悪魔のアリス

YO-SUKE

第11話 『パートナーへの疑惑』(脚本)

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〇ファンシーな部屋
亀井綾子「犬くん、ワイン2本目だよ」
犬伏徹「わかってるよ」
亀井綾子「またアリスさんと喧嘩したの?」
犬伏徹「違う。一方的に怒鳴られただけだ」
亀井綾子「変なことしたんでしょ?」
犬伏徹「そんなことするか。 部屋の隅にあったワインセラーに触ろうしただけだ」
亀井綾子「はい、それ完全アウト」
犬伏徹「は? どこが?」
亀井綾子「女の子は部屋の中のものを勝手に触られたくないの」
犬伏徹「いや、けどこっちは熱出した相手を看病するためにわざわざ」
亀井綾子「そういうの押し付けだよ。 わざわざ口にするなんてカッコ悪い」
犬伏徹「ふん。カッコ悪くて悪かったな」
亀井綾子「そうやってまた拗ねるー」
犬伏徹「あの人は絶対何かを隠してるんだ。 だってあの金のブレスレットは――」

〇警察署の資料室
  資料室にやってきた犬伏は、狼の被りものをした男の動画をあらためて確認した。
  動画内で左腕をかかげて笑う犯人の腕には、金のブレスレットが輝いている。
犬伏徹「・・・やっぱりそうだ。間違いない」

〇レトロ喫茶
三浦「・・・それでその女刑事の身辺調査をしてほしいと」
  資料室を出た後、犬伏は私立探偵の三浦と連絡を取り喫茶店で落ち合った。
犬伏徹「小屋で見た二つの左腕には金のブレスレットがありました」
犬伏徹「津田沼が殺される前日、同じものが津田沼に送られました」
三浦「そして、狼男の左腕にも同じものがあった」
犬伏徹「はい、これは偶然にしてはあまりに出来すぎてると思いませんか?」
三浦「なるほど、それで同じものがアリスとかいう女刑事の家にあったから、俺みたいな探偵を頼むのか」
犬伏徹「僕は動けないんです。 それにあなたが優秀な探偵だって聞いたから」
三浦「そいつはどうも」
犬伏徹「できますか?」
三浦「できるさ。ただ──」
犬伏徹「?」
三浦「あんたは大丈夫なのか? 仲間を売ることになるんだぞ」
犬伏徹「・・・・・・」

〇車内
佐川アリス「あたしは仲間に疑われることに慣れてるが、仲間を疑ったことはないよ」

〇レトロ喫茶
犬伏徹「・・・仲間を疑ったままではいたくはないので」
三浦「・・・まあいい、あんたにはあんたの正義があるんだろうからな」
犬伏徹「・・・・・・」
三浦「言っておくが、俺の二つ名は蛇だ。 ターゲットは執拗に追いかけ、追い詰める」
犬伏徹「はい。でも気を付けてください。 相手はIQ180の天才です」
三浦「ふん。たかが所轄の刑事だろうが。 徹底的に丸裸にしてやるよ」

〇川に架かる橋
三浦「職場を出て、スーパーで買い物して、帰宅か」
三浦「・・・普通のOLみたいな生活だな」

〇広い公園
三浦「この公園を抜けたほうが近道なのか?」
  アリスは公園の奥へ歩くと、公衆トイレの中に入っていく。
三浦「なんだ、便所か」

〇広い公園
三浦「おかしい。時間がかかりすぎ・・・」
三浦「いや、待てよ。まさかっ!」

〇公衆トイレ
  三浦が慌ててトイレに駆け込んでくるが、そこには誰の姿もなかった。
三浦「やられた!」
  三浦は悔しげな顔で外に出ようとする。
  しかし次の瞬間、背後から現われたアリスが瞬時に三浦を投げ飛ばして組み伏せた。
佐川アリス「逮捕する」
三浦「ふざけるな! 俺は何も・・・!」
佐川アリス「ここは女子トイレだぞ」
三浦「!? それも計算のうちか!」
佐川アリス「尾行されたというだけでは、署に連行しにくいからな」
三浦「くそっ!!」
  アリスから逃げようともがく三浦。
  次の瞬間──
  ゴキッ
三浦「ぐあああああっ! 肩がっ!!」
佐川アリス「抵抗すれば身体中の骨を外してやる」
三浦「痛てぇ! 痛てえよ!!」
佐川アリス「誰の差し金だ?」
三浦「バカか! 依頼人は死んでも売らねぇ」
佐川アリス「そうか・・・なら方法は一つだ」
三浦「?」
佐川アリス「いっそ、死んだほうが楽だったと思うはずだ」
  アリスが三浦に拳を振り上げる──

〇警察署の食堂
亀井綾子「アリスさん! ランチですか?」
亀井綾子「良かったら一緒に──」
佐川アリス「犬伏はどこだ」
亀井綾子「え? 犬くんだったらあっちに」
  アリスはツカツカと食事をしている犬伏に近づくと、おもむろに彼の胸倉を掴んで激しく殴り飛ばした。
犬伏徹「いきなり何するんですか!!」
須藤清孝「おい、アーちゃん! 何やってんだ!」
佐川アリス「貴様、何したかわかってんのか。 仲間を売ったんだぞ!!」
犬伏徹「・・・ッ!」

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