4話「失態」(脚本)
〇劇場の楽屋
コン・・・コン・・・
ハルカ「失礼します。本日共演する、ハルカと申します」
アイル「はじめまして、ハルカちゃん、よろしくね」
ハルカ(華奢で可愛い! 私とは真逆だなぁ・・・)
ハルカ「アイルさんと共演するとは思いませんでした。私みたいに人気ないアイドルが、共演していいのか・・・」
アイル「・・・」
アイル「ハルカちゃんがいいからオファーきたの。 ハルカちゃんは可愛いだから自信もって」
ハルカ「え・・・あ、はい。アイルさんって怒ったりするんですね、意外です」
アイル「怒ってないよ。 ハルカちゃんが、すごーく自信なそうにみえたの」
ハルカ「・・・アイルさんみたいに華奢で可愛くて明るければ自信持てますが・・・私なんか・・・」
アイル(自分で選んだ道じゃないの? 私だってたくさん努力したの。 勝手に比較て傷付くなんてバカみたい)
アイル(あなたが言って欲しい言葉しってるよ。 お望み通り言ってあげるね)
アイル「ハルカちゃんはアイドルだよね? それって選ばれた人なの」
アイル「選ばた人は期待に応えなきゃいけない。 だから、自信もって元気に笑顔に!」
ハルカ「優しいですね、羨ましいです。 可愛くて優しいなんて・・・」
アイル「卑屈にならないの。 私は可愛い!最高って思わなきゃダメ」
ハルカ「可愛くて苦労しなかったアイルちゃんにはわからないよ、私の気持ち」
アイル「うん、初めて会ったんだもん、わからないよ。 ハルカちゃんはなんでアイドルになったの?」
ハルカ「え・・・なんでって。 それは親に可愛いって言われて、みんなから可愛いって言われたくて」
アイル「じゃあ、私は可愛くて最高!って思わないと」
アイル「笑顔がキラキラしてないと、アイドルじゃないよ。みんなに希望をあげるのがアイドルよ」
ハルカ(凄い、本当に輝いて見える 私も輝かけるかな)
ハルカ「こうかな?」
アイル「うんうん、すごーく可愛い!」
アイル「ハルカちゃんってダンス凄く上手だよね! あんなキレキレに踊れないから、教えてほしいな」
ハルカ「ダンスは小さい頃からやってたから。 ダンデブって言われた事はあるけど、褒めれたの初めてかも」
アイル「悪口言う人はハルカちゃんが羨ましいから言うの」
アイル「私はハルカちゃんは輝くと思うの。 最高に可愛いから!」
ハルカ「アイルさん」
アイル「え、嫌なこと言っちゃった?」
ハルカ「違うの、本当に優しくて感激した」
アイル「感情豊かね! 泣かない、テレビに出るんがら」
ハルカ「はい、アイルさん、ありがとうございます。 少し自信持てました」
アイル「もっと自信もって!」
ハルカ「はい」
〇テレビスタジオ
トヨタ「トヨタのトヨトヨ話しのお時間です! みなさん、今回のゲストはぽっちゃりアイドルハルカさんと人気絶頂アイドルアイルさんです」
ハルカ「こ、こんにちは。ハルカです」
アイル「やっほー、アイルだよ☆ハルカちゃんとはお友達なんです」
トヨタ「友達とは意外ですね〜、プライペートでも仲良くしてるんですか?」
アイル「さっき仲良くなったんだよね。 ね、ハルカちゃん」
ハルカ「え、あ、うん。アイルさんと仲良くなりました」
トヨタ「それは羨ましい!私も仲良くなりたいですねぇ」
アイル「仲良くしましょう。トヨタさん」
トヨタ「是非是非。と、本題ですが・・・アイルさんとハルカさんは何故アイドルになれたんですか?」
ハルカ「みんなから可愛いって言われたくて、私のダンスを見て欲しいからです」
トヨタ「でしゃばんなよ。 誰もお前の話聞きたくないから。お前は引き立て役だって理解しろよ」
アイル「・・・」
アイル「私は私を好きになってくれる人に私も好きだよって伝えたいから」
トヨタ「流石、人気アイドルは違いますねー!」
アイル「ね、トヨタさん」
アイル「さっきの言葉全部聞こえたけど、大丈夫?」
トヨタ「さっきの言葉?」
アイル「ハルカちゃんに「でしゃばるな、お前の話聞きない、引き立て役だ」って言ってたの、聞こえたよ」
アイル「私に聞こえたからマイクで拾ったのかなぁ」
トヨタ「え、カットしろ!取り直しだ!!」
アイル「ありのままのトヨタさんを伝えてよかったね」
トヨタ「うるさい!」
アイル「ひどい・・・」
プロデューサー「トヨタ!来てくれたアイドル達に失礼だぞ!」
スタッフ「女の子悲しませるなんて、トヨタさん、見損ないました」
トヨタ「や、その、アイルさんがありもしないとことを言ってきたので・・・」
スタッフ「ハルカさんに対する言葉しっかり聞いてましたよ」
プロデューサー「ガッカリしたよ、君には」
トヨタ「プロデューサー?」
プロデューサー「今回はお蔵入りだ。次回はないと思たまえ」
トヨタ「そんなぁ・・・」
プロデューサー「アイルさん、ハルカさん、すまなかった。 トヨタに事務所を通してしっかり謝罪させる」
アイル「いえ、私の方こそご迷惑お掛けしました。 けど、ハルカちゃんは傷付いたから」
アイル「トヨタさんがちゃんと謝ってほしいな」
トヨタ「誰が謝るか! この腹黒アイドル」
プロデューサー「トヨタ!大人気ない!出て行け!!」
ハルカ「プロデューサーさん、そのアイルさんは私の為に」
プロデューサー「わかってる、君を庇っての行動だって」
プロデューサー「けど、君達はプロだ。 どんな事があっても耐えて乗り越えなければならない」
アイル「・・・」
プロデューサー「今回は穏便にすまし私が何とかするから、次から気を付けておくれ」
ハルカ「はい。アイルさん、行こう」
〇大ホールの廊下
アイル「ハルカちゃん、ごめんね。 番組潰しちゃった・・・」
ハルカ「アイルさんは悪くないです。 トヨタさんは元々後輩をいじめとかして問題があったから、遅かれ早かれ打ち切りだと思います」
アイル「ハルカちゃん、負けないで。 嫌なこと言われても気にしないでね」
ハルカ「アイルさん」
リョウ「アイル、問題を起こしたようだね」
アイル「リョウくん」
ハルカ「あの、アイルさんを怒らないでください」
ハルカ「私を庇って・・・」
リョウ「アイルは努力してる人を悪く言わるの嫌いだからね。 けど、少し我慢しなきゃダメだよ」
リョウ「トヨタさんは怒ってるけど、プロデューサーさんが何とかしてくるみたいだから心配しないで」
アイル「リョウくん、ハルカちゃんは大丈夫かな?」
リョウ「人の心配より自分の心配をしなよ」
リョウ「大丈夫だよ、トヨタのマネージャーさんがしっかりトヨタさんを叱るって言ったから」
アイル「良かった」
リョウ「ハルカさんには申し訳ない事をしたしたね。 マネージャーとも話さないと」
ハルカ「いえ・・・正直言って嬉しかったです。 私を庇ってくれて」
アイル「輝ける子を守るのは当然。 私は輝ける人は大好きだよ」
ハルカ「アイルさんが好かれるのもわかる」
ハルカ「本当にキラキラして芯が強い」
リョウ「自由奔放で我儘な所は困るけどね」
アイル「ハルカちゃん、次は共演したいね!」
ハルカ「私の楽しみにしてます」
リョウ「表でマネージャーが待ってるから行こう。アイルは楽屋で待機だからね」
アイル「はい、待機してます」