悪魔のアリス

YO-SUKE

第6話 『#狼おじさん』(脚本)

悪魔のアリス

YO-SUKE

今すぐ読む

悪魔のアリス
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇怪しげな山小屋
  小屋の中ではあちこちから煙が上がり、窓の外には火が燃え上がっている。
犬伏徹「ダメです! 正面の扉以外、大人が出入りできそうなところはありません!」
佐川アリス「火の回りが尋常じゃない。 これは計画的に仕組まれた罠だ」
犬伏徹「アリスさん! どうすれば──」
佐川アリス「椅子で窓を壊して脱出する。 ガラスで怪我しないように布を探せ」
犬伏徹「わかりました!」
佐川アリス「こんなところで死ねるか・・・!」

〇森の中
  燃え盛る小屋の窓から、アリスと犬伏が転がり落ちてくる。
佐川アリス「・・・死んだか?」
犬伏徹「そういうときは、生きてるかって聞いてください」
犬伏徹「あ!」
佐川アリス「どうした?」
犬伏徹「大変です! 2人の男の腕、持ってくるのを忘れました」
佐川アリス「!」
犬伏徹「僕、戻って取ってきます!」
佐川アリス「バカ! 危ないだろ!」
犬伏徹「まだ大丈夫です! 今ならまだ充分に間に合います!」
佐川アリス「無理だ!」
犬伏徹「犯人につながる重要な証拠になるかもしれないのに!」
佐川アリス「いい加減にしろ!」
  アリスが犬伏を蹴飛ばすと、犬伏は盛大に尻餅をつく。
犬伏徹「痛てて・・・そこまでしなくても」
佐川アリス「お前の命を、お前ひとりのものだと思うな」
犬伏徹「・・・すみません」
佐川アリス「それより、さっさと本部に連絡してこい」
犬伏徹「わ、わかりました!」
  駆けていく犬伏の姿を見送った後、アリスは燃え盛る小屋へと再び歩いていった。
佐川アリス「・・・犯人は、あたしが必ず捕まえてみせる」

〇大会議室
武田静香「納得のできる説明が欲しいわね」
犬伏徹「いや、僕たちは──」
武田静香「あなたに聞いてないわ。 佐川アリス、あなたの判断なのでしょう?」
佐川アリス「申し訳ありませんでした」
武田静香「部下を命の危険にさらした。 これは責任問題よ」
佐川アリス「・・・・・・」
武田静香「もう一度聞くけど、犯人に心当たりはないのよね?」
佐川アリス「・・・ありません」
佐川アリス「ただ記憶の片隅に、あの小屋が残っていただけです」
武田静香「いつあの小屋に行ったのかも覚えてないのね?」
佐川アリス「・・・・・・」
武田静香「・・・わかった。もう行きなさい」

〇大会議室
新井和樹「お呼びでしょうか?」
武田静香「あなた犬伏徹と元同僚なのよね?」
新井和樹「あいつとはあまり一緒にされたくありませんが、一応二年間は一緒でした」
武田静香「・・・ならちょうどいいわ。 あの二人を調べなさい」
新井和樹「二人? 犬伏とあの女性刑事ですか?」
武田静香「そう。あの子は何か隠してる」
新井和樹「・・・わかりました。 お望みであれば徹底的に」
武田静香「わかっていると思うけど、これは機密事項よ」
新井和樹「はい。失礼します」
武田静香「・・・佐川アリスか」

〇警察署の廊下
犬伏徹「アリスさん。ちょっと聞いてください!」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「アリスさんってば!」
  ツカツカと歩いていくアリスの前に、犬伏が立ちふさがる。
佐川アリス「邪魔」
犬伏徹「教えてください。 本当に、犯人に心当たりはないんですか?」
佐川アリス「なぜそんなにしつこいんだ」
犬伏徹「だっておかしいです」
犬伏徹「犯人はまるで僕たちが来ることをわかってたみたいじゃないですか?」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「それにアリスさん、鹿の剥製の裏側に収納スペースがあることも知っていたようでした」
佐川アリス「・・・あれはたまたまだ」
犬伏徹「・・・・・・」
佐川アリス「まだなにかあるのか?」
犬伏徹「アリスさん、言ってくれたじゃないですか。 僕のこと、パートナーだって」
佐川アリス「・・・・・・」
犬伏徹「パートナーだったら、信頼関係が大切だと思うんです」
佐川アリス「・・・信頼はしてるさ」
佐川アリス「車の助手席であんなに熟睡したのは初めてだったよ」
犬伏徹「・・・っ!」

〇ファンシーな部屋
犬伏徹「どうかと思うよ、あの人。アリスさん」
犬伏徹「不思議の国の人。絶対おかしい」
亀井綾子「犬くん、酔っ払いすぎだから」
犬伏徹「俺を運転手か何かだと思ってんだよ」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第7話 『金のブレスレット』

成分キーワード

ページTOPへ