メリーさんのクリスマス

ヨリミチ

読切(脚本)

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〇通学路
  こんにちわ。
  私メリー。
  好きなのは女の子。
  今日はクリスマス。
  一人で過ごすにはさみしい日です。
  呪いを振り撒いてる場合じゃありません。
  なので、私は公衆電話を探しております。
メリー「最近は公衆電話が少なくてこまりますねぇ」
  私は怪異なのでスマホを買うお金は持っていません。
  自販機の釣銭口を漁るのが日課です。

〇街中の道路
  やっと見つけた公衆電話、
  私は勘でダイヤルをプッシュします。
メリー「もしもし、わたしメリー、ふへへ、あなたのはいてる下着の色はなんですかぁ?」
夢実「『へ、変態!』」
  すぐに切られました。
  ですが当たりです。
  若い女の子の声でした。ぐへへ。
メリー「さて、追いかけますかね」

〇繁華な通り
  私は次の公衆電話に瞬間移動しました。
  そうです。
  私はメリーさんなので、電話を掛けた相手に徐々に近づくことができるのです!
  もう一度同じ番号に電話を掛けます。
夢実「『・・・はい』」
メリー「うへへ、わたしメリー。今、公衆電話にいるの。お嬢さん今日暇でしょう? 私とつきあいませんか~?」
夢実「『さ、さっきの! わたし彼氏いるんで! も、もうかけてこないでください!』」
  またまた通話が切られました。
  ですが、この子に彼氏はいません。
  私にはわかるのです。
  声音と息遣いから、黒髪ロングで清純派な美少女の気配を察知しました。
  私の好みにドストライクです。
  お近づきになりたい、
  逃したくない獲物です。
メリー「さあ、メリーさんの力で どんどん近づきますよ!」

〇駅前広場
  次に瞬間移動した場所はどこかの駅前の
  公衆電話でした。
  匂う、匂います・・・・・・芳醇な
  黒髪ロング美少女の匂いが!
メリー「そこです!」
  本能に従って振り返ると、
  いましたいました。
  想像通りの女の子です。
  私は電話ボックスから飛び出して、
  一直線に彼女の元へ――。
メリー「おや、おやおやおや?」
  私はプロポーズをしたいのを抑えて、
  建物の陰に隠れました。
  彼女は誰かを待っている様子です。
メリー((まさかとは思いますが、彼氏?  いえ、私の勘は当たっているはず!))
  しかし、もしもの時の為に包丁だけは準備しておきましょう。
  待ち合わせ相手が男だった場合は少し早いですが、その男をメリークルシメマスして真っ赤なサンタさんにしてやります。
叶子「ごめん、夢実。待った?」
夢実「う、ううん。私も今来たところ」
叶子「どうしたの? 顔が赤いけど・・・・・・」
夢実「そ、そんなことない! これは、さっき変な電話が来て、下着の色を聞かれて恥ずかしかっただけ!」
叶子「えっ、大丈夫だった?」
メリー((な、なんということでしょう))
  黒髪ロング美少女に近づいてきたのは、
  金髪ショート美少女でした。
  眼前の光景は夢でしょうか?
  ・・・・・・包丁を掌に付き刺したら痛かったので、夢じゃなさそうです。
メリー「一兎を追って二兎を得ましたね、ぐへへ」
  二人の美少女が手を繋いで歩き出したので、私は少し距離を開けながらついていくことにしました。

〇ネオン街
  あっという間の数時間でした。
  街のイルミネーションが瞬き始めます。
叶子「次はどこいこうか? まだショッピングする?」
夢実「えっと、もっと違うところ、 行きたいな・・・・・・」
メリー(ああ、この美しい光景をずっと見ていたい)
  神に感謝していると、二人がピンク色の
  建物に入っていきます。
メリー「ま、まさか。あの二人はそういう関係なのですか!? い、いけません女の子同士でなんて! 私も混ぜて!」

〇ラブホテルの受付
  勇んで建物に入ったものの、
  二人の姿は見えません。
  公衆電話もないので瞬間移動できません。
メリー(くっ、この手は使いたくなかったのですが。時間がないので、最終手段です!)
メリー「すみません! 少しお電話をお借してもいいですか!?」
  近くの男子高校生に10円玉を差し出します。私の個性である公衆電話縛りを破ることになりますが、仕方ありません。
男子高校生「え・・・・・・あ、えっと?」
  わけがわからねえ、という顔をしてる彼のスマホを奪って、あの子の電話番号にかけます。
「『・・・はい?』」
  つながりました!
メリー「私メリー・・・・・・今、あなた達のところへいきます!」
男子高校生「消えたっ! 俺のスマホは!?」

〇カラオケボックス(マイク等無し)
  次の瞬間、私は暗い部屋の中に居ました。
夢実「あ、あなた誰!?」
叶子「え・・・・・・だれ、その人・・・・・・知り合い?」
  そこでは想像通り二人の少女が絡み合って──
  いませんでした。
  ですが、
  二人は顔を至近距離に近づけて、その姿勢はまるでキスをする手前のような・・・
メリー「私メリー。怪異です! これから絡み合うのですね? 私も混ぜてください!」
夢実「こ、この声! お昼電話かけてきた変態! どうやって入ってきたの!?」
メリー「そんなことより、キスは当然舌を入れますよね! 服は全部脱がせる派ですか? 私は靴下は最後まで取っておく派です!」
夢実「聞いてないわよ! ここカラオケよ! そういうお店じゃないんだから! 高校生が、そ、そんな破廉恥な──」
叶子「ふーん、キス・・・してって 言ってきたくせに?」
夢実「い、言わないで! 言わないでええ!」
  金髪ツインテール美少女をポコポコ叩く
  黒髪ロング美少女。
  なんて尊いのでしょう・・・。
  私は両手を組み窓の外、
  お空の神様に祈ります。
メリー「ありがとう、クリスマス。 最高の夜になりそうです・・・」
夢実「ならないわよ!」

コメント

  • メリーさんすごいですね!笑
    テンション高くて、読んでて楽しい気分になりました。
    でも、彼女たちの恋を邪魔しちゃいけませんよ!

  • このメリーさん自由すぎる!

  • 懐かしの都市伝説をベースに、ここまで愉快なストーリーに発展させたのは正直に凄いと思いました。とても愉快な怪異コメディに脱帽です。

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