Book the memory ~家族殺人~

羊人

会話②(脚本)

Book the memory ~家族殺人~

羊人

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〇おしゃれなリビング
  電話の向こうからおちゃらけたような声が聞こえる
  どこか聞き覚えのある男性の声だが、思い出すことは出来なかった
「・・・・・・ふーん また本に没頭して僕のこと忘れてるでしょ?」
「酷いなぁ・・・ 君が本を読んでいる間、現実世界の真を誰が護っていると思う?」
「僕だよ、僕!! そんな僕を忘れるなんて・・・」
奈宮 真「そ、それってどういう・・・」
「ふふっ、まぁ戻ってくれば思い出すさ 無事に出られれば、だけどね」
「一応僕は忠告したんだからね? 記憶のことも、真自身が危険に見舞われることも含めてね」
「君は特に本の世界に呑まれてしまうからね 命の危険があるものは避けた方がよい」
奈宮 真「本の世界・・・ それって一体?」
「あははっ、それの説明をしてもいいけれど、この本・・・正確にはこの手記を記した人はこう言っていたよ」
「父が脱出の鍵かもしれない・・・とね 細かい話は真が聞いていたけれど」
「当人が覚えていないのならば、真たちが今見たものを頼りにするしかないだろうね」
奈宮 真「俺たちが見たもの・・・」
「まぁ時として『想像力』に頼る必要もあるだろうけどね」
奈宮 真「想像力・・・」
「ふふっ、何も覚えていない真と話すのは面白いね」
「想像力。 本の世界では時として描かれない別の物語もあるからね」
「それを推察し利用する、そして本来描かれていない物を想像して創造する」
「もしかしたら見えない何かが見えるようになるかもしれないね?」
「まぁこれも、いつも真が僕に言っていることなんだけどね。 細かな創造や推察が大事なんだってさ」
奈宮 真「お前はこの物語に出てくるキャラクターではないんだよな?」
「あははっ、素敵な想像力だね」
「僕の名前は山口 虎太郎(やまぐち こたろう) 君の幼馴染みさ」
「そして真と同じく、僕らの幼馴染みを殺した犯人を追う者さ」
奈宮 真「虎太郎・・・」
「僕のことはどうでもいい それより見つけ出してくれよ?」
「この手記にはまだ燃やされる前の犯人の手掛かりがあるはずなんだ」
「それを見つけ出し読み解いてきてくれよ んじゃ、そろそろ切るね」
「本を読む妨げが続くと、物語が崩れてしまう 真たちの意識が閉じ込められたまま本が読めなくなれば・・・」
「真たちはその世界で身動きがとれなくなってしまうからね。長電話はご法度さ じゃあ、幸運を祈るよ」
「あぁそうだ。 本から抜け出したいならば、物語を完結させるといいよ。今で言えば家族を殺した犯人を探す」
「そしてそれを皆に気づかせること、だね」
「僕の愛して止まない相棒(バディ)」
「真の無事を祈っているよ」
  プツリ
  そこから先、彼の声は途切れてしまった
道永 由芽「どう、でしたか?」
奈宮 真「記憶を戻す手立ては分からなかった」
道永 由芽「あ・・・そうなんですね」
  少し落胆した表情を見せる
奈宮 真「でも大丈夫 物語から抜け出す方法は分かったから」
道永 由芽「なら、良かったです」
奈宮 真「行こう。まずはこの家を出るんだ。 家にいても見つかってしまうからね」
道永 由芽「はい、そうですね」
道永 由芽「頼りにしてます、真さん」
奈宮 真「あ、あぁ。 必ず護るよ、君のことを」

〇個人の仕事部屋
  とある探偵事務所
「ふむ・・・・・・」
山口虎太郎「家族殺しの手記を読むのはどうだい?」
山口虎太郎「頼むから死んでくれるなよ。 お前だけが頼りなんだ」

次のエピソード:悪夢の始まり①

コメント

  • 今回もドキドキで面白かったです🌟
    続きが楽しみです😆

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