読切(脚本)
〇広い公園
田中さん「なんてこった・・・!」
田中さん「サンタ役のクリスさんがサウナ我慢大会で来れなくなるなんて・・・」
クリスさん「Sorry・・・田中サン・・・」
田中さん「いや・・・クリスさんは毎年、町のためにサンタクロースをやってくれてたんだ」
田中さん「心配しないでくれ! 今年は何とかするからサウナ我慢大会 町内会長として応援してます!」
クリスさん「田中サン・・・ Thank you 今年のクリスマスGood Luck!」
〇田舎の学校
田中さん「クリスさんのためにも代役のサンタを探さないと!」
田中さん「とりあえずクリスさんにちょっと似てる 学校の校長に相談してみよう」
〇校長室
「なんと!クリスさんが!」
田中さん「そんなんです・・・」
田中さん「それで・・・クリスさんに少し似てる校長に一度サンタクロースの格好をしてみてほしいのです・・・」
校長「私にクリスさんの代役なんて務まるでしょうか」
田中さん「正直、校長はクリスさんより顔がサムライ顔なので厳しいかも知れません・・・」
田中さん「しかし、それはこちらで何とかします!」
校長「わかりました・・・」
校長「一度コスチュームに着替えてみます それで判断してください」
校長「お待たせしました」
校長「・・・いかがでしょうか?」
田中さん「なかなか良い!」
田中さん「校長のサムライ顔も薄明かりにして遠くからプレゼントを渡せばイケるかも!」
校長「薄明かり・・・ 電気消すのですか!」
田中さん「どうしました?」
校長「実は・・・私・・・ 暗所恐怖症でして・・・」
校長「少しでも暗いところがダメなんです!」
田中さん「そんな・・・」
校長「ごめんなさい・・・」
田中さん「そんな! 謝らないでください」
田中さん「苦手なことは誰にでもあります 無理はよくない」
田中さん「大丈夫です! 他にも探してみますので!」
校長「田中さん! ありがとうございます」
校長「そうだ! 失礼かもしれないが・・・」
校長「あの人はどうでしょう?」
〇たこ焼き屋(看板無し)
サクラさん「私にサンタクロースをやれって!?」
田中さん「えっと・・・」
田中さん「お願いします!」
田中さん「クリスさんの姉の貴女なら見事なサンタクロースになれるはずです!」
サクラさん「確かにクリスとはよく似てるって言われるけど・・・」
サクラさん「流石に女の私じゃバレるわよ」
田中さん「そこを何とか・・・」
田中さん「確かに女性らしい声はクリスさんとは違いますが・・・」
田中さん「でもサンタクロースの衣装を着てしまえば 貴女はクリスさんにソックリです!」
サクラさん「私がサンタクロース・・・」
サクラさん「正直、私はクリスが羨ましかったの」
サクラさん「私にできるかしら・・・ サンタクロース」
田中さん「もし・・・! やってくれましたら我々は全面的に協力させてもらいます!」
サクラさん「いいわ! 子供たちのためにも・・・ 私、頑張ってみるわ」
田中さん「サクラさん! ありがとうございます!」
〇クリスマスツリーのある広場
クリスマス当日の朝
リハーサルをするため田中さんは
サクラさんを呼んだ
サクラさん「どうかしら? クリスのサンタクロースに見えるかしら・・・」
田中さん「完璧です!」
サクラさん「でも声はどうするの?」
田中さん「クリスさんにお願いして笑い声と、いくつかのセリフを録音してきました」
田中さん「こちらで声を合わせますので 安心してサンタクロースを演じてください」
サクラさん「任せたわ! 私は私なりに頑張ってやってみる!」
田中さん「俺たちで最高のクリスマスにしましょう!」
〇クリスマスツリーのある広場
『メリークリスマス〜』
この町の子供たちはサンタクロースに会えることを楽しみにしている
サンタに会うため夜ふかしする子供が増えた現代で、サンタのイメージを守るため
クリスさんがプレゼントを配るようになったのだ
田中さん「良い子のみんな! 今年もサンタさんがプレゼントを持ってきてくれるぞ」
田中さん「嬉しいからってサンタさんに飛びついたりするんじゃないぞ!」
子供たち「はーい」
子供たち「サンタさん、今年も来てくれるんだ!」
子供たち「楽しみだよな~」
〇大聖堂
サクラさん「『フォッフォッフォ』 『子供たち』 『良い子にしてたかな~』」
子供たち「サンタさん!僕、サンタさんに会うためにずっと良い子にしてたよ」
子供たち「私も!お母さんのお手伝い頑張ったの」
子供たち「俺だって! この日が誕生日の次に好きなんだ!」
サクラさん「『みんな良い子にしてたからプレゼ・・・」
サクラさん「プレゼ・・・ン・・・ト・・・』」
サクラさん(えっ!声が小さくなってく・・・)
田中さん(大変だ!寒さで機械が故障した!)
田中さん「子供たち!サンタさんがプレゼントを渡してくれるから・・・」
田中さん「えっと・・・ほら・・・ サンタさんへお礼に歌を歌おう!」
子供たち「うん!わかりました!」
子供たち「クリスマスだからアレだね!」
子供たち「じゃあ、せ〜の!」
子供たちは歌い出した
サクラさん(どうしよう・・・)
サクラさん(歌が終わったら喋らなくちゃ・・・)
サクラさん(やっぱり私じゃダメだったのね・・・)
「おーめでとう♪メリークリスマス♪」
「みーんなで♪メリークリスマス♪」
サクラさん(この声!クリスに似てる!)
田中さん「あっ!」
田中さん(サクラさんの後ろのもみの木に・・・)
田中さん(校長!これは校長の声なのか!)
サクラさん「さぁ、良い子のみんな! プレゼントをあげよう!」
サクラさん「これからもみんな良い子にしていたら」
サクラさん「来年もプレゼントを持って会いに来るよ!」
サクラさん「ハッピーメリークリスマス♪」
子供たち「楽しいクリスマス ありがとうサンタさん!」
子供たち「サンタさん、約束だよ!来年また来てね」
子供たち「俺、それまで良い子にしてるから!」
田中さん(良いクリスマスになったぜ!)
田中さん(サクラさん、校長 ありがとう!)
〇広い公園
サクラさん「もう! あの時は焦ったわ」
田中さん「本当にすみませんでした」
サクラさん「まぁいいのよ! 子供たちは喜んでくれたし」
田中さん「サクラさん、ありがとうございます!」
田中さん「それに、校長! ありがとうございました!」
校長「前からクリスさんのサンタに憧れててね」
校長「こっそり練習してたが・・・」
校長「役に立てて本当に良かった!」
クリスさん「ミナサン、オネイサン! Thank you very much!」
本当は田中さんが代役できればいいんだけど、サンタクロースのビジュアルと対極にあるパンクモヒカンだから、どう頑張っても無理ですもんね。それにしても、サンタの代役候補者が全員クリスさんのクローンなのは気のせいだろうか。
咄嗟の機転で助かりましたね!
さすがに女性にはサンタクロースの声は難しいと思いますので。笑
子どもたちも喜んでてよかったです。
サクラさんの髭はなんでしょう。気になりました。田中さんが子供のためにサンタさん探しに一生懸命に行動してるところは感動しました。