11.最終戦争(脚本)
〇研究開発室
丸山サクラ「見つけたぞ母上 拙者が中学生の時以来じゃな」
ザンデス丸山「そうね 単独でトップシークレットの この部屋にたどり着くなんて さすが私の娘」
丸山サクラ「あなたに教わった知識など ほとんどない 独学でここにたどり着いた!」
丸山サクラ「端的に言う 母上、人類を滅ぼすなどという 馬鹿げた考えはやめるのじゃ」
ザンデス丸山「・・・・・・」
丸山サクラ「何を黙っている?」
ザンデス丸山「フフ 許せないでしょうね・・・・・・ しかし私はハイパーゴリラ計画の責任者 恨まれるのは慣れっ子」
ザンデス丸山「私が恐れるのは 宇宙の意志に背くことのみ」
丸山サクラ「母上は 人間が 人間が憎いのか? そこが分からん」
ザンデス丸山「憎しみなど とうにない あるのは諦めと確信だけだ」
ザンデス丸山「繰り返される戦争 環境破壊 人類は警告を無視して 過ちを繰り返してきた」
ザンデス丸山「そして この私も 知恵の使い方を誤った」
丸山サクラ「ハイパーゴリラ計画の暴走は 取り返しのつかない結果をもたらした」
ザンデス丸山「私がゴリラたちに期待したのは 人間よりも人間らしく 争いや環境破壊をしない生き物への 進化」
ザンデス丸山「そのためにゴリラを改造しようと したのは 神の領域への侵犯でしかなかった!」
丸山サクラ「そしてあなたは 人間を恨むマスターゴリラと結託をして 暗躍してきた カルト教団さえも利用しながら」
ザンデス丸山「そう! そして私を含む 愚かで罪深い人間が このタワーに集結している!」
ザンデス丸山「間もなくマスターゴリラが口火を切り 最終戦争の狼煙が上がるだろう」
丸山サクラ「もし仮にじゃ 人間を滅ぼしたあとは どうするのじゃ?」
ザンデス丸山「人間がいなくなった世界で 自分だけ のうのうと生きるつもりはない」
丸山サクラ「それは 拙者が子供のころ母上に プレゼントしたロケットペンダント」
ザンデス丸山「そう このロケットペンダントには 毒薬が入っている 人類の最後を見届けたら 私も死ぬわ」
ザンデス丸山「さて そろそろ計画の発動する時間だわ ここまで来れたのは偉いけど 一足遅かったみたい」
丸山サクラ「なんだと?」
ザンデス丸山「このタワーで事を起こしたあとで 世界中のコンピュータをハッキングする プログラムが自動で作動するわ」
ザンデス丸山「ま、止められるものなら せいぜい止めてみるがいいわ」
丸山サクラ「母上!どこに行くんじゃ? いかん ここのコンピュータを止めねば 大変なことになる!」
丸山サクラ「なんて頑丈なパソコンじゃ 物理的に破壊するのは無理じゃ プログラムを止めねばならないのか!」
〇近未来の闘技場
山田カテルとアレックスの
激闘は続いていた・・・・・・
アレックス「我、山田カテルに問う!」
アレックス「汝は如何なる心の声に従い 戦い続けてきた?」
山田カテル「俺は自分こそが勝者に相応しいと 信じてきた」
山田カテル「父に貰ったこの名がそれを示している そう信じていた」
アレックス「しかし いつまでも 親の言うことを聞いている わけにはいかんな」
山田カテル「そう! その親の教えや生き方に 大いに疑念が湧いたならなおさら!」
アレックス「反抗期か? 人間は面倒な生き物だな」
山田カテル「単なる反抗期じゃねえ 親は人道に反する行いをしてきた その稼ぎで俺を食わせてきた」
山田カテル「だから 自分のしてきたことが 正しいのか 自分の目的がなんなのか 今は分からんのだ」
アレックス「悩ましいな しかし私も似たような悩みを持っている 今こそ反旗を翻すべきか否か?」
山田カテル「反旗?」
マスターゴリラ「ずいぶん長いな カッコなどつけず もっと己の欲のままに 傷つけあえばよいものを そうすれば・・・・・・」
アレックス「そう!マスターゴリラ! 私はあなたとドクターザンデスの 計画に反旗を翻す!」
マスターゴリラ「面白いことを言うな アレックス 対戦相手を間違えてはいないか?」
山田カテル「アレックスさん? 試合放棄かい?」
アレックス「茶番はもうこの辺で良いだろう マスターゴリラ そろそろ真意を明かされたらどうです?」
マスターゴリラ「ワッハッハー! 真意?真意だと? 見ての通りわしは 欲深い人間たちを争わせ 悪趣味にも楽しんできたのじゃ」
マスターゴリラ「ネットでは ゴリラ・タワー争奪杯への疑問も 溢れてきておるのは承知 まあ、矛盾は大きいほどよい」
山田カテル「!?」
マスターゴリラ「ゴリラ兵よ とりあえず見せしめに 山田カテルとアレックスを 殺せ!」
ゴリラ兵「最終戦争の第1歩 まずは君たちをカメラの前で 血祭りに上げること」
山田カテル「最終戦争だって?」
アレックス「いかん! まずは奴を止めるぞ!」
山田カテル「よく分かんねえけど アレックスさんに協力するぜ」
〇大聖堂
ここは
ゴリラ・タワーの頂上にある
大聖堂
ザンデス丸山「マスター・ゴリラ 私の娘が計画プログラムを 止めようと頑張っているわ」
マスターゴリラ「こちらは 一番の部下が反旗を翻したわい」
マスターゴリラ「しかし計画に変更はない」
信者「私はどうすれば? 救われることを信じて 皆様についてきたのですが?」
マスターゴリラ「君は、この大いなる計画のために 捨て駒になれ」
マスターゴリラ「このUSBメモリもろとも 消えてくれればいい」
信者「分かりました」
ザンデス丸山「随分扱いが雑ね」
マスターゴリラ「人間というのは、ああいう風にもなり得るものかね」
〇近未来の闘技場
名取キクオ「いったいカテルたちは何と戦っているんだ?」
名取キクオ「はあ? ゴリラ兵とかいうのが こっちまで、どうなってる?」
〇大聖堂
そして
マスター・ゴリラから
タワー全体に
メッセージが生配信された!
マスターゴリラ「このタワーに集まった愚かな 300人あまりの人間たちよ そして世界中の者よ もういいだろう」
マスターゴリラ「私とドクターザンデスは 世界中に宣戦布告する 目的は人類滅亡だ」
マスターゴリラ「まずは、このゴリラ・タワーが 崩壊する! そのあと世界中のコンピュータが めちゃくちゃになる」
マスターゴリラ「そして増殖されたゴリラ兵たちが あらゆる人間たちに 襲いかかるだろう!」
ザンデス丸山「皆さん これは宇宙的な運命なのです どうか 納得してください」
〇近未来の闘技場
メッセージが配信された直後
地響きが鳴り
タワーが崩れ始めた!
ゴゴゴゴゴゴ
山田カテル「なんだこりゃ?」
名取キクオ「やばい逃げなきゃ! 皆さん! 逃げてください!」
ダリア「やば ヤバすぎなんすけど」
ミッチー「まじでカタストロフ?」
名取キクオ「みんな!避難口はあっちです!」
クラゲ「オタク!案外頼もしいじゃん!」
ヒトデ「キクオくん! やっぱ素敵!」
名取キクオ「やば! マジでボクも逃げなきゃ!」
名取キクオ「カテル? カテルはいるか?」
山田カテル「あそこに賞金の100万円がある! それを取って帰らにゃ!」
名取キクオ「はあ? カテル この期に及んで賞金? うわー もうダメだ カテルも早く逃げてくれ!」
山田カテル「ウオオオ! 100万円は絶対手放なさいぜ!」
〇研究開発室
名取キクオ「あれ?変な部屋に出ちゃったぞ?」
丸山サクラ「なんか この破壊プログラム止めたいんだけど 間に合わないっぽい」
名取キクオ「丸山サクラさん! こんな状況でパソコン?」
丸山サクラ「このプログラム止めないと 世界中のコンピュータがやばいのじゃ」
名取キクオ「そ、それならボクも手伝うよ プログラム得意だし カタカタカタカタ」
丸山サクラ「カタカタカタカタ」
名取キクオ「うわー!びっくりした でもなんとか止まったじゃん!」
丸山サクラ「ありがとう これで世界中のコンピュータは 安心じゃ」
名取キクオ「でもボクらの安全は? あっ! こっちに緊急避難口が!」
丸山サクラ「一人ずつじゃないと無理じゃな まずは」
名取キクオ「丸山サクラさん! 先に行ってください!」
丸山サクラ「え?」
名取キクオ「いいから早く!」
丸山サクラ「分かったから押すでない! うわー」
名取キクオ「とりあえず彼女は助かったか・・・・・・」
〇荒廃した街
こうしてタワーは崩れ去った
丸山サクラ「とりあえず自分は助かったし コンピュータの安全だけは守れたが」
丸山サクラ「マスターゴリラとあの人がおる限り 本当の危機は去ってはいないか」
丸山サクラ「そして他の者たちは無事なのか?」