2話「思いやり」(脚本)
〇テレビスタジオ
骸骨「骸骨TVの時間です。 今回は「Jkと芸能人の恋愛」ドラマです」
骸骨「出演はユメカさんとライトさんになります」
ライト「ふーん、地味な子が相手か・・・まぁ、いいよ」
ユメカ「ドラマなんてはじめて・・・緊張する」
骸骨「乱入したい方いますか?」
タケル「やめとおきます」
ユキナ「わたくしも結構」
骸骨「分かりました。 それでは、ユメカさんとライトさんはステージ移動お願いします」
〇川に架かる橋
これは冴えないJKと芸能人の物語
ユメカ「寝坊しちゃった〜、急げ〜」
ユメカ「きゃぁ」
ライト「大丈夫かい? ごめんね、前見てなくて・・・」
ユメカ「私の方こそ・・・」
ユメカ「えぇ!?月乃様!?」
ユメカ「ウソ・・・本物?」
ライト「ああ、本物だよ」
ライト「ぶつかってしまったお詫びに、カフェに行って何か奢らせてくれないかな?」
ユメカ「そ、そんな・・・お詫びだなんて・・・」
ライト「君と話したくなったんだ」
ライト「良ければどうだろ?」
ユメカ(凄い・・・やっぱりライトさん、プロだなぁ・・・)
ユメカ「はい、是非行きましょう」
〇カウンター席
ユメカ「わぁ、おっしゃれなカフェ・・・」
ライト「ゆっくりしたい時はいつも来てるんだ。 あまり人も来ないしね」
ユメカ「大変ですね。芸能人って・・・」
ライト「・・・僕が選んだ道だからね。 僕は人に注目されるの好きだよ」
ライト「何も知らないくせに、同情なんかしてほしくないな。 君も僕が好きなくせに」
ユメカ「月乃様?今の言葉・・・」
ライト「え、何か言ったかな」
ユメカ「いえ、何も・・・」
ライト「花さんは面白いね。 みんなみたいに僕を見てキャーキャー騒がないし」
ユメカ「会えたのは夢みたいですけど・・・騒いだら月乃様嫌でしょう」
ユメカ「私が騒いで、誰か来たら月乃様は落ち着けない・・・」
ユメカ「月乃様だって一人で落ち着きたい時あると思うから、嬉しい気持ちは抑えたんです」
ライト「この子凄いな・・・表情は硬いけど、気持ちがしっかりしてる。気持ちだけならプロにだって負けない演技だよ」
ユメカ「え・・・」
ユメカ「ライトさん、その台詞台本にありません」
ライト「はぁ・・・嫌だね・・・内情を聞かれてしまうのは・・・」
「クソつまんねぇな!」
「意味不明!面白くない!!」
「違う番組見よう」
骸骨「あー、視聴率が下がりました。 どうしよう、見てくれる人が減りましたよ」
ライト「・・・」
ライト「僕の負けだろ? 僕の内情が聞こえたのが原因だろうし」
ユメカ「ライトさん、違います! 私がもっと上手く演技しなかったから・・・」
ライト「ユメカさん」
ライト「俳優は嘘をつけなきゃダメなんだよ。 視聴者が演じる僕らで、本当の僕らでは無いから」
ライト「個人的な感情を持った僕が悪いだ。 それに」
ライト「ユメカさんは演じる度に気持ちがこもって良くなってる」
ライト「本当に好きになってしまいそうだ」
ユメカ「ラ、ライトさんっ」
「お、今の感じいいな!恋愛って感じ」
「ライト様素敵!」
「もっと見たい」
骸骨「お、視聴率が上がりました!現在45%」
骸骨「ライトさん、貴方には45の魂を渡しましょう。 ユメカさんはまけとなりますので、-50となります」
ユメカ「そんな・・・」
ライト「・・・」
ライト「・・・20、僕は20受け取るから彼女に25分けてくれないかい?」
ユメカ「ライトさん」
ライト「騙したみたいで気分悪いし、僕なら余裕で視聴率稼げるからね」
骸骨「いいでしょう、ライトさんに20、ユメカさんに25です。ですが、ユメカさんは-50ですので、あわせて75ですね」
ユメカ「はい」
ユメカ「あの、ライトさん、ありがとうございます。助かりました」
ライト「別に助けたわけじゃないよ。 ただ、僕の好感度を上げるために分けただけ」
骸骨「そういう考え方は悪魔として最高です」
骸骨「本日の骸骨TVは以上です。 またのご視聴お待ちしてます」
〇オフィスの廊下
ライト「・・・」
ユキナ「・・・同情なんかしたら負けるわよ」
ライト「別に、同情なんてしてないけど。 今本気を出す必要がないと思っただけさ」
ユキナ「わたくしとしては競う相手が減るのは嬉しいけどね。潰す手間がなくなるし」
ライト「君って可愛い顔して、酷いこと言うんだね」
ユキナ「優しくなんてしてれないわよ」
ユキナ「貴方だって自分が1番でしょう? 自分を守る為なら相手なんか蹴り落としてやるわ」
ライト「それ、本心かい?」
ライト「僕に何か言いたくて来たんじゃないの?」
ユキナ「・・・」
ユキナ「別に。ただ、情けはかけないことね。 いつ裏切るか分からないわよ」
ライト「肝に銘じておくよ」
ライト「さて、戻ろ」
ユキナ「・・・」
骸骨「ユキナさん、お節介はやめといた方がよろしかと」
ユキナ「うるさいわね。わたくし、貴方が大嫌い」
骸骨「悪魔は嫌われますからね」
ユキナ「ほんっとムカつく、骸骨ね」
骸骨「番組さえ盛り上がればなんとでも言ってください」
ユキナ「・・・」
骸骨「どう足掻いたって逃げれないのだから、精々悪魔(私)達を楽しませてください」
骸骨「あなた方は番組を盛り上げる道具(出演者)なのですから」