そうだ、文明を捨てよう

ゆきんこ

#5 毛虫からテグスを作ろう。 以上!(脚本)

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〇山の中
  グルルル
萌花(モカ)「──ッ!」
花子(ハナコ)「萌花、今何か言った?」
萌花(モカ)「可哀想な、私のお腹の叫び声だよッ!!」
  グルルルキューグルルル
萌花(モカ)「うえ~ん!」
萌花(モカ)「お腹が空いて、チカラが出ないよ〜」
太郎(タロウ)「○○パンマンの決め台詞みたいだな」
萌花(モカ)「あれ、決め台詞なの?」
萌花(モカ)「こんなことになるなら、日頃からダイエットなんかしないで」
萌花(モカ)「好きな物を、好きなだけ食べれば良かったよ!」
萌花(モカ)「ラーメン、ソーメン、チャーシュー麺!!」
花子(ハナコ)「アーメン、イケメン、Xメン!!」
萌花(モカ)「ママ、『メンが最後につくゲーム』は開催してないよ」
太郎(タロウ)「カタメン・ニンニク・野菜・アブラ多め・カラメ。 以上!」
萌花(モカ)「パパのはラーメン屋のコールだよね?」
萌花(モカ)(みんなお腹が空きすぎて、思考がバグってる!)
萌花(モカ)「早く食料調達しないと、ヤバイ事件が起きそう!」
太郎(タロウ)「そうだ、釣りをしよう!」
花子(ハナコ)「太郎クン、この話のタイトルみたいでカッコイイ台詞ね!」
花子(ハナコ)「しかも一瞬だったけど、内表紙も『釣り』使用になっていた気がするわ!」
太郎(タロウ)「おかしな発言は止めなさい。 以上!」
太郎(タロウ)「私はナイフで木を削って、竿と針を作る」
花子(ハナコ)「ヨッ、『尖っていたナイフ!』」
太郎(タロウ)「訂正せよ。 『尖ったナイフ』だ!」
花子(ハナコ)「訂正するわ。『尖ったナイフ』(笑)」
太郎(タロウ)「(笑)? グッ・・・以上!」
萌花(モカ)「糸はどうするの?」
花子(ハナコ)「私の白衣から縦の糸を抜けば良いわ!」
太郎(タロウ)「花子クンが縦の糸なら、横の糸は私だ!」
萌花(モカ)「何か聴いたことあるような言葉ね・・・」
花子(ハナコ)「♪この2つを撚(よ)り合わせれば・・・!♪」
太郎(タロウ)「♪釣り糸が生まれるかもしれない〜♪」
「ギリセーフ!! (著作権には引っ掛からない)」
萌花(モカ)「なっ、なんか、ビミョーにアウトじゃね?」
  作者注)
  あくまでリスペクトです。
花子(ハナコ)「ま、こんなの。 道糸くらいで釣り糸にはならないわ」
太郎(タロウ)(こんなの!?)
花子(ハナコ)「今は釣り糸と言えばナイロンのラインが主流だけど、」
花子(ハナコ)「昔は樟蚕(クスサン)から取れる透明な『テグス』を用いて釣り糸にしていたそうよ」
萌花(モカ)「クスサンて何?」
花子(ハナコ)「絹糸が蚕(カイコ)から取れるのは知ってる?」
萌花(モカ)「う、うん」
花子(ハナコ)「平たく言うと、樟蚕はカイコの仲間ね」
萌花(モカ)(確か授業で習ったような・・・。 でも、カイコって何だっけ)
萌花(モカ)「絹は、シルクのこと?」
花子(ハナコ)「そうよ。 太郎クンのネクタイにも使われているわ」
萌花(モカ)「エッ!? あの高い糸がこんな森に落ちてるの?」
花子(ハナコ)「落ちてるワケじゃないけど。 ──まあ良いわ」
花子(ハナコ)「丈夫な釣り糸もこの森から取れるのよ」
太郎(タロウ)「幸い、近くに樟蚕が好きそうな楠(クス)の木があるぞ!」
太郎(タロウ)「探してみよう!」
萌花(モカ)(結局、クスサンって何なんだろう。  楠の木から生えてる植物なのかなあ)
太郎(タロウ)「オッ、見つけたぞ! 私の視力は作者と同じ2.0だ」
萌花(モカ)「パパ、今日はイチイチ変な発言多くね?」
萌花(モカ)「ストーリーに関係ないことは禁止!」
太郎(タロウ)「それ萌花、アイツを捕まえるんだ!!」
萌花(モカ)「クスサンって、 毛虫のことなの──────!!!!」
太郎(タロウ)「いかにも!」
太郎(タロウ)「萌花よ、初めての経験に臆するな!」
太郎(タロウ)「トライ・アンド・エラーの繰り返しで人類は進化してきたんだ!」
太郎(タロウ)「思いきって、毛虫を捕まえてみなさい!」
花子(ハナコ)「萌花、ファイティン!」
萌花(モカ)「ムリムリムリ!! 虫はずぇーったいに駄目!」
萌花(モカ)「前に、部屋にクモが出た時に 110番したくらい、駄目!」
太郎(タロウ)「いつの間にそんなコトを!?」
太郎(タロウ)「やはり私たちの放置教育がマズかった!」
花子(ハナコ)「それで、ちゃんと警察が来たの?」
萌花(モカ)「ウン。 笑いながら取ってくれたよ」
花子(ハナコ)「日本は平和ね」
  作者注)
  作者の昔の友人の実話ですが、警察に電話しちゃダメ!ゼッタイ!!
太郎(タロウ)「残念だが萌花」
太郎(タロウ)「生命を獲ることを躊躇しては、自分の腹は満たせない」
太郎(タロウ)「以上!」
萌花(モカ)「パパ、冷た・・・」
萌花(モカ)「わ、私が出来なくてもイイじゃん!」
萌花(モカ)「パパやママは虫に触れるんでしょ?」
萌花(モカ)「人には得意・不得意があるんだから、出来る人がやれば良いんだよ!」
花子(ハナコ)「ママが死んだらどうするの?」
萌花(モカ)「じゃ、パパにお願いする!」
花子(ハナコ)「太郎クンだって、日頃の行いが悪くて神様のバチが当たって、今すぐ死ぬかもしれないわ!」
太郎(タロウ)「何故、日頃の行いが悪いと決めつけるんだ、花子クン!」
太郎(タロウ)「しかし、あり得ない話ではないな!」
太郎(タロウ)「人間の生命は儚い」
太郎(タロウ)「文明があるのと同じくらい」
太郎(タロウ)「親が子にしていることが、当たり前だと思わないことだ」
萌花(モカ)「き、急にそんなコト言われても・・・」

〇不気味
萌花(モカ)「ママもパパも居ない世界なんて、考えたこと無かった」
萌花(モカ)「ウーバーもスマホも無いこの状況で、」
萌花(モカ)「頼れるのは自分だけ・・・?」
萌花(モカ)「もし、そうなったら・・・」
萌花(モカ)「コレを触るしかないのね!?」
萌花(モカ)「アワワワ」

〇山中の川
萌花(モカ)「ウォォォオ!!」
萌花(モカ)「イメトレで自分を鼓舞するしか無い!」
萌花(モカ)「私は食物連鎖ピラミッドの上層部に居る消費者!」
萌花(モカ)「生殺与奪の権利は、私が握る!!」
萌花(モカ)「そうよ。 私は虫狩隊(むしかりたい)の1本柱」
萌花(モカ)「人呼んで、『虫滅のモカ』!!」
花子「萌花、妄想が過ぎるわ」
萌花(モカ)「鳥のように華麗に舞い、蜂のように刺す!」
萌花(モカ)「コレだッ!!」
花子「軍鶏(シャモ)!? 萌花がシャモに変身したわ!!」
太郎「毛虫に負けたくないという気持ちが、萌花の闘争心に火を点けたんだ!!」
太郎(タロウ)「萌花・・・否 シャモカよ、行け────!!」
萌花あるいはシャモカ「キエエエ────!!!!」
萌花あるいはシャモカ「とと、獲った────!! 獲ったど────!!!!」
太郎(タロウ)「や、やったな、萌花! さ、さすが虫狩り隊の1本柱・・・」
花子(ハナコ)「ナイス☆ファイトよ、萌花! 待って、あんまり近づかないで」
萌花(モカ)「あれ? 何か2人とも、引いてない?」
(まさか、素手で毛虫を捕まえるとは・・・!)
  作者注)
  樟蚕は毛虫ですが、その毛に毒性は無いので触っても大丈夫!
花子(ハナコ)「今回、作者注)が多くて目に余るわね」
太郎(タロウ)「確かに」

〇山中の川
花子(ハナコ)「樟蚕を手に入れたら、体内にある絹糸腺を取り出して、3%酢酸水溶液に10分くらい浸漬するわよ」
花子(ハナコ)「解剖はちょっとグロいから、割愛するわね!」
花子(ハナコ)「酢水につけた絹糸腺を少し引っ張ると、1.2mは延びるわよ。 乾燥して、完成!」
萌花(モカ)「ママ、今回メタ発言多くね?」
花子(ハナコ)「以上!」
太郎(タロウ)「さあ、お待たせしました読者たちよ。 ココからが釣りの本番だ」
花子(ハナコ)「太郎クン、メタ発言。 次から罰金よ」
太郎(タロウ)「久しぶりの連載再開だから、読者様とコミュニケーションが取りたくて・・・」
萌花(モカ)「読者様って何?」
花子(ハナコ)「何のことかしら」
太郎(タロウ)(大黒柱の威厳を見せねば!)
太郎(タロウ)「さあ、食らいつけ魚よ。 本能の赴くままに!」
太郎(タロウ)「手応えアリ!」
太郎(タロウ)「ムムム!? この重さ、ハンパじゃない」
太郎(タロウ)「引き上げられないぞ・・・」
萌花(モカ)「パパ、私たちも手伝うわ!」
花子(ハナコ)「みんなでお腹いっぱい食べて、腹の虫を黙らせましょう!」
太郎(タロウ)「以上────────ゥ────」
「以上!以上!以上!以上!以上!」
太郎(タロウ)「ワアアア!?」

〇空
「田中後輩が釣れたぞ────!!!!」

〇山並み
「イテテテテテテ!!!!!」
「アフアフ、アフロに針が刺さってますーーー!!!!」

コメント

  • 最新話まで読みました。
    スマホ断ち計画がまさか命懸けのサバイバルになってしまうとは、この一家ヤバすぎるwww

    釣り竿に引っかかったアフロの後輩がどう関わるのか楽しみです。以上。

  • 面白かったです!✨😆まさかな田中先輩がここで流れてくるとは!!!!!!😂

    この家族を見ていると生きる活力をもらえる感じがあります✨☺️最近寒いのでこころがあたたまる系読みたかったのですが、バッチリでした✨😍

    また続きを楽しみにしてます✨☺️

  • 今回も笑わせてもらいました!
    読者に向かって話しかけてくる作品が良いですねー😊
    虫はパパさん、ママさんの様に素手で触るの勇気いりますよね!素手でいった萌花ちゃんの勇気ある行動にリスペクトです😂
    そこまでして吊り上げたのは魚じゃなくアフローって、笑うしかありません🤣

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