囚われハッカーちゃん

東龍ほフク

1:監禁モサ女と検索履歴執着男(脚本)

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〇研究施設の廊下(曲がり角)
岡田「・・・・・・」
岡田「D社に関しての調査報告の提出 お願い致します」
岡田「・・・ありがとうございます」
  僕は、無機質な扉の郵便受けを開く。
岡田「──あ、そうそう」
岡田「ほしがっていた『ウシャ☆たん』の ぬいぐるみ、どうです?」
若菜「何で知ってるんだよ?!」
  無機質な扉の窓のカーテンが
  勢い良く開けられる。
  ドアの向こうのボサボサ女の背後には
  積み重なった書類と食料の空き容器、
  PCとその周辺機器が乱雑に散らばっている。
若菜「はっ! お前まさか ──」
岡田「・・・」
岡田「あなたのPCをハッキング、及び──」
岡田「削除されていた閲覧履歴の 一部復元に成功しまして」
岡田「そしたら、何という・・・ 意外にも『ウシャ☆たん』の大量の検索結果・・・」
岡田「こういうの、お好きなんですね」
若菜「キモっ!!!!!!」
岡田「いやー。 5日も仕事そっちのけの不眠不休で やっと復元できましたよ」
岡田「褒めて下さい」
若菜「仕事しろよ!!!」
岡田「まぁ「仕事」と言っても、どうせ 他会社と他国へのハッキングやサーバー攻撃 だなんて何とも陰湿なイタズラのようなものですし」
岡田「──あ。ポストにぬいぐるみ入れますね」
若菜「── くっ・・・」
若菜「この私が完全に消去したはずのデータを 復元するとは・・・」
若菜「何のメリットがあって、んな事しやがる?」
若菜「腕試しか?上等じゃねぇか」
岡田「・・・」
岡田「──僕は、ただ・・・」
若菜「おっと、PC前に早よ戻らんと 電流流されちまぁな」
岡田「・・・」
若菜「・・・フン」
若菜「まぁ、このアタシのPCを ハッキングするとは大したもんだ」
若菜「この人形はありがたく もらっといてやるよ、凡人」
若菜「・・・今度はぜってぇ解かせねぇからな!」
岡田「・・・」
岡田(結構喋れたな)
岡田(不眠不休した甲斐はあった)

〇研究施設の廊下(曲がり角)
  ──別日。
岡田「──つっ・・・」
岡田「・・・」
岡田「A国への攻撃の結果報告等 お渡し願います」
岡田「ありがとうございます」
岡田「・・・ところで」
岡田「ヌタバの『メロンキャラメル パチパチてぃ〜☆』いります?」
若菜「てめぇ、またアタシのPC ハッキングしやがったなぁ?!」
岡田「・・・」
岡田「今回のあなたの『検索履歴完全削除』は 本当に手ごわかった・・・」
岡田「1週間と5日、仕事そっちのけで 不眠不休でこの情報を得ましたよ・・・」
若菜「・・・何でそこまでして・・・?」
岡田「・・・」
岡田「で、いりますか?いりませんか?」
若菜「どうせなら貰うわぃ」
  無機質な扉の無機質なトレイに
  『メロンキャラメルパチパチてぃ〜』を
  置く。
若菜「おぅわ、いい匂い・・・!」
若菜「おわぁあ・・・ 一発で虫歯になりそな甘さ・・・」
若菜「うごぁ・・・」
岡田「・・・ずいぶん、マズそうに 飲んでくれるじゃないですか」
若菜「うるせぇな! ちゃんとウメェよ!バカハゲタコ!」
岡田「── つっ・・・」
若菜「おい、どうした」
岡田「・・・いえ」
岡田「1週間と5日、通常業務を怠っていたので そりゃあペナルティがありまして」
若菜「・・・お、おい 何されたんだよ・・・大丈夫か?」
若菜「・・・いや、待て! そんなん自業自得じゃん!バーカバーカ!」
岡田「・・・」
岡田「・・・ところで」
岡田「ここから見るにあなたの部屋、 ゴミと書類とケーブルや服やらで 地獄の様相なのですが」
若菜「うるせぇなぁ! 別に問題ねぇよ、ほっとけ!」
岡田「上層部にもお伺い立てますが、今度 この汚部屋を掃除しにお邪魔しても よろしいですかね」
若菜「別にいいっつの! 業務に差し支えてはねぇよ!」
岡田「『今は』業務に差し支えていないかもしれませんが、『いつか』その汚部屋のせいで怪我や体調不良に陥るやもしれま・・・」
岡田「・・・」
岡田「そんな汚部屋じゃ、いつか大事な資料や USBを紛失されそうで不愉快なので 掃除させて下さい」
岡田「・・・では」
若菜「・・・この前からなんなんだぁ? あいつ・・・」
若菜「USBだけ受け取ってりゃいいだけなくせに 何をそんな絡んできやがる・・・」

次のエピソード:2:フリフリとマニキュア

コメント

  • ハードな会話の奥に隠された感情が見えますね !
    絶対彼女のこと好きですよね❤️

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