2話「日常に潜む不穏」(脚本)
〇睡蓮の花園
アズモデウス「ヴォルくん、お花持ってきたぴょんよ」
ヴォルズ「アズモデウス、ありがとう」
アズモデウス「も〜、アズモでいいぴょんよ〜。 アズモデウスなんて可愛くないぴょん!」
タマモ「相変わらずおかしな話し方をするわね」
タマモ「戦悪魔だとは思えないわ」
アズモデウス「やーね、あたしは争いは嫌いぴょんよ!」
アズモデウス「タマちゃんは美人なのに、口が悪いぴょんね」
タマモ「ヴォルズ様、アズモデウスを抹殺する許可を」
ヴォルズ「落ち着け。 アズモ、用があったのではないか?」
ヴォルズ「ただ花を渡しに来たわけではあるまい」
アズモデウス「およ。ヴォルくんの力を借りたくて来たぴょんよ」
ヴォルズ「私の力を?」
アズモデウス「・・・実はあたしが以前からお世話になってる人の娘ちゃんが行方不明になったみたいで、探すのを手伝ってほしいぴょんよ」
ヴォルズ「行方不明・・・それは心配だが、何か心当たりは無いのか?」
アズモデウス「・・・里周辺で妙な奴らがいたぴょん」
タマモ「里・・・ランビの里かしら? 確か周辺にはゴブリン達が住処にしたけれど・・・」
アズモデウス「そうなの! たまに悪さするゴブリンちゃん達は懲らしめのだけど、妙な奴がいたぴょん」
ヴォルズ「妙な奴・・・仮面をつけた男か?」
アズモデウス「違うぴょん サメみたいなやつぴょん」
アズモデウス「あたしがいる時は姿を見せないのだけど、いない時は里を荒らしてたみたいぴょん」
ヴォルズ「娘が行方不明なのはそいつが拐ったのかもしれん」
アズモデウス「やっぱりそうぴょんね! ヴォルくんなら知ってると思ったぴょん」
ヴォルズ「昔悪さをして叱ったのだが、甘かったようだな・・・」
ヴォルズ「私が話してこよう。私が行けば直ぐに返してくれるだろう」
タマモ「ヴォルズ様、あなたが行く必要はありません」
タマモ「小娘を助ける必要はないのです。 人間はヴォルズ様に助けてもらいながらその恩を忘れてますし・・・」
ヴォルズ「タマモ・・・私はどんな生き物でも困っていたり危険が迫るなら助けたい」
ヴォルズ「強者であるならば弱者を助けるべきであろう。それに友人が困ってるなら尚更だ」
タマモ「ヴォルズ様・・・優しすぎます!」
タマモ「優しくしてもらって助けてもらってなんの感謝もしない・・・忘れてしまう人間が嫌い」
アズモデウス「タマちゃんの気持ちもわかるぴょん」
アズモデウス「でも、あたしにとっては大事な人だから助けたいの。 あたし一人じゃ無理だから力をかしてほしいの」
ヴォルズ「タマモ・・・私が助けに行きたいから行く。我儘を許してくれるか?」
タマモ「狡いですよ、その表情も言い方も」
タマモ「ヴォルズ様、私はあなたに従います。ですが、無理だけはしないでくださいね」
ヴォルズ「ああ」
アズモデウス「タマちゃん、本当ヴォルくんが好きぴょんね」
タマモ「ええ、愛してるわ」
アズモデウス「ヴォルくん、罪に置けないぴょんね〜」
ヴォルズ「言ってる意味がわからないが」
アズモデウス「気にしなくていいぴょん。 ところでメルちゃんはいないぴょん」
ヴォルズ「今日は来てないな」
アズモデウス「聞きたい事があったけど、また今度にするぴょん」
アズモデウス「さ、里まで行きましょう」
〇寂れた村
アズモデウス「マサぴ〜、力になってくれる人を連れてきたぴょん」
マサノリ「おう、ありがと・・・」
マサノリ「す、水龍神様!?すげーの連れて来たな。 しかも、九尾までいやがる」
ヴォルズ「マサぴでいいのか? お前の娘が拐われたと聞いたのだか・・・」
マサノリ「俺はマサノリだ。 ああ、娘のアスカが2、3日前から行方不明でよぉ・・・」
マサノリ「もしかしたらサメの野郎が拐ったのかもしれんと思ったんだが・・・やっぱりそうかい?」
ヴォルズ「そうだろな。彼奴は昔から若い女と可愛い女が好きで、気に入ると連れて行ってしまうんだ」
アズモデウス「アスカちゃん、可愛いから連れて行かれたぴょんね」
マサノリ「な、水龍神様・・・娘をアスカを助けてくんねぇかな? 俺にとっちゃ、たった一人の大切な娘なんだ」
ヴォルズ「ああ、そのつもりで来た。 しかし、私やアズモがいたら姿を見せん。一旦姿を隠すか・・・」
タマモ「ヴォルズ様、私が誘き寄せましょう」
マサノリ「確かにアンタは別嬪さんだけどよぉ・・・危険なんじゃねぇか?」
タマモ「老人、私を甘く見ないでちょうだい。 下等生物にやれないわ」
タマモ「それに私程の美貌があれば里の誰よりも気になるはずよ」
アズモデウス「自惚れぴょん。 でも、本当に美人だから狙ってきそうぴょん」
ヴォルズ「ふむ、タマモに任せよ。 だが、無茶だけはしないようにな」
タマモ「はい。一時的に離れるのは寂しいですが・・・」
タマモ「ヴォルズ様が私を救出に・・・囚われた私を助ける・・・まるで王子様・・・うふふ」
アズモデウス「タマちゃんって・・・自分の世界にいくわよね」
ヴォルズ「放っておいて大丈夫だ。 とりあえず私達は隠れておこう」
〇寂れた村
ホロジロ「ヒャハハ!今日も里を荒らして、女を捕まえてやるぜ!!」
タマモ「・・・」
ホロジロ「うお!?すげぇ、美人だ。 見たことねぇ、あんないい女滅多にいねぇ」
ホロジロ「決めた、俺様の嫁にする!!」
ホロジロ「よぉ、お前は今日から俺様の嫁だ!」
タマモ(汚らわしい・・・私に触れていいのはヴォルズ様だけなのに。 殺してやりたいけど、我慢よね)
タマモ「お願い、食べないでください」
ホロジロ「あ?食わねぇよ、大人しくついてきたらな!」
タマモ「きゃあ!タスケテ〜」
マサノリ「な、九尾の嬢ちゃん目が死んでたが大丈夫かい?」
ヴォルズ「問題ない。 マサノリは待機してくれ」
マサノリ「あいよ。任せたぞ、水龍様」
〇洞窟の深部
ホロジロのアジト
ホロジロ「スーハー、いい匂いだ」
タマモ「気持ち悪いわね、近寄らないで」
ホロジロ「あ?反抗的な態度だな。躾ねぇとな!」
タマモ「・・・所で今まで拐った女は何処に?」
ホロジロ「あ?大抵食っちまったが、1人いるぜ」
アスカ「うっ・・・お家に帰りたいよぉ・・・おじいちゃんにあいたい」
ホロジロ「うるせえ!泣いてると食うぞ!!」
アスカ「うわぁぁ!たべないでぇ!!」
タマモ「騒がしい子ね。 あなた、こんな子供が好きなの?」
ホロジロ「まあ、大人になりゃか美人になるだろ。 だが、お前の方が美人で気に入った!」
タマモ「まぁ、私は美人だけど・・・あなたは醜いわよ」
ホロジロ「あ?生意気だな、どっちが上か教えてやらないとな!」
ドンッ・・・
ヴォルズ「ホロジロ、また悪さをしてるようだな」
アズモデウス「お仕置が必要ぴょんね!」
ホロジロ「うげぇ、水龍と戦悪魔。 何故ここに!?」
ヴォルズ「私としては争いたくないのだが・・・素直に2人を解放してくれないだろか?」
アズモデウス「解放しないなら・・・お仕置ぴょん」
ホロジロ「ヒャハハ、水龍。 今のテメェじゃ俺様に勝てねぇよ!忘れされて力が衰えてんだろ?」
アズモデウス「あんたね、ヴォルくんは」
ヴォルズ「アズモ、言わなくて良い。 話し合いはしないという事だな?」
ホロジロ「ああ!雑魚爺龍は食い殺してやるよ!!」
ヴォルズ「困ったものだ」
ヴォルズ(例え忘れされても、誰が覚えていてくればそれで良い。 私には仲間もいる・・・だから・・・)
あまり力は衰えない!
ホロジロ「うわぁぁ!ば・・・ばかな・・・俺様が・・・やれるなんて・・・」
ドサッ
ヴォルズ「ふっ・・・何年ぶりに力を使っただろうか」
アスカ「水龍様、かっこいい!」
タマモ「馴れ馴れしい!」
ヴォルズ「君がアスカだな?お爺さんが心配してるから、帰ろうか」
アスカ「うん、アズモお姉ちゃんと狐のお姉ちゃん、ありがとう!」
アズモデウス「アスカちゃん、怖かったぴょんね。 次は守るからね」
アスカ「平気!アスカね、大人になったら水龍様みたいに強くなる! そうしたらおじいちゃん守れるから」
ヴォルズ「ふむ、君なら強くなるだろう」
ヴォルズ(いつの時代も人の想いは素晴らしい。 この子はきっと優しく強い大人になるだろう)
ヴォルズ「さ、戻ろう」
〇寂れた村
アスカ「おじいちゃん!」
マサノリ「アスカ!すまねぇ、俺が目を離したばかりに」
アスカ「おじいちゃんは悪くないよ。 アスカがおじいちゃんの言いつけ破って、里の外に行ったがいけないの」
アズモデウス「マサぴ、アスカちゃん、良かったぴょんね。 ヴォルくんが助けてくれて」
マサノリ「ああ、水龍様と九尾のお嬢ちゃんには感謝しても感謝しきれねぇ」
ヴォルズ「もう彼奴は来ないから心配はない。 ゴブリンもアズモがいれば近寄らないだろ」
アスカ「水龍様、アスカね、大人になったら水龍様のお嫁さんになる!」
ヴォルズ「はい?!」
タマモ「冗談でも笑えないわね」
ヴォルズ「はは・・・私より強くなってるであろう」
ヴォルズ(マサノリとタマモの顔怖い!)
ヴォルズ(マサノリからしたら可愛い孫娘がいきなり現れた龍を好いたら嫌だろうけど・・・タマモ何を怒ってる?)
マサノリ「な、今日は泊まって行っておくれ」
アスカ「水龍様、お泊まりするの?」
アスカ「わーい、楽しみ!」
ヴォルズ「今日は賑やかになりそうだ」
こんな日常が続けばいい
皆と笑いあって変わらない日々が続くならそれだけでいいのだ
平和な世界であれ
〇闇の要塞
???「やっぱり変わらないな、水龍は」
???「彼の力は彼自身の想いの強さのようですね」
???「人々が忘れても、アイツを覚えてる者がいれば力は衰えない」
???「君も近くで見て、アイツの強さがわかってるだろ?」
???「・・・引き継ぎ、彼を監視します」
???「くふふ、君も酷いね」
???「いつまで隠し通せるから見物だよ」
???「精々僕を楽しませてよ」
この時はまだ気付いてはなかった。
大切な仲間が敵であることに。