第三話(脚本)
〇研究施設の廊下(曲がり角)
第三話
誰もが無許可で帯刀しているわけではなく、それを認めてくれる存在が必要である。
しかし、免許のように国が認めるわけではなく、両親や師匠となる人間が認める場合も許されており、個々の同意で成立する。
それ故、帯刀しているから侍という事にはならず、今では街を歩く帯刀してる者の中には『竹光』などの模造刀を所持する者もいる
小林謙三「それだけ、帯刀することは、急速に一般的になったのだ」
小林謙三「まるで、自転車の普及のように、法律が間に合ってないのさ」
追掛ひとみ「かなり大雑把な話ですよね。 だけど、自身の身を守るためでもあるから、やむ無しという状態なんですよね」
追掛ひとみ「昔の都会では刀を持っていても、敢えて持たない人が、ほとんどだったと聞きます」
小林謙三「まさに、時代が変わったと・・・。 そうとしか言いようがないな」
追掛ひとみ「それで、この施設は・・・?」
小林謙三「現代の侍たちのたまり場。 帯刀することが増えたことにより、腕試ししたい人間が増えたんだよ」
追掛ひとみ「その話は知っています。 これだけ、普及してるのだから、その考えに至るのは至極真っ当」
追掛ひとみ「でも、見せたいのは、きっとそうじゃないですよね」
小林謙三「御名答」
小林謙三「ここは、不健全な侍たちのたまり場さ」
〇近未来の闘技場
追掛ひとみ「なんですか!ここは!!!」
目の前に広がった広い空間。
そこには、刀を構えた二人が向き合っていた。
周囲はそれを観る観客。
中央にいる刀を構えた二人から、異様な緊張感を感じる。
追掛ひとみ「えっ!? えっ!? ええええ!?」
小林謙三「健全な方では、模造刀を持った者たちもスポーツ感覚で立ち合いをしているが、」
小林謙三「こちらは、そうじゃない。 本当の刀を所持した者たちが、立ち合いをしている」
小林謙三「そして、それを見物している者達がいる」
小林謙三「つまり、金が動いているのさ」
追掛ひとみ「金が動いているのさじゃなく!!! これ、大丈夫なんですか!?」
小林謙三「大丈夫ではないかな・・・」
追掛ひとみ「ええええ!!!」
二人の刀を構えた男が向き合う。
まだ互いの間合いではないのか、
双方、なかなか動かない。
片方が強く踏み込み、一気に間合いを詰めて、刀と刀がぶつかる。
鍔迫り合い、
互いの力の押し合い・・・。
力任せに押し切ることで、相手はバランスを崩し、そこにすかさず、刀を振り下ろす。
斬られた者は倒れ、勝者だけが立っている。
周囲の歓声が響き、勝者は静かに退場する。そして、倒れた者は、複数の人間に運ばれることになる。
追掛ひとみ「あの・・・。 斬られた人って大丈夫なんでしょうか?」
小林謙三「まぁ、大丈夫かどうかでいうと、多分・・・命に別状はないかな」
追掛ひとみ「えっ!! あんなに、血が出てましたけど!!」
小林謙三「あー・・・それはね」
那由多「天使様のおかげかなー」
那由多「日本の医学に革命を起こした天使様が、バリバリに治療してくれるので、きっと大丈夫」
追掛ひとみ「えっ? 誰ですか?」
小林謙三「あぁ。 ナユタくん」
小林謙三「ひとみクン。 紹介するよ」
小林謙三「彼は、那由多くん」
小林謙三「キミと一緒に取材する人間であり、取材対象となる人物だ」
追掛ひとみ「へぇ・・・・・・」
追掛ひとみ「えええ!!」
つづく