ゴリラ・タワー

千田陽斗

10.運命との対峙(脚本)

ゴリラ・タワー

千田陽斗

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〇近未来の闘技場
名取キクオ「始まってしまった でも、僕らの出番はかなり後だ カテル、それまでに 間に合ってくれよ」
職員「さあ、それではラストの試練 サイバーバトルの第1試合 チームハリケーンVSペッパーズの 試合です・・・・・・」
???「ちょっと待ってくれよ」
職員「!? 誰でしょうか まさか乱入?」
才馬ヤブル「俺に一言言わせろ!」
職員「なんと!才馬ヤブル選手です! 予定調和破りの乱入 なかなか最終試練らしいのでは ないでしょうか?」
才馬ヤブル「これはパフォーマンスじゃねえ! まず最初に言っておくと 俺はここで棄権するぜ!」
タカシ「き、棄権だって? そんな話は聞いてねえ 俺たちのチームはどうなる? 賞金山分けの約束は?」
職員「ヤブル選手 棄権とは、一体何があったのでしょうか」
才馬ヤブル「そしてこれは、観客も視聴者も 耳をかっぽじって聞け! この争奪杯は利権にまみれたインチキだ!」
才馬ヤブル「あそこで腑抜けヅラしている市長も共犯 優勝者は賞金100万? 関係者は2000万以上の優遇を 受けてやがる!」
才馬ヤブル「俺たち参加者が、競い合うのを 安楽椅子で眺めながら 美味しい汁を吸ってやがるのさ!」
市長「私にはなんのことだか 記憶にございませんね」
才馬ヤブル「これを聞いている参加者は棄権しろ! そして俺と一緒に この不正を糾そうではないか!」
観客「うるせー! 引っ込め! 早く試合見せろ!バカ!」
観客「だいたい才馬ヤブルって 裏で人を殴りまくっているヤツだろ? 誰がついていくものか?」
マスターゴリラ「どうやら、私の祭りに ケチをつける輩がいるらしいな」
才馬ヤブル「マスターゴリラ!」
マスターゴリラ「君はこの祭りが利権まみれというが 何が悪い? 参加者には挑戦する機会と賞金 観客にはエンターテイメント 関係者には利益」
マスターゴリラ「それぞれに必要なものを 与えてきたつもりだ それは人間が行う営みと なんら変わりはない・・・・・・」
才馬ヤブル「そ、それは」
マスターゴリラ「嫌なら勝手に棄権すればよろしい さあ君は立ち去りたまえ!」
才馬ヤブル「くそ」
職員「というわけでして それではお待たせの 第一試合のスタートです」

〇競技場の通用口
才馬ヤブル「日頃の行いが悪すぎたか 今更正しいことをしようとしても 遅いのか?」
アレックス「やあ、才馬ヤブルくん なかなか立派な演説だったね」
才馬ヤブル「あのゴリラの手下か? 嫌味でも言いに来たのか?」
アレックス「そうじゃないさ だから切腹直前の武士みたいに 思い詰めるのはやめなよ」
才馬ヤブル「!! 俺はそんなつもりは・・・・・・  あんたこそ、どんな立場で 物を言っている?」
アレックス「マスターゴリラさまの力は尊敬する しかし最近の考え方には反対だ あの方は人間を 憎みすぎている・・・・・・」
才馬ヤブル「ドクターザンデスによる ハイパーゴリラ計画の暴走により ゴリラたちはひどい目にあった」
アレックス「ゴリラ研究と称して たくさんのゴリラが実験台として 殺された」
アレックス「実験の成功により ハイパーゴリラとして進化した ゴリラたちも 森の生活に帰れなくなってしまった」
才馬ヤブル「そんなことをされたら 人間を恨むのも無理はねえ ゴリラ・タワー争奪杯で 人間を搾取するのも恨みから だろうな」
アレックス「だとしてもだ 私は人間を恨みたくはない」
才馬ヤブル「なぜ そう言える?」
アレックス「私は人間の歴史を研究した 人間の歴史は争いだらけの 悲しい歴史だ」
アレックス「人間を恨みながら悲しい歴史を 繰り返したくはない きっかけはどうあれ 自分自身の進化した力を 正しく使いたい」
才馬ヤブル「フッ なかなか立派な志だぜ 天涯孤独の嫌われ者である 俺には到達不可能な境地だな」
才馬ヤブル「じゃ俺は行くぜ」
アレックス「どこへ?」
才馬ヤブル「天国でも地獄でもない この世のどこか」
アレックス「やはり人間というものは 知っても知り尽くせないものだ」

〇近未来の闘技場
職員「第1試合はペッパーズの勝利! そして第2試合のはじまりだ!」
観客「やっぱ、サイバーバトルが一番 燃えるな!」
職員「第2試合の参加チームです! まずはサイバー親子チーム!」
花札ともえ「柔道の達人、花札ともえです!」
花札るぅ「ゲーム歴50年 ともえの母のるぅです」
職員「そして、スラム街からのし上がった 不屈のチーム クラゲ&ヒトデ!」
クラゲ「ストリートファイトで鍛えた ケンカの強さ!」
ヒトデ「中古ゲームを漁って鍛えた ゲームの強さ 見せつける!」
クラゲ(そして賞金で 難病の弟を助ける!)
職員「ファイト!」
花札ともえ「フッ その構え まるで素人」
クラゲ「オリャ!オリャ」
花札ともえ「一発も当たらないわね こっちから仕掛ける!」
クラゲ「組みかかられた!」
花札ともえ「ダリャー 花札流巴投げー!」
クラゲ「一本取られた!」
ヒトデ「技のコマンドを入力して クラゲを助けないと!」
ヒトデ「アイシクル・バースト!」
花札ともえ「ちょこざいな!」
ヒトデ「サイバー技をかわした?」
花札るぅ「私の反撃よ」
花札るぅ「ダーク・マター& ビッグ・バン・・・・・」
クラゲ「爆風が!」
ヒトデ「すごいエネルギーで ゲームキャラにまで 強い干渉が! 操作が・・・・・・ 効かない!」
花札ともえ「さあ 超えられない壁ってやつを 教えてあげる!」
レフェリー「そこまで! 勝者サイバー親子!」
職員「花札ともえの圧倒的な戦闘力と 花札るぅの的確なゲーム力 まさにパーフェクトゲーム!」
花札るぅ「ともえ良かったね」
花札ともえ「よし! これで私の知名度またUP!」

〇競技場の通用口
ヒトデ「クラゲ クラゲってば」
クラゲ「・・・・・・」
ヒトデ「そんな顔しないでよ」
クラゲ「100万円GETできなかった どうやって弟を助けたらいいの?」
ヒトデ「・・・・・・ またなんか考えましょ 100万なんてまともな仕事してれば なんとかなるわよ」
クラゲ「そうかな? うちらスラム街で育って まともな生き方なんて知らないけど」
ヒトデ「だ、大丈夫だって 私だってパソコンの資格とか 勉強してるし・・・・・・   友達みんなに協力してもらうのも ありでしょ」
クラゲ「それはそうかも・・・・・・ でも負けたの自体がもう悔しい スラム街に生まれたウチらは 負けるしかない運命なの?」
ヒトデ「そんな事言わないでよ こっちまで泣けてくる・・・・・・」

〇近未来の闘技場
職員「さてまもなくVギークスの出番ですが 対戦相手の才馬ヤブルも棄権 Vギークスのカテルくんも まだ到着していない模様」
名取キクオ「もう少し待ってください」
アレックス「この時計で3分待ちましょう」
職員「おっと 才馬ヤブルの代わりに 対戦相手となるアレックス 彼が条件を提示 3分待ちましょう」
職員(ちっ あのゴリラ余計なことをして)
アレックス「あと30秒・・・・・・」
アレックス(カテルくん どうした?)
山田カテル「お待たせー!」
名取キクオ「カテル!」
職員「なんと時間ギリギリで カテル選手登場! 君は宮本武蔵か?」
山田カテル「み、宮本武蔵でもなんでもいい 俺は戦う」
職員「準備が整い次第試合開始 今回はアレックスとカテル選手の 一対一のバトルです!」
職員「前代未聞 人間とゴリラの ガチンコのファイト!」
山田カテル「行くぜ! アレックスさん!」
アレックス「攻撃のピントが合ってないな」
山田カテル「効くねー」
アレックス(筋は悪くない しかし心に迷いがあるような・・・・・・)
山田カテル(戦う理由はよく分かんねえ 分かんなくなっちまった でも戦う中で自分の答えを 見つけたい)
名取キクオ「勝っても負けても 君の試合 見届けるよ!」

〇研究施設の廊下(T字路)
丸山サクラ「ゴリラ・タワーの 隠された通路を見つけたぞ!」
丸山サクラ「きっとあの辺りに あの人がいるに違いない」

〇謎の部屋の扉
丸山サクラ「ここじゃ! 扉ロック解除のパスワードも 割り出しておる ピ ピピピ・・・・・・」

〇研究開発室
ザンデス丸山「あら お久しぶりね サクラちゃん・・・・・・」
丸山サクラ「母上・・・・・・」

次のエピソード:11.最終戦争

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