なのか?」
〇学校の校舎
〇教室
池田育人「今日はこれで終わり。お前ら気をつけて帰れよ!」
早坂メグミ「先生、放課後ボクが陸上部で練習してるとこ見に来てよ」
池田育人「ダメだ。このあと他の先生方と職員会議がある」
池田育人「あと、俺は陸上部の顧問じゃねのに見に行ったら変だろ?」
早坂メグミ「そんな事言わずにさぁ」
早坂メグミ「先生が見てくれてるだけで、ボクは良い記録が出せるんだからさぁ、お願い」
池田育人「断る!」
池田育人「それとなぁ、これからやる職員会議で毎回、このクラスの連中の話題が上がるんだ」
池田育人「お前ら他の授業でも集中してねえだろ。だから他の先生方から、担任の俺がちゃんと注意しろって不満を集中砲火されんだぞ?」
早坂メグミ「はいはい、以後気をつけて再発防止に務めるよう努力します」
早坂メグミ「それじゃ、また!」
池田育人「あ、コラ! 政治家みたいな発言して逃げやがって・・・」
池田育人「廊下は走んなよー!!」
池田育人「──たく、何で俺のクラスの連中はああなんだ?」
宇津木サトコ(今さっきのやり取り・・・)
宇津木サトコ(早坂さんと池田先生って仲良いよな)
宇津木サトコ(もしかして生徒と先生でデキてんのか?)
池田育人「おっ、まだいたのか宇津木」
池田育人「んん? なんかお前深刻そうな表情してねえか?」
宇津木サトコ「いえ・・・別に、なんでもないっすよ」
池田育人「そう言って実はなんかあんだろ?」
宇津木サトコ「──っ」
池田育人「お前は普段から優等生ちゃんだからなぁ。我慢して他人に言えないような不満が溜まってたりすんだろ」
宇津木サトコ「別に、そういうのじゃ無いし」
池田育人「そう言うなって、お前は顔に感情がすぐ出るタイプなんだから悩んでるの丸わかりだぞ」
宇津木サトコ(な、ななななななんだと!??)
宇津木サトコ(もし本当にそうなら超マズイ!)
池田育人「しゃーねえ、ここは職員会議サボって、大事な教え子の相談に乗ってやんよ」
宇津木サトコ(なにいいいいいい!!!?)
宇津木サトコ「・・・」
宇津木サトコ「じゃ、じゃあ・・・お願いするっす」
〇学校の部室
池田育人「それで、どうした?」
宇津木サトコ「・・・」
池田育人「うーん・・・今日のお前はいつもの雰囲気じゃなかったよな?」
池田育人「いっつもお前は、前に居る俺の事をじぃ~と眺めて集中してたのに、今日の授業は上の空だったぞ?」
宇津木サトコ「は、ハァ!? み、見て無いっすよ!」
池田育人「お前だけなんだよなぁ、俺の授業真面目に受けてくれるの・・・」
池田育人「だから余計に気になってよぉ・・・」
宇津木サトコ「か、勘違いっすよ!」
宇津木サトコ「池田先生の授業、自分もつまんなくて聞いてないですし」
池田育人「うぅ・・・そうだったのか。すまんな宇津木ぃ」
宇津木サトコ(私のバカ、そんな事言うつもりじゃ無かったのに、誤魔化す為につい・・・)
宇津木サトコ「けど、池田先生は他の先生と比べたら断然親しみ易いっすよ」
宇津木サトコ「だから、授業がつまんなくても自信持ってください」
池田育人「そうかぁ・・・でもなぁ、最近生徒を教える自信が無くなってきてて、どうしたらいいか悩んでてよぉ」
池田育人(くっ・・・授業がつまんねえのは否定されないのか)
池田育人「なぁ宇津木、俺はどうすれば良いと思う?」
宇津木サトコ「あの・・・先生、これ立場が逆っす」
池田育人「あっ・・・そうだった!」
池田育人「すまねえな宇津木。なんとなくお前を見てたら、その余裕そうな態度の影響かなんか知らんが──」
池田育人「なんとなく自然とお前を頼りたくなっちまってたわ」
宇津木サトコ「そ、そうっすか・・・」
宇津木サトコ「なら・・・頼ってもいいっすよ」
池田育人「・・・えっ?」
宇津木サトコ「こう見えて自分・・・池田先生なら、なんでもうけいれられるっすから」
宇津木サトコ(うわぁーー!! 私やっちまったーー!! 先生に告白しちゃってるよ!)
宇津木サトコ(なんとか誤魔化して──)
宇津木サトコ「は、ハハハ・・・なーんて──」
池田育人「宇津木ぃ!!」
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オリキャラだけだと雰囲気変わりますね。表情も全然違うし、特に本話はライターイラストのコラボレーションというのが熱いです。
卒業したら冷めてしまうかもしれない限定期間の恋心ですが、好きになっちゃうんですよね。
おお!
立ち絵を使用して頂いてありがとうございます!
(´▽`)
なんだか、嬉しいですね、こういうの
(o´罒`o)ヘヘッ
他の子達の場合も気になります!
チョロいんの3人だ!
百合展開は封印ですね。
先生がサトコに振り回されているようでもあり、サトコが先生に依存しているようでもあり、読んでいてドキドキしました。
この後の2人も別々に展開していくのかな?
三者三様の恋物語、(何か仕掛けもありそう?)楽しみです。