水龍様は平和に過ごしたい

ふー

4話「友達」(脚本)

水龍様は平和に過ごしたい

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〇睡蓮の花園
猫「・・・」
メルア「わぁ、猫ちゃん!可愛いですね」
タマモ「メルア、無闇矢鱈に近寄るじゃないわよ」
メルア「可愛い猫ちゃんですよ」
タマモ「あのね、化け猫かもしれないのよ!」
ヴォルズ「落ち着け。猫なんて珍しいな」
猫「龍と獣人の方が珍しいよ」
メルア「わぁ、猫ちゃん喋った」
タマモ「やっぱり化け猫じゃない」
猫「狐おばさん、警戒が強いね」
タマモ「誰がおばさんよ」
猫「狐おばさんは考えが古いよ。 まぁ・・・こっちのすがたのほうがいいかな」
クロア「・・・」
クロア「はじめて、僕はクロア。 よろしくね」
ヴォルズ「人型になれたか・・・私はヴォルズ」
メルア「メルアっていいます。この人はタマモ様」
クロア「メルアちゃんとは仲良くしたいな。 狐おばさんは嫌いだけど」
タマモ「私もあんたの事嫌いよ」
ヴォルズ「まあまあ・・・」
ヴォルズ「クロアはここへ何しに来た?」
クロア「お散歩だよ」
クロア「ね、メルアちゃんは水龍好き?」
メルア「はい、大好きな友達なんです」
クロア「へぇ〜、友達なら・・・僕がなってあげる。 もっと楽しくなるよ」
メルア「クロアちゃんとも友達ですね」
クロア「・・・友達って一人いたら良くない?」
メルア「たくさんいた方が楽しくないですか?」
クロア「一人でいいよ・・・メルアちゃんは・・・」
タマモ「化け猫、惑わしてるじゃないわよ。 この娘はそう簡単に堕ちないわよ」
クロア「狐おばさんも今まで人を誑かしてきたじゃん。 僕はただメルアちゃんと友達になりたいだけだよ」
タマモ「この娘、狼だけど・・・仲良くしたいの?」
クロア「お、狼!?」
クロア「あ、僕用事があるから帰るね!」
メルア「あ、行っちゃいましたね」
ヴォルズ「なんだったんだろうな」
タマモ「メルア、気を付けなさい。 化け猫は騙して、力を取り込もうとするの」
タマモ「あなたが天敵の狼だったから良かったけど・・・」
メルア「タマモ様・・・」
ヴォルズ「タマモ、すまないな。 私も油断していた・・・」
タマモ「いえ・・・化け猫は騙す事に長けてますから」
タマモ「同じ化かすもの同士分かるだけです」
メルア「タマモ様、優しくて美人です!」
タマモ「なによ、いきなり・・・」
メルア「ヴォルズ様を大好きな気持ち・・・わたくしを思う気持ちは嘘じゃないって分かります」
ヴォルズ「そうだな、タマモは素直で優しい」
タマモ「いきなりなんなのよ・・・」
タマモ「私にだって好みはあるわ。 メルアは素直だから騙しても面白くないし・・・ヴォルズ様は騙されないし・・・」
タマモ「かっこよくて聡明で・・・」
メルア「でも、クロアちゃんは友達がほしいだと思うんです。 悪い人じゃないと思います」
タマモ「ホント、あなたは直ぐに人を信じるんだから。それで痛い目見た事あるでしょう」
メルア「確かに酷い人もいましたが、優しい人もいますし疑って友達できない方が寂しくないですか?」
タマモ「呆れた娘ね・・・」
ヴォルズ(メルアの母親も凄く人懐こくて人を愛していたな・・・メルアも似たのだろな・・・)
ヴォルズ「メルア、タマモは心配して言ってるんだ。 私もたまに見ていて心配になる・・・」
メルア「・・・」
ヴォルズ「だが、優しく人に接するのはいい事だ。敵よりも味方を増やした方が良い」
メルア「ヴォルズ様」
タマモ「・・・まぁ、ヴォルズ様に迷惑掛けたら許さないわよ」
メルア「はい・・・またクロアちゃん、来ますからね?」
タマモ「化け猫なんか来なくていいわよ」
ヴォルズ(そういえば、狐と猫は仲が悪いと聞いたが・・・タマモもそれでクロアを嫌がってるのだろうか)
ヴォルズ「多分また来るだろう」
メルア「また来たら一緒に遊びたいですね」
タマモ「塩撒いておこうかしら」
ヴォルズ「ははは・・・池に入れないようにな」

〇集落の入口
クロア「・・・」
子供「うわ、化け猫!どっか行けよ!」
子供2「近付いちゃダメだよ。 お母さん言ったの、化け猫は人を騙すって・・・」
母親「近寄らないの!」
クロア「・・・」
老婆「あの子も可哀想だねぇ・・・化け猫なんかに生まれて・・・」
老人「普通に生まれてりゃ良かったのにな」
クロア(うざい・・・僕は何もしてない。 勝手に嫌ってなんなんだよ)
クロア(そっちが歩み寄らないなら僕だって・・・仲良くしたくない・・・)
メルア「クロアちゃん、こんにちは」
クロア「うわ、メルア・・・どうして、此処に?」
メルア「今日焼き魚食べるから買いに来たの」
メルア「クロアちゃんも一緒にどうかな? ヴォルズ様とタマモ様います」
クロア「・・・あのさ、狼がどうして僕と仲良くするの? 君からしたら僕ら化け猫は邪魔でしょう」
メルア「クロアちゃんは友達ですよ。 友達を邪魔とか思いません」
クロア「狐おばさんも言ってたでしょう。 化け猫は騙して力を取り込むって・・・」
クロア「僕だって、君の力を・・・」
メルア「クロアちゃんは本当は友達欲しいじゃないですか?」
メルア「わたくしを騙すつもりなら、あの時に逃げなかったでしょう」
クロア「狼が嫌いだから・・・だから、君が嫌だって思って・・・」
メルア「クロアちゃんが友達になってくれるって言った時すごーく嬉しかったです」
メルア「わたくし・・・人でも獣でもないからなかなか友達できなくて・・・」
メルア「はじめて、友達になってくれるって言ってもらえて嬉しかったです」
クロア(どうしてだろ・・・メルアを騙したくない・・・ メルアなら僕を受け入れてくる・・・信じたいのに・・・僕は・・・)
クロア「君って馬鹿だよね。 ちょっと優しくしただげで、懐いちゃってさ」
クロア「君が狼じゃなきゃ力取り込むのに」
メルア「わたくしの魔力ならわけてあげれます」
クロア「え?」
メルア「無闇矢鱈に魔力を分けちゃダメって父様と母様に言われましたが・・・クロアちゃんが欲しいなら・・・」
クロア「馬鹿じゃないの! そんな事したらメルアが大変なんだよ!」
クロア「魔力ってね、生命とも関係あるんだ・・・ 無闇矢鱈に分けたらメルアの寿命縮むよ」
クロア「力が弱まるんだよ! 見知らぬ僕に分けるとか言わないで!」
メルア「クロアちゃん」
クロア「ごめん・・・強く言いすぎた」
メルア「ううん・・・本気で怒ってくれてありがとうございます」
メルア「少しでもわたくしを思う気持ちがあるなら、友達です」
クロア「は?」
タマモ「諦めなさい・・・この子、1回友達とか思うと執拗いだから」
クロア「どうして・・・そこまで僕に構うの?」
メルア「友達だからです」
タマモ「・・・私もそのしつこさに参ったわ」
タマモ「あなた、別に悪い化け猫ではないし仲良くしてあげないことないけど?」
クロア「狐おばさん、メルア・・・」
タマモ「おばさんって言わないで」
クロア「ありがとう。 メルア、本当に友達なってくれる?」
メルア「はい!クロアちゃん、改めてよろしくお願いします」
クロア「うん・・・よろしく」
メルア「笑った顔可愛いです」
タマモ「お子様らしいわね」
クロア「狐おばさん、失礼だよ」
クロア「メルアの笑顔には適わないな・・・」
タマモ「ヴォルズ様も言ったわ。 メルアは無邪気だから適わないことあるって・・・」
メルア「お魚買って帰って食べましょう」
クロア「自由だな・・・」
タマモ「やれやれね・・・」

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