発電所編パート6(脚本)
〇古生物の研究室
ボブ「で、電気が・・・」
橘宏美「多分、上手くAIを動かせたんでしょう・・・」
ボブ「あの・・・どうします?ここの事」
橘宏美「まずは戻って報告しましょう。その後、資料としていくつか持ち帰れる物は持ち帰る」
ボブ「・・・は、はい」
橘宏美「・・・飲み込めないのは解ります。でも今は、目の前のやるべき事です」
〇雑誌編集部
橘宏美「どうやら、発電システムは無事に動いた・・・・・」
橘宏美「・・・ってワケじゃなさそうだね、この騒ぎを見ると」
葛城乙葉「し、施設の送電システムは動いたんです、しかし・・・」
橘宏美「しかし?」
葛城乙葉「発電システムのハードウェア。つまり発電システム自体に物理的な問題が起きていて、発電がストップしているんです」
橘宏美「あー・・・制御AIは動いてても、肝心の発電所のケーブルが切れてるとかタービンが壊れて動かないたいな?」
葛城乙葉「は、はい・・・」
橘宏美「どこが壊れてるかはわかる?」
葛城乙葉「発電タービンに何か詰まってるみたいで、これをどうにかしないと発電できないんです」
ボブ「此方からどうにかなりませんか?」
葛城乙葉「外からどうにかするのは難しいですね、直接取り除かないと・・・」
橘宏美「・・・つまり、ダムの中に潜ってタービンに詰まったゴミをほじくり出すしかない、と?」
葛城乙葉「ごっ、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
橘宏美「・・・いや、葛城さんが悪いわけじゃないよ。ごめんね強く言っちゃって」
ボブ「・・・おそらく宝満電力は、これもAI制御のドローンか何かに対応させようと考えて、こういう設計にしたんでしょうね」
ボブ「ロボットアニメの試作機がごとく、試せる新技術は何でも組み込んでテクノロジーの展覧会にしようとした。でも・・・」
橘宏美「肝心のドローンが届く前に、闇の仕置人が死の裁きを下した、と・・・」
橘宏美「・・・ここまで来て、こんな・・・!!」
ボブ「うーむ、せめて水中作業艇でもあればいいんですが・・・」
橘宏美「アニメじゃないんです、そんな都合よく──」
葛城乙葉「水中作業艇・・・?」
葛城乙葉「・・・あ、あります!」
葛城乙葉「ほら・・・リクガニ一号!!!!」
橘宏美「リクガニ一号・・・そうか!!アレなら水の中に潜って作業できる!!」
ボブ「でも、誰が乗るんです?水中作業艇の免許持ってる人なんて、そうそう・・・」
橘宏美「あ・・・そうでした、パイロットがいないんでした」
葛城乙葉「・・・一つだけ、方法があります」
橘宏美「?」
葛城乙葉「・・・”絆のバトルフィールド”ってゲームがあります・・・ヴァンダムの」
ボブ「・・・ああ、それなら俺も知ってます。ゲームセンターに置いてあるやつですよね?」
──────絆のバトルフィールド。
ロボットアニメの金字塔・ヴァンダムを題材にした筐体式アーケードゲーム。
ロボットのコックピットを模した筐体に乗り込み、本編さながらのロボットバトルを楽しめるのだ。
橘宏美「・・・・・・」
葛城乙葉「あれの筐体を作ったのはリクガニ一号と同じ草薙鉄工で・・・」
葛城乙葉「・・・コックピットと操縦システムの基礎は、その”キズバト”の流用なんです」
ボブ「へ、変なとこでケチくさいですね草薙鉄工・・・」
ボブ「・・・待てよ、それはつまり・・・」
葛城乙葉「・・・”キズバト”のプレイに慣れていれば、操縦できるんです!!」
ボブ「ゲームセンターに置いてあるゲームが通じるなら、動かせる人も多いですね!!」
ボブ「無免許なのが引っかかりますが、気にはしてられません。誰かこの中にゲームの腕前に自信のある方は・・・」
橘宏美「・・・・・・」
ボブ「あの、橘さん?どうかしました?」
橘宏美「い、いや、その・・・」
モブ「お・・・思い出したぞ!!」
橘宏美「げっ・・・!!」
モブ「7年前のキズバト地区大会の優勝者・・・強襲型ヴァンタンクで暴れ回ったエース、君じゃないか!!」
モブ「あの時私も大会スタッフであの場にいたんだ、まさかこんな所で再会できるなんて・・・!!」
ボブ「すごいじゃないですか橘さん!!そんな才能があったなんて!!」
橘宏美「いや・・・でも遊びよ?ゲームよ?その」
葛城乙葉「ですが・・・その遊びの技術が今は必要です」
橘宏美「うっ・・・」
葛城乙葉「橘さん・・・乗ってくれますね?」
橘宏美「・・・・・・」
橘宏美「・・・泣けるぜ」
〇廃墟の倉庫
モブ「・・・よし、動いた!!」
葛城乙葉「システム正常、動作問題ありません」
橘宏美「な、なあ、本当にゲーム通りの操作で動かせるのか・・・!?」
葛城乙葉「も、問題ありません。進む、戻る、腕を動かすといった一連の動きはキズバトと同じです」
葛城乙葉「細かい所は、私が通信で指示しますので」
ボブ「それにしても、調べたらもっとすごいって解りましたよ」
ボブ「地区大会優勝のみならず、当時のプロゲーマー事務所からもスカウトがかかったんですよね」
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