〇雑誌編集部
　　──────水力発電所・中央制御ルーム
ボブ「・・・・・なんか、普通のオフィスって感じですね」
橘宏美「現実なんてこんなもんです、ましてや行政機関なんで・・・」
葛城乙葉「・・・制御システムの電源、入りました」
橘宏美「施設の起動はできそう？」
葛城乙葉「制御AIさんは生きてます、権限を書き換えて、火付け用の電力を用意すれば、すぐに・・・」
ボブ「なんとか行きそうですね、これなら・・・」
橘宏美「・・・・・・」
ボブ「あの、どうかしました？」
橘宏美「ん、いや、何でも・・・」
橘宏美「・・・・・・」
橘宏美（伝えられた情報を鵜呑みにするなら、ここは閉鎖された施設・・・）
橘宏美（閉鎖されたなら、重要書類や設備がそのまま置いてあるのは何でだ・・・？）
橘宏美（いくら重役全員が殺されるゴタゴタがあったとはいえ、これじゃまるで・・・）
モブ「おーい!!来れる奴はちょっと来てくれ!!」

〇黒
　　有事に備えてエンジニア組の護衛に数名残し、宏美とボブは、その男の呼ぶ場所へと向かった・・・

〇地下に続く階段
ボブ「なんだこの階段は・・・!?」
橘宏美「何って・・・階段がどうかしたんです？」
ボブ「・・・地図では、こんな所に階段はありません」
ボブ「というか、この施設に地下室は無いハズなんです!!」
橘宏美「えっ・・・じゃあ、この階段は・・・」
モブ「・・・鍵は開いていたよ、オートロックだ」
モブ「何かただ事じゃないって思って、報告を・・・」
橘宏美「・・・報告ありがとうございます」
橘宏美「後は我々がやっておきますんで、エンジニア組の方に戻っておいてください」
モブ「あ、ありがとうございます・・・」
橘宏美「・・・ちょっと見てきます」
ボブ「俺も行きますよ、あからさまに気になりますし」
ボブ「・・・本当に何かあったら、可能なら記録して逃げましょう」

〇手術室
池谷ミツコ「・・・・・・ッ!!!!」
青野健次郎「こ、このレントゲン・・・この影・・・!!」
アンナベル羽佐間「・・・なるほど」
アンナベル羽佐間「こいつがゾンビ騒動の黒幕、そんな所かい」

〇古生物の研究室
橘宏美「・・・・・・・・・」
ボブ「・・・あからさまな研究施設・・・」
橘宏美「・・・ビンゴ、ですね」
橘宏美「何か、魚のようなモノを飼育していたようだけど、何が・・・」
橘宏美「・・・これは・・・」
橘宏美「何かの書類・・・英語で書かれてるな」
橘宏美「ボブさん、読めます？」
ボブ「うーん・・・これドイツ語ですね」
ボブ「ええと、これは・・・・・・」
ボブ「・・・・・・」
橘宏美「・・・・・・？」
ボブ「・・・・”ヒドラ”？」

〇手術室
青野健次郎「・・・摘出、終わりました」
アンナベル羽佐間「ご苦労」
アンナベル羽佐間「・・・こんなモンが、人間の脊髄に入ってたなんてね」
池谷ミツコ「な、なんですコレ・・・ムカデ？」
アンナベル羽佐間「いや、勘だけどアタシにはこいつはハリガネムシに見えるね。ちょいちょい似た特徴が見える」
青野健次郎「ハリガネムシ・・・寄生虫でしたね」
青野健次郎「ですがこいつは・・・」
アンナベル羽佐間「ああ、人間に寄生してる時点でただのハリガネムシじゃない」

〇古生物の研究室
ボブ「・・・すいません、ドイツ語は苦手で、意味までは・・・」
橘宏美「まあとりあえず、それは持って帰りましょう」
橘宏美「病院の方ならドイツ語読める人が・・・んっ？」
ボブ「Diary・・・日記帳ですかね」
橘宏美「どれどれ・・・」
橘宏美「・・・しめた、コレは日本語で書かれてる」
橘宏美「何か解るかもしれない・・・!!」

〇黒
　　４月５日
　　本部から新しい実験体が送られてきた。中東から連れてきたっていう難民のオネーサンだ。
　　中々いい身体してるから適当に口説いて抱いてやった。自分が実験体になるのも知らないからな、最後ぐらい気持ちよくしてやるよw

〇手術室
アンナベル羽佐間「調べて解った事だけど、こいつは多分繁殖方法も違う」
アンナベル羽佐間「ゾンビの唾液腺から卵が見つかった。恐らく噛みつくと同時に、卵の状態で相手の体内に入り込むんだろうよ」

〇黒
　　４月８日
　　もう適当な会話もできねえ。いつもの腐乱死体の姿になっちまってうーうー言ってやんの。ハイいつも通り。
　　ぶっちゃけ飼育もめんどくせえしさっさと殺して次行きたいが、飼育は続行するらしい。餌も増やすんだと。あーめんどくさ。

〇手術室
アンナベル羽佐間「体内で孵化した卵は栄養素を喰らいながら脊髄に到達。文字通り人体を乗っ取る」
アンナベル羽佐間「・・・知らぬうちに自分が自分でなくなる、ゾッとするね」

〇黒
　　４月15日
　　クソ警備班どもが不注意で事故起こしたせいで、めでたく避難エリア生活５日目だぜファッキン。