ゴリラ・タワー

千田陽斗

12.最終話 生きよ、堕ちよ(脚本)

ゴリラ・タワー

千田陽斗

今すぐ読む

ゴリラ・タワー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇荒廃した街
  キクオらの懸命な避難誘導により
  タワーにいた人間の半数は助かった
  しかしタワー崩壊事件は
  死者123名
  重症者77名
  という大惨事に至った
  マスターゴリラとドクターザンデスこと
  ザンデス丸山は
  タワーに隠してあった飛行円盤で
  いずこかへ逃げ仰せた

〇荒廃した街
丸山サクラ「オロオロ・・・・・・ 拙者と関わりのあった者たちは どこへ行ったのじゃ?」
レスキュー隊「あなた何しているの? ここはまだ瓦礫や爆発物が あって危険だわ」
丸山サクラ「しかし・・・・・・」
レスキュー隊「もう暗くなる 捜索は明日以降になります あなたも歩けるなら帰って」
丸山サクラ「了解いたした」

〇一戸建て
丸山サクラ「・・・・・・」

〇本棚のある部屋
丸山サクラ「プルルルル カキツバタさんから電話じゃ」
カキツバタ「ハロー もしもし カキツバタです サクラさん ニュース見た? ゴリラ・タワー崩壊!」
丸山サクラ「見たも何も拙者は あの時タワーにいたんじゃ」
カキツバタ「ええ? よく無事だったわね 怪我はない?」
丸山サクラ「拙者は、大丈夫 ただ一緒にいた顔見知りたちの姿が 見えなくて心配じゃ」
カキツバタ「カテルくんとか?」
カキツバタ「たぶん大丈夫よ 彼らはたくましいから」
丸山サクラ「そうじゃとよいが・・・・・・」

〇電器街
  翌日・・・・・・
「うわー! ゴリラ兵たちの襲撃だー!」
ゴリラ兵「ギョジョアアアアッ!」
ゴリラ兵「バインドコラッモーン!」
「ギャ~!」
市民「ガハッ なんて力だ!」

〇学校の屋上
丸山サクラ「世界中のコンピュータのクラッシュは 免れたが ゴリラ兵の暴走は不可避か!」
丸山サクラ「かくなる上は・・・・・・・・・」
カキツバタ「サクラさん まさか丸腰で戦う気?」
丸山サクラ「カキツバタさん! なんじゃそのコスプレは!?」
カキツバタ「こ、コスプレって失礼な! とにかくこれを!」
丸山サクラ「銃ではないか?」
カキツバタ「これで応戦するわよ! 覚悟はいい?」
丸山サクラ「うむ! いざ突撃じゃ」

〇荒廃したセンター街
丸山サクラ「シャー! 丸山サクラ参上!」
カキツバタ「シャッシャー! カキツバタ参上!」
丸山サクラ「さっきの間に街がめちゃくちゃに!」
カキツバタ「ゴリラ兵覚悟!」
ゴリラ兵「きゃー!」
丸山サクラ「別のゴリラ兵が建物に!」
丸山サクラ「逃さん!」
ゴリラ兵「ムン!」
カキツバタ「サクラさん! 気をつけて!」
丸山サクラ「ヤー!」
ゴリラ兵「ギャフ!」
丸山サクラ「くっ ヒトもゴリラも 同じ赤い血が通っているのか」
カキツバタ「サクラさん! 向こうに人がいます 逃げ遅れたのか?」

〇荒廃したショッピングモールの中
カキツバタ「たしかこっちに来たはず 助けなきゃ・・・・・・」
丸山サクラ「2階の方になにかが見える」
丸山サクラ「母上・・・・・・ いやドクターザンデス!」
カキツバタ「なぜあんなところへ?」
ザンデス丸山「そこにいるのは誰?」
丸山サクラ「サクラじゃ! ドクターザンデス いまさら地上に降りて 何をしにきた?」
ザンデス丸山「銃声や悲鳴でよく聞こえなかったけど 私のかわいい娘サクラじゃない? あなたこそどうしたの?」
カキツバタ「あの人 目を怪我して見えてない この騒ぎに巻き込まれたのか?」
丸山サクラ「ドクターザンデス! 私はもう、あなたを母とは 思うてない! こんな馬鹿げた騒ぎに幕を降ろして 警察にでも行け!」
ザンデス丸山「あっそ じゃ これはいらないわね あなたがくれた ロケットペンダント」
丸山サクラ「人がくれたものに 毒薬など仕込みおって・・・・・・」
ザンデス丸山「じゃ サヨナラね・・・・・・」
丸山サクラ「待て! 一連の責任を取ると 約束するのじゃ」
カキツバタ「目が見えないのに どこへ行くつもり? 私たちも2階へ」
  そして、二人はドクターザンデスを
  追ったが
  結局は見つからなかった・・・・・・

〇立ち食い蕎麦屋の店内
山田カテル「俺はなんとか助かったが 脱出のさいにスマホを失くした この店で待ってれば 誰かしらとは会えるだろう キクオとか」
山田カテル「それにしても おっさんまでいないのは 何なんだよ 腹減ったぜ」
アレックス「こんにちは 誰かいますか?」
山田カテル「アレックスさんじゃん! こんにちは」
アレックス「おや カテルくん 無事だったかね」
山田カテル「俺はなんとか でも他の人の安否もわからないし 大変なことになっている」
アレックス「マスターゴリラの行方を追う手がかりも ひとつ消えてしまった」
山田カテル「やつらの手がかり?」
アレックス「そう、奴らの最終戦争の計画の骨子を まとめたUSBメモリが見つからなかった もう証拠隠滅されているかもな」
山田カテル「そうか・・・・・・ マスターゴリラたちに戦争を 止めさせるのも一苦労だね」
アレックス「しかし、もう1つ手はある」
アレックス「これは、ゴリラ・ストーン どさくさに紛れて奪ってきた マスターゴリラは必ずこれを 必要とする」
アレックス「なぜならゴリラ兵のさらなる増殖には このゴリラ・ストーンが必要だ だから今はこの街しか攻撃できていない」
山田カテル「要するにおびき寄せ作戦か 協力するよ」
山田カテル「その前に」
山田カテル「腹ごしらえでもしよう ここの蕎麦うまいんだぜ」
アレックス「これは、ありがたい」

〇立ち食い蕎麦屋
アレックス「もし、マスターゴリラとの戦いが 長引いたら 私は戦闘部隊を結成して 抗おうと思っている」
アレックス「カテルくん その時には君に実行部隊の トップになって欲しいのだが」
山田カテル「よせやい 俺はトップなんて 柄じゃねえ  こんな世の中 地べたを 這いつくばって生きるので 精一杯さ」
アレックス「そうか・・・・・・ 坂口安吾の生きよ、堕ちよ  ではないが そういう考えも存外面白い」

〇荒廃した遊園地
アレックス「さて ここなら目立つな これ見よがしに ゴリラ・ストーンを掲げてみよう」
山田カテル「なんか飛んできた!」
アレックス「マスターゴリラの飛行円盤だ」
アレックス「マスターゴリラの ホログラム映像だ」
マスターゴリラ「やはり貴様がゴリラ・ストーンを 盗んでおったのか! 返せ さもなくば全ゴリラ兵を 持って奪い返す!」
山田カテル「やれるもんならやってみろ!」
アレックス「飛行円盤が着陸したぞ!」
「やべえ 武装したゴリラ兵が 100人ほど降りてきた!」
アレックス「少し見通しが甘かったか」
山田カテル「こっちもそれなりに武装してるが キリがねえ!」
アレックス「えい!えい!」
アレックス「さすがに多勢に無勢か」
ゴリラ兵「ギャ!」
アレックス「銃?」
丸山サクラ「やつらの親玉が降りてきたかと思えば!」
カキツバタ「普段はカキツバタ! 今はスーパーカッキー! 加勢するわ!」
丸山サクラ「スーパーカッキーって・・・・・・」
クラゲ「あ!丸山サクラと謎のコスプレ女に 先を越された!」
ヒトデ「地元の仲間も連れてきたよ! みんなで街を守ろう!」
良心的なゴリラ「ウホー!ウホー!」
アレックス「人間の仲間だけでなく ゴリラの君まで助けてくれるのか! 頼もしい!」
山田カテル「よっしゃー突撃だ!」

〇荒廃したショッピングモール
山田カテル「よし みんなでゴリラ兵を 蹴散らし円盤の近くまで来たぞ」
アレックス「私が爆弾を持って突入する! カテル 援護を頼む!」
山田カテル「よしきた!」
ゴリラ兵「そうは させるか!」
山田カテル「まだいたのか!」
アレックス「1人で2人を相手にするとは! やるな!」
山田カテル「ここは俺が抑える! アレックスさん 行け!」
ゴリラ兵「ギリギリ・・・・・・」
アレックス「人間1人で、ゴリラ兵の パワーには勝てないぞ!」
山田カテル「くそ どうすれば?」
???「てやんでい 俺に任せろ!」
アレックス「誰だ?」
蕎麦屋のおじさん「カテル! 頑張って アレックスさんに 王手を取らせるぞ!」
山田カテル「そ、蕎麦屋のおじさん!」
ゴリラ兵「小癪な!」
山田カテル「うおおお・・・・・・」
ゴリラ兵「この野郎!」
蕎麦屋のおじさん「フッ 効かんね・・・・・・」
山田カテル「おっさん 無敵かよ」
  そして 数分後
山田カテル「やべえ爆発! アレックスさんやったのか?」
蕎麦屋のおじさん「・・・・・・」
山田カテル「アレックスさん すげー怪我じゃん」
蕎麦屋のおじさん「病院に運ぶぞ!」
アレックス「く・・・・・・」
  そして爆弾で半壊したまま
  円盤は飛び去った

〇病室(椅子無し)
アレックス「ここまで運んでもらって かたじけない」
アレックス「単刀直入に言おう マスターゴリラを仕留め損ねた」
山田カテル「そうか」
アレックス「しかし ヤツにも相当のダメージを負わせた ゴリラ兵たちもやっつけた それに」
アレックス「ゴリラ・ストーンは奪われなかったよ」
山田カテル「それだけは 救いだな」
アレックス「そしてこの手で」
アレックス「ゴリラ・ストーンを 破壊した これでゴリラ兵も増殖できないし やつらも懲りるだろう」
蕎麦屋のおじさん「お前さんたちは 勇者だ!」

〇電器街
  そしてゴリラ兵たちに破壊された街も
  復旧した
  街にささやかな平和が訪れた

〇立ち食い蕎麦屋の店内
  そして数週間後
蕎麦屋のおじさん「カテルが女のコ連れてくるたあ 珍しいね このコが噂のサクラちゃんか」
クラゲ「私はクラゲです」
蕎麦屋のおじさん「そ、そいつは失礼 じゃあとは若いもん同士で・・・・・・」
山田カテル「やあ クラゲちゃん なんか来てもらってありがとね」
クラゲ「いったい何の用?」
山田カテル「風のうわさで聞いたんだけど 君の弟さんって大変なんだって」
クラゲ「そうです 弟は難病を抱えていて 年内に手術を受けないと 30まで生きれるかどうかわからない」
クラゲ「でも手術代が中々稼げなくて 最近焦ってます」
山田カテル「もしよかったら これを使ってくれねえか?」
クラゲ「なに この金? あんたの?」
山田カテル「いや これは争奪杯の賞金 あんな状況になってさ 賞金とかウヤムヤになるぐらいならって」
山田カテル「持ってきちゃった いいよね?」
クラゲ「やはり欲張りチームの片割れは違うね で この金を弟の手術代にしてくれと」
クラゲ「ちょっと考えさせて」
丸山サクラ「頼もー!」
山田カテル「あ!サクラちゃん サクラちゃんも蕎麦好きなの?」
丸山サクラ「拙者はラーメン派だが 蕎麦にもチャレンジしてみたくなったのじゃ」
山田カテル「拙者? サクラちゃん そんなおサムライみたいな 喋り方だっけ?」
丸山サクラ「そうじゃが カテル殿の前では猫を被っておった かもしれんのお フフ」
クラゲ「あ!丸山サクラ!」
丸山サクラ「クラゲさんではないか」
クラゲ「あ ちょっと待って カテルって丸山サクラとなんか なかったっけ?」
丸山サクラ「そう言えば拙者と水族館に行きたいと 申しておった ちなみに条件は100万円の指輪を 買ってくれることじゃったな」
クラゲ「え でもさっきカテルは私に100万円 くれるって 病気の弟の手術代にしなよって 言ってたよ」
丸山サクラ「なるほど」
クラゲ「カテル! あんた、この選択肢次第で あとの人生変わるわよ?」
山田カテル「え? どうすればいいんだ?」
丸山サクラ「どうするかはカテル次第じゃ しかし拙者 水族館に行ったことが ないんじゃ・・・・・・」
山田カテル(うーん 困った サクラちゃんともデートしたいけど 病気の弟助けないのも違うよな どちらに100万円使ったらいいんだ?)
クラゲ「そんな悩むことか? カテル 自分の胸に手を当てて 考えてみなよ」
丸山サクラ「・・・・・・」
丸山サクラ「分かった! 拙者が辞退すればいいんじゃ!」
クラゲ(え?急に何言ってんの?)
丸山サクラ「拙者も、客観的に考えてみたが どう考えても 病人を助けるためにお金を 使ったほうがよい!」
丸山サクラ「さ クラゲさん これでなんとかしなされ」
クラゲ「あ あ はい ありがとうごさいます」
丸山サクラ「拙者 これにて失礼いたす」
山田カテル「あれ?サクラちゃん 蕎麦食べに来たんじゃないの?」
クラゲ「カテル!もうサクラちゃんのことは いいでしょ 彼女が、せっかくくれたチャンスなんだし」
クラゲ「カテルとは練習試合で 一緒に走ったのがはじめてだよね あの時は、単なるチャラ男かと 思ってたけど」
山田カテル「あー はい」
クラゲ「今日だってそうだし 案外中身は誠実なんだなーって思ったよ」
クラゲ「ところで私をはじめて見たときどう思った?」
山田カテル「足早いなーって思った」
クラゲ「それだけ?」
クラゲ「まあいいや 私のこと知ってもらうためにも 今度私の街に来てね」
山田カテル「そ そりゃ一緒に争奪杯戦った仲だし もちろんだよ キクオも連れていくよ」
クラゲ「絶対だよ」

〇立ち食い蕎麦屋
  丸山サクラは
  母が突き返して来た
  ロケットペンダントを握りしめた
丸山サクラ「みんな、しばしサヨナラじゃ お互いがもっと大人になったら また会おうぞ」
丸山サクラ「カテル こんな拙者のこと かわいいなんて言ってくれて 嬉しかったよ どうぞ、お幸せに」

〇空
  捜索活動が難航していた
  ゴリラ・タワー跡地から
  名取キクオの遺体が発見されたのは
  さらに数日後のことだった
  ゴリラ・タワー
  
  THE END

成分キーワード

ページTOPへ