悪魔のアリス

YO-SUKE

第10話 『めまい』(脚本)

悪魔のアリス

YO-SUKE

今すぐ読む

悪魔のアリス
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇警察署の霊安室
佐川アリス「犯人はまだこの近くにいる」
犬伏徹「!」
新井和樹「すぐに全ての出入り口を封鎖しろ! 蟻一匹署内から出すな!」
犬伏徹「アリスさん、これって・・・」
佐川アリス「間違いない。例の狼男の仕業だ」

〇更衣室
佐川アリス「・・・ないか?」
亀井綾子「切り取った腕を隠して置けるような場所はすべて探しました」
佐川アリス「そうか」
亀井綾子「女子トイレにもなかったです」
佐川アリス「・・・・・・」
亀井綾子「アリスさん、大丈夫ですか?」
佐川アリス「何がだ?」
亀井綾子「なんか顔色悪いっていうか、昨日からあまり寝てないんじゃないですか?」
佐川アリス「いつものことだ。心配するな」
犬伏徹「アリスさん、今いいですか?」
亀井綾子「あ、ここ女子ロッカーなのに」
犬伏徹「バ、バカ。 今そんなこと言ってる場合じゃないだろ」
佐川アリス「どうした?」
犬伏徹「いえ、全ての出入り口を塞ぎ、不審者を探しましたが、それらしい人物は見当たりませんでした」
佐川アリス「逃げられたか・・・」

〇大会議室
佐川アリス「・・・じゃあ捜査に戻っても?」
武田静香「犯人が霊安室に忍び込んだと思われる時間、あなたは新井刑事の監視下にあった」
武田静香「完璧なアリバイがあるものね」
佐川アリス「では失礼します」
武田静香「待ちなさい」
佐川アリス「?」
武田静香「あなたが津田沼を追っていた理由を聞いたわ」
武田静香「一般市民からのSNS投稿と、生安への相談事案を照合したって」
佐川アリス「はい」
武田静香「同じことをやった捜査員はいなかった」
佐川アリス「・・・・・・」
武田静香「あなたが何かとトラブルに巻き込まれるのは、あなたが他の捜査員よりも先に行ってるからかもね」
佐川アリス「それは──」
武田静香「いい? 今後は少しでも何か引っかかることがあったら、早めに情報を共有して」
佐川アリス「・・・・・・」
武田静香「それが捜査に戻る条件よ」
佐川アリス「・・・わかりました。必ず」
武田静香「あれでもう少し愛想が良ければいい子なんだけどねえ」

〇車内
犬伏徹「家に帰るの二日ぶりですか?」
佐川アリス「そうなるな」
犬伏徹「でも良かったです。疑いが晴れて」
佐川アリス「ああ」
佐川アリス「だがあまりにやられっぱなしだ。 警察の沽券にかかわる」
犬伏徹「ですよね・・・」
佐川アリス「毒を盛るにしても、霊安室に忍び込むにしても、並大抵のことじゃない」
犬伏徹「やっぱり、警察内部の仕業ですかね」
佐川アリス「あたしは仲間に疑われることに慣れてるが、仲間を疑ったことはないよ」
犬伏徹「・・・・・・」
佐川アリス「犬伏、お前を含めてな」
犬伏徹「すみません」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「僕、昔本庁にいた時、とある横領事件で同僚を疑ったことがありました」
犬伏徹「確信があったんです。 自分は間違ってないって、感情的になって同僚にケガもさせました」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「でも結果はシロでした」
犬伏徹「みんな僕のことを冷たい目で見ました。 お前のことは信用できない、そういう目です」
犬伏徹「自分が蒔いた種なのに、僕は同僚から信頼されないことがこんなに辛いとは思わなかった」
犬伏徹「でもアリスさんと出会って──」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「お疲れですもんね。 ゆっくり休んでください」

〇車内
犬伏徹「アリスさん、着きましたよ。 起きてください」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「アリスさんってば!」
佐川アリス「・・・っ」
犬伏徹「大丈夫ですか!?」
佐川アリス「ハァ・・・ハァ・・・」
犬伏徹「って、すごい熱じゃないですか!」

〇マンションのオートロック

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第11話 『パートナーへの疑惑』

成分キーワード

ページTOPへ