最終話中編『ふれてん』(脚本)
〇シックなバー
「・・・・・・」
〇上官の部屋
「・・・・・・」
〇中庭
「・・・・・・」
〇華やかな裏庭
「・・・・・・」
〇合宿所の稽古場
三好優弥「どこにあるんだ」
宇喜多羽彩「ちょっと広過ぎるね」
宇喜多羽彩「一通り回ってみたけど どこに隠したんだろう」
三好優弥「多分、人目につかないところなんだろうな」
宇喜多羽彩「今、回ってきたところは 普段人多いところだから レターは隠せないかもね」
三好優弥「あいつに直接聞いておけば良かった」
三好優弥「無理なのかな」
宇喜多羽彩「まだ諦めちゃダメだよ! 思い出して!」
三好優弥「・・・・・・」
三好優弥「そうか、あったな」
宇喜多羽彩「どこ?」
三好優弥「一番可能性があった場所なのに 見向きもしなかったな」
宇喜多羽彩「もしかして旧校舎?」
三好優弥「ああ」
宇喜多羽彩「いこう」
〇合宿所の稽古場
蒼村優「2人が帰ってきたから 思わず隠れちゃってたけど」
蒼村優「優弥くんのあんな姿 初めて見た」
蒼村優「本当に大事な物なんだ」
蒼村優「それなのに、私あんなこと 言っちゃった、、」
蒼村優「いつも冗談言ったり 人をいじってきたり」
蒼村優「人の話なんて全く聞いてくれない」
蒼村優「でも、やっぱり」
蒼村優「そんな優弥くんのことが」
蒼村優「・・・・・・好きなんだよね」
蒼村優「優弥くんのあんな顔見たくない」
蒼村優「え、えっと、私にできることは 何だろう!」
蒼村優「そうだ!」
〇ボロい校舎
宇喜多羽彩「暗くなるけど明日にする?」
三好優弥「いや、今日見つける」
三好優弥「羽彩は帰ってもいいぞ」
宇喜多羽彩「帰るわけないじゃん」
宇喜多羽彩「放っておけないよ」
三好優弥「ここは危ないぞ」
三好優弥「電気点けられないからな」
宇喜多羽彩「スマホのライトあるし大丈夫だよ」
宇喜多羽彩「お願い、手伝わせて」
三好優弥「分かった」
〇明るい廊下
天宮詩乃「ねえ、死者じゃなくて 天使にした方が ロマンチックじゃない?」
三好優弥「怪談にときめきを求めるな」
天宮詩乃「じゃあ、今から私たちの間では 『天使に会える方法』だからね」
〇明るい廊下
三好優弥「まだ明るいから今のうちだな」
宇喜多羽彩「旧校舎って言っても 広すぎるね」
三好優弥「見つけられるか分からないな」
〇学校の下駄箱
天宮詩乃「メッセージ発見!」
天宮詩乃「宝探しみたいで楽しい!」
〇学校の下駄箱
三好優弥「旧校舎は基本放置されっぱなしで 数年に一回掃除されるらしい」
宇喜多羽彩「じゃあ、まだ詩乃さんの手紙は 充分残ってる可能性はあるね」
〇理科室
天宮詩乃「きゃーーー」
三好優弥「わざとらしすぎるだろ」
天宮詩乃「楽しまないとね」
〇理科室
宇喜多羽彩「ダメだ、暗くなってきた」
宇喜多羽彩「モノを探すには スマホのライトだけじゃきついかも」
三好優弥「そうだな」
宇喜多羽彩「ねえ、明日にしない?」
宇喜多羽彩「それでみんな呼ぼう」
三好優弥「・・・・・・」
宇喜多羽彩「優弥?」
三好優弥「本当は分からないんだ」
宇喜多羽彩「えっ?」
三好優弥「詩乃の手紙を見つけていいのかって」
三好優弥「今更だよな」
宇喜多羽彩「優弥」
三好優弥「もし、これで手紙を見つけたとしたら」
三好優弥「本当に詩乃が 俺の前から消えてしまう」
三好優弥「そんな気がするんだ」
宇喜多羽彩「優弥はこの1年以上 旧校舎と心霊スポットを行ってたんでしょ」
宇喜多羽彩「それは詩乃さんに 会いたいからなんだよ」
宇喜多羽彩「それで、詩乃さんからの 頼みを叶えようとしてた」
宇喜多羽彩「それじゃダメなの?」
三好優弥「分からない」
三好優弥「分からなくなった」
三好優弥「ただ俺は」
三好優弥「詩乃に会いたい」
三好優弥「それだけなんだ」
三好優弥「そのために ずっと旧校舎にこだわり続けてた」
三好優弥「でも、今は旧校舎を回ってると あいつが嬉しそうにしてる姿が 蘇ってくるんだ」
三好優弥「何でだよ」
三好優弥「あいつがいないと何もできない」
三好優弥「自分でやりたいことも 決められないんだ」
三好優弥「何の進路も決めてなかった俺が 恋翔学園に入ったのだって」
三好優弥「あいつが俺を誘ってくれたからなんだ」
三好優弥「いつもあいつが 俺を引っ張ってくれていた」
宇喜多羽彩「優弥にとって 詩乃さんという存在が」
宇喜多羽彩「どれだけ大きかったか伝わってきたよ」
三好優弥「詩乃に会いたい」
宇喜多羽彩「ねえ、優弥」
宇喜多羽彩「いっぺん外に出よう」
宇喜多羽彩「それで部室にある 懐中電灯持ってきて また探そう」
宇喜多羽彩「とことん付き合ってあげる」
宇喜多羽彩「手紙だけは見つけてあげよう それが詩乃さんの願いなんだから」
三好優弥「詩乃」
宇喜多羽彩「ダメか、心が折れちゃってる」
宇喜多羽彩「私が肩を貸すから掴まってね」
宇喜多羽彩「やっぱ、男の人は重い」
宇喜多羽彩「でも、掴まっててね!」
宇喜多羽彩「羽彩さんが助けるから!」
〇ボロい校舎
三好優弥「詩乃、どこにいるんだ」
宇喜多羽彩「優弥落ち着いて」
三好優弥「あいつはどこにいるんだ」
宇喜多羽彩「大丈夫だよ とりあえず手紙は探そう」
宇喜多羽彩「すぐに懐中電灯持ってくるから」
宇喜多羽彩「絶対、動かないでね」
三好優弥「こんな広いところ どうやって見つけるんだよ」
三好優弥「見つかるわけないだろ」
宇喜多羽彩「私の好きな三好優弥は そんな弱気は言わない!」
宇喜多羽彩「いつも天然で人をからかってくるけど いつも強くて怖い人にも動じない!」
宇喜多羽彩「とってもかっこいいんだよ!」
三好優弥「何言ってんだよ」
三好優弥「詩乃がいたから強くあろうとしたんだ」
三好優弥「詩乃を忘れてたから どうにかなってたんだ」
三好優弥「もういい」
三好優弥「手紙なんて見つけるなんて無理だ」
三好優弥「こんな夜に2人だけで見つけるなんて」
蒼村優「大丈夫ですよ! 優弥くん!」
三好優弥「優?」
上杉遼羽「ったく、しょうがねえな うちの部長は助けてくれも言えねえのか?」
三好水葉「お兄ちゃん、もっと他人を 頼ることを覚えた方がいいよ」
三好優弥「上杉、水葉」
三好双葉「お兄ちゃんはもう無理しなくていいんだよ」
蒼村優「このそむら! 絶対に手紙を探し出して見せます!」
三好優弥「双葉、そむら」
京極「何事か知らんが手伝いに来たぞ」
竜崎「これで2回目っすかね このツケは高いっすよ」
三好優弥「京極、竜崎」
金剛天寿「もう少し早ければ 職員にも手伝ってもらえたが 三好氏はそれを望まんだろ?」
斎条「仕事は全てキャンセルだ 可愛い生徒の探し物が優先だ」
三好優弥「理事長、校長」
有馬美沙「可愛い弟分と妹分のためだ! お姉さん、頑張るよ!」
九鬼美月「先輩への恩返しです!」
三好優弥「美沙さん、美月」
三好優作「優弥と詩乃の大事なものを 見つけてやる」
三好葉月「手紙を見つけないと 詩乃も報われないわ」
三好優弥「親父、おふくろ」
ねこ「もー」
学園祭係「やー!あの子の為なんでしょ? 卒業した身だけど手伝うよ! それが学園祭係の責任だからね」
三好優弥「ねこ、お姉さん」
宇喜多羽彩「まったく、優弥って 本当は人たらしじゃないの?」
三好優弥「羽彩」
宇喜多羽彩「こんな遅くにさ」
宇喜多羽彩「優弥のために集まってくれたんだよ」
蒼村優「そうなんですよ!」
蒼村優「最初は上杉先輩と水葉と双葉に お願いしただけなのに」
蒼村優「そこから、みんなに伝わったんですよ!」
三好優弥「優、お前がやってくれたのか?」
蒼村優「はい!」
蒼村優「でも、優弥くんと羽彩先輩の話を 盗み聞きしちゃってすみません」
蒼村優「だけど、優弥くんの悲しそうな顔に 耐えられませんでした」
蒼村優「優弥くん」
蒼村優「さっき部室で怒ってごめんなさい」
蒼村優「私、たくさん恩があるのに あんな怒り方しちゃいました」
蒼村優「お願いですから 嫌いにならないでください」
蒼村優「優弥くんに嫌われたら 生きていけません!」
三好優弥「なるわけないだろ」
三好優弥「お前は唯一無二の後輩で 友達だ」
蒼村優「嬉しい!」
三好優弥「やっぱり、そむらは笑ってないとな」
宇喜多羽彩「よかったね、優弥」
宇喜多羽彩「そむらちゃん、ありがとうね」
蒼村優「はい!」
三好優弥「そうだな」
三好優弥「俺にはいつの間にか こんなに周りに人がいたんだな」
三好優弥「あいつのお陰だな」
三好優弥「じゃあ、旧校舎に行くぞ」
「はい! うん!」