ふれてん

ぽんたろう

最終話前編『ふれてん』(脚本)

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〇女の子の二人部屋
三好優弥「お前らな」
三好優弥「3人一緒に寝るのはやり過ぎじゃないのか?」
三好双葉「だって、お兄ちゃん一人にしたら心配だし」
三好水葉「今の状況で一人にできるわけないよ」
三好優弥「まったく」
三好優弥「信用ねえな」
三好双葉「ごはんにしよう」
三好優弥「いや、食欲無いからいいや」
三好水葉「少しぐらい食べないと」
三好双葉「そうだよ、昨日も全然食べなかったよ?」
三好優弥「大丈夫」

〇ボロい校舎
天宮詩乃「もしも、私に何かあったときは 学校を探してね」

〇男の子の一人部屋
三好優弥「俺が探していたものを 探しきれていない」
三好優弥「行くか」
三好優弥「学校に何かある気がする」

〇シンプルな玄関
宇喜多羽彩「おはよう!」
三好優弥「羽彩?」
三好優弥「どうしたんだ?」
宇喜多羽彩「ねえ、気になってたことがあってね」
三好優弥「なんだ?」
宇喜多羽彩「優弥の探し物」
三好優弥「覚えてたのか」
宇喜多羽彩「うん!探しに行こう!」
宇喜多羽彩「詩乃さんのためにもね」
三好優弥「ああ」

〇学校脇の道
宇喜多羽彩「確かに、詩乃さんがそう言ったなら 何か学校にあるかもしれないね」
三好優弥「ああ」
三好優弥「だけど、あいつが 何を探せっていうのが見当つかない」
宇喜多羽彩「でも、探そう!何か思い出すかもよ!」
三好優弥「そうだな」

〇ボロい校舎
三好優弥「あいつと来たのは旧校舎だったな」
三好優弥「細かくは言ってないけど 確か、『学校を探せ』って」
宇喜多羽彩「じゃあ、探そう!」
宇喜多羽彩「ここ以外に行ったところは?」
三好優弥「屋外プール」
三好優弥「あとは色々 理事長室にも行ったし、地下室にも行った」
宇喜多羽彩「学園祭の時に回った場所か うちの学校が広いのがネックになりそう」
三好優弥「そうだな、学園祭のときは 学校の回れる場所は全部回ったからな」
三好優弥「そのあと詩乃と学園に来たのは 散歩の時ぐらいだ」
宇喜多羽彩「じゃあ、学園祭の時 何かあったんじゃないかな」
三好優弥「確かに、そうか」
三好優弥「あいつが車椅子乗ってる時は ずっと一緒にいたから 隠す余裕なんてないはずだしな」
宇喜多羽彩「そうそう」
三好優弥「ということは やっぱり学園祭の時に 詩乃は何かを隠したんだ」
宇喜多羽彩「1つずつ調べてみよう」

〇学校のプール
宇喜多羽彩「どう?何か思い出しそう?」
三好優弥「いや、ここはないな」
三好優弥「暑いし、部室で休憩するか」
宇喜多羽彩「そうだね」

〇合宿所の稽古場
蒼村優「あっ!」
宇喜多羽彩「そむらちゃんじゃん」
三好優弥「今日は休みだろ? どうしているんだ?」
蒼村優「学園祭の準備したくて 来ちゃいました!」
蒼村優「・・・・・・」
蒼村優「あ、あの、、、先輩?」
三好優弥「どうした?」
蒼村優「えっと、その?」
三好優弥「悪かったな、優」
三好優弥「一緒に食べた昼飯美味かったな」
三好優弥「また親父さんの店に食べに行くからな」
蒼村優「・・・・・・やっと、思い出してくれたんですね」
三好優弥「ああ」
蒼村優「嬉しいです!」
蒼村優「また優弥くんって呼びますね!」
三好優弥「ああ」
蒼村優「あれ?」
蒼村優「優弥くん?なんか変?」
宇喜多羽彩「今ね、優弥の大事なもの探してるの」
蒼村優「それって何ですか?」
三好優弥「俺の恋人だったやつが残したものだ」
蒼村優「えっ?」
三好優弥「優も手伝ってくれないか?」
蒼村優「・・・・・・」
蒼村優「嫌です」
三好優弥「え?」
蒼村優「嫌って言ったんです」
蒼村優「何で、私がそんなことしないといけないんですか!」
三好優弥「優?」
蒼村優「本当に優弥くんは アホです!」
蒼村優「知らない!」
三好優弥「どうしたんだ?」
宇喜多羽彩「仕方ないよ」
宇喜多羽彩「そっとしといてあげよう」
三好優弥「ああ」
宇喜多羽彩「次行こうか」
三好優弥「そうだな」

〇大きな木のある校舎
三好優弥「・・・・・・」
宇喜多羽彩「どうかした?」
三好優弥「学園祭の日、一旦別れて ここで待ち合わせしたんだ」
三好優弥「その時、息を切らしてて」
宇喜多羽彩「病気の影響かな」
三好優弥「いや、そのときは 特に何もなかったはずだ」
宇喜多羽彩「じゃあ、ただ慌ててただけなのかな」
三好優弥「何であんな息を切らしてたんだ」

〇グラウンドの水飲み場
学園祭係「タイムレター」
三好優弥「タイムレター?」

〇グラウンドの水飲み場
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「どうして、俺はこんな大切なことを 忘れていたんだ」
宇喜多羽彩「どうかした?」
三好優弥「レターだ」
宇喜多羽彩「レターって手紙のこと?」
三好優弥「タイムレターだ」
三好優弥「そんな大したものじゃないと 思い込んでいた」
宇喜多羽彩「タイムレターって?」
三好優弥「学園祭のイベントで 未来の自分宛てに書いたもんだ」
宇喜多羽彩「そんなものがあったんだ」
三好優弥「確か『伝説の告白場』って場所に 出すことになっていたんだ」
三好優弥「一緒にいたから 出す機会なんてなかったと思ってた」
宇喜多羽彩「詩乃さんはトイレ行くふりして そのレターを出しに行ったかもしれない」
三好優弥「その可能性は十分にある」
宇喜多羽彩「だったら保管されてるんじゃないのかな」
宇喜多羽彩「でも、どうすればいいんだろ」
宇喜多羽彩「職員室? 生徒会室?」
宇喜多羽彩「それとも学園祭実行委員会に 行けばいいのかな?」
三好優弥「頼りになりそうな人に 心当たりがある」
三好優弥「その人のところが 一番早いかもしれない」

〇校長室
三好優弥「校長、こんにちは」
宇喜多羽彩「お邪魔します」
金剛天寿「どうした、三好氏と宇喜多氏じゃないか」
宇喜多羽彩「合宿の時はありがとうございました」
金剛天寿「大したことはしてないさ」
金剛天寿「それで用事か?」
三好優弥「はい、探し物をしていまして」
金剛天寿「ほう? それで私に相談か」
金剛天寿「何やらあるということか」
三好優弥「はい」
宇喜多羽彩「実は・・・」
金剛天寿「分かった、協力しよう」
金剛天寿「学園祭の企画で扱われたものは 生徒会室に保管されるはずだ」
金剛天寿「行ってみよう」

〇おしゃれな居間
三好優弥「ここが生徒会室」
宇喜多羽彩「立派だね」
金剛天寿「生徒会長はさすがにいないな」
宇喜多羽彩「夏休みですからね」
金剛天寿「ちょっとだけ待ってなさい 倉庫から探してくる」
宇喜多羽彩「はい」
三好優弥「お願いします」
三好優弥「ここにあればいいけどな」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「ここになければ もう分からなくなる」
金剛天寿「待たせてすまない 企画はあのときだけだから すぐ見つかったぞ」
三好優弥「ありがとうございます」
金剛天寿「この中に入ってるはずだ 一緒に探そう」
三好優弥「はい」
宇喜多羽彩「同じような封筒ばかりだけど ちゃんと名前は書いてある」
金剛天寿「それが救いだな」
三好優弥「あった!」
三好優弥「天宮詩乃!」
金剛天寿「良かったな!」
宇喜多羽彩「良かったね!」
三好優弥「まさか、見つかるなんて!」
三好優弥「校長ありがとうございます」
金剛天寿「気にするな」
三好優弥「羽彩もありがとな」
宇喜多羽彩「うん!」

〇合宿所の稽古場
三好優弥「じゃあ読むか」
宇喜多羽彩「私も見せてもらっていいの?」
三好優弥「ああ むしろ、一緒に見てくれ」
宇喜多羽彩「うん」

〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「高校生の私へ」
天宮詩乃「高校生になってゆーやと一緒に 恋翔学園に通えていますか?」

〇学校の部室
  ゆーやと一緒の部活に入って
  そこで、また一緒に肝試しとか
  いろいろと出来てるのかな

〇薄暗い廊下
  毎週肝試しをするから
  きっと行く場所がなくなっちゃうよね
  でも、ゆーやと一緒に行くから
  どこに何度行っても楽しいはずだよね

〇テーブル席
  部活の帰りは部員のみんなと
  寄り道したり、買い食いしたいなぁ
  ゆーやに友達ができるように
  ちゃんとアシストしてね

〇おしゃれなキッチン
  ゆーやとの学園生活が楽しいからって
  家事は忘れないようにね
  毎日、みんなでご飯食べられるように
  たくさん料理はするんだよ
  あ、そうだ

〇土手
  ゆーやへの告白は上手くいった?
  夏休みに花火大会があるから
  その日に告白したんだよね
  結果はどうだった?
  上手くいったはずだよね!

〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「でも、、、」
天宮詩乃「ゆーやと恋人同士になるなんて どんな気持ちなんだろう」
天宮詩乃「想像できないな」
天宮詩乃「でも、今と大して変わらない気するかな」

〇明るいリビング
  毎朝、一緒に起きてご飯食べて
  ゆーやと私の分のお弁当を毎朝作る

〇通学路
  一緒に登校できるんだよね

〇おしゃれな教室
  お昼は私が作ったお弁当を
  一緒に食べるんだよ

〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「さっきも書いたけど 放課後は部活をやって その後は買い食いして 夕飯の買い物しながら家に帰るの」
天宮詩乃「それで一緒に夕飯の支度をする」
天宮詩乃「あれ?やることは変わらないかな」
天宮詩乃「でも、そんなもんだよね」
天宮詩乃「それがきっと幸せってことなんだよね」
天宮詩乃「もう書くことなくなっちゃったかな」
天宮詩乃「まあ、いいか」
天宮詩乃「ゆーやと末永く幸せにね!」

〇合宿所の稽古場
三好優弥「あいつ」
宇喜多羽彩「本当に優弥のことが好きだったんだね」
宇喜多羽彩「ちゃんと結ばれたんだから良かった」
宇喜多羽彩「きっと幸せだったんだよね」
三好優弥「いろいろと入学後のこと考えてたんだな」
三好優弥「叶えてやりたかった」
三好優弥「あいつと一緒に、、、」
三好優弥「学校に通いたかった」
宇喜多羽彩「うん」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「詩乃に会いたい」
三好優弥「あいつと話したい」
宇喜多羽彩「優弥・・・・・・」
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「ん?」
宇喜多羽彩「どうかした?」
三好優弥「まだ手紙はあるはずなのに」
三好優弥「ない」
宇喜多羽彩「ホント?」
三好優弥「あのとき、詩乃は 俺の分も書いたと言ったんだ」
三好優弥「この封筒には詩乃の自分宛の手紙しかない」
宇喜多羽彩「えっ?」
三好優弥「まだ学校に残ってるはずだ」
三好優弥「詩乃はそれを探せと言ったんだ」

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