第八話 前科少女、修行をする(脚本)
〇ゆるやかな坂道
レティシア・コーラル「気配・・・・・・みなさん、気をつけて!」
ゾンビA「ぐあぁぁ・・・・・・」
ゾンビA「ギアァァァァ・・・・・・!!」
ソンビの体は炭となり、消滅した。
レティシア・コーラル「ここいるメンバーなら問題無さそう!どんどん倒していこう!」
ゾンビB「グァァ・・・・・・」
ゾンビB「ぐぁ・・・・・・」
〇道場
サティ・メソエル「自己強化魔法は、名前の通り自分の一部分を強化する魔法なの」
サティ・メソエル「例えば、パンチ力が上がったり、足が速くなったり」
レイ・トランクィリ「いいから早く教えろよ」
サティ・メソエル「あ、ご、ごめんね・・・・・・?」
サティ・メソエル「えっと・・・・・・」
レイ・トランクィリ「なんだこれ」
サティ・メソエル「あ、これが自己強化魔法の魔法陣・・・・・・」
サティ・メソエル「まずは、上からなぞってみて」
レイは、指で魔法陣を上からなぞる。
サティ・メソエル「まずはこの形をしっかりと覚えてみてね」
レイ・トランクィリ「おう!で、次はなんだ?」
サティ・メソエル「あっ、も、もういいの・・・・・・?」
サティ・メソエル「次は、体から魔力を出す方法なんだけど・・・・・・」
サティ・メソエル「まず、自分の中の魔力の流れを確かめて」
レイ・トランクィリ「魔力の流れ・・・・・・?」
サティ・メソエル「血液とは別の・・・・・・なにか・・・・・・こう・・・・・・」
サティ・メソエル「エネルギーみたいなのが流れるでしょ・・・・・・?」
サティ・メソエル「それの流れを操って、指から出してみて・・・・・・ほしい・・・・・・」
レイ・トランクィリ「んー・・・・・・・・・・・・そらっ!」
レイ・トランクィリ「これか!!」
サティ・メソエル「すごい・・・・・・こんな威力・・・・・・」
レイ・トランクィリ「よし!早速自己強化魔法ってのを使うぜ!」
サティ・メソエル「あっ、それなら魔力を放出しながら、さっきの魔法陣を描いてみて」
レイ・トランクィリ「それで・・・・・・どんな魔法陣だったっけ?」
サティ・メソエル「あっ、見せなきゃわかんないよね、ごめんね・・・・・・えっと」
レイ・トランクィリ「えっと〜・・・・・・ここがこうで・・・・・・」
サティ・メソエル「もう・・・・・・魔力消えちゃってるよ・・・・・・」
サティ・メソエル「魔力は放出したら数秒で消えちゃうの」
サティ・メソエル「だから魔法陣で、魔力を別の物質に変える必要があるんだ」
レイ・トランクィリ「へー」
レイは魔法陣を指先でなぞる。
レイ・トランクィリ「これを記憶しろってことか?」
サティ・メソエル「そういうこと・・・・・・!」
レイ・トランクィリ「メンドクセー・・・・・・」
〇ゆるやかな坂道
レティシア・コーラル「ここら辺のゾンビは片付いたみたい!」
レティシア・コーラル「ルモルさんの方に向か──」
化蜘蛛 亜成体「キシャァァァァ!!!」
レティシア・コーラル「化蜘蛛・・・・・・!」
「ぐぁぁ・・・・・・」
レティシア・コーラル「ゾンビも・・・・・・手分けして倒そう!」
「ギァァァ!!!」
化蜘蛛 亜成体「キシャァァ・・・・・・!!」
レティシア・コーラル「一筋縄じゃいかないよね・・・・・・!」
〇道場
レイ・トランクィリ「・・・・・・ぷはっ!この水うめーな」
サティ・メソエル「よかった・・・・・・」
サティ・メソエル「サンドイッチ食べる?」
レイ・トランクィリ「食う!!!」
レイ・トランクィリ「ウメェ!!!」
サティ・メソエル「よかった・・・・・・」
サティ・メソエル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
サティ・メソエル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
レイ・トランクィリ「ん・・・・・・どうした?」
サティ・メソエル「あっ・・・・・・その・・・・・・」
サティ・メソエル「レティシア・・・・・・大丈夫かなって・・・・・・」
レイ・トランクィリ「あのダチか?」
サティ・メソエル「うん・・・・・・わたしのたった一人の友達・・・・・・」
レイ・トランクィリ「唯一の友達・・・・・・あの女もそんなこと言ってたな」
レイ・トランクィリ「お前が冒険者になったのは唯一の友達が何とかって」
サティ・メソエル「うん・・・・・・わたしはレティシアと友達でいたいから・・・・・・」
サティ・メソエル「だから・・・・・・冒険者になったの・・・・・・」
レイ・トランクィリ「は?なんだそれ」
サティ・メソエル「レイは・・・・・・なんでレティシアが冒険者になったと思う?」
サティ・メソエル「成績優秀で仕事には困らないのに・・・・・・冒険者なんかになった理由・・・・・・」
レイ・トランクィリ「戦いが好きなら騎士とかでいいしな」
サティ・メソエル「うん・・・・・・レティシアはね・・・・・・」
サティ・メソエル「"友達を元気づけるためだけ"に冒険者になった」
〇ゆるやかな坂道
サティ・メソエル(レティシア・・・・・・あ、いた!)
サティ・メソエル「レティ──」
レティシアの友達「はぁ・・・・・・」
レティシア・コーラル「どうしたの?ため息なんてついて」
レティシアの友達「・・・・・・就活上手くいかなくてさー・・・・・・」
彼女は俯き、ため息を吐く。
この国では、大学は無い。
高校を卒業したら皆就職することが義務付けられている。
だが、近年は就職難が続いており、一部の優秀な人間以外は職に就くことが困難だった。
レティシア・コーラル「そっか、メルシーでも良い所に就職するのは難しいんだね」
メルシー「一応面接通ったところもあるけど・・・・・・所詮中小だし・・・・・・」
メルシー「はぁ・・・・・・私もレティシアみたいに優秀だったらな・・・・・・」
メルシー「正直・・・・・・ちょっと妬ましいよ・・・・・・」
レティシア・コーラル「優秀だからって就職出来るわけじゃないよ」
レティシア・コーラル「だって私とサティは、冒険者ギルド以外に行ける所無かったから」
メルシー「えっ・・・・・・嘘でしょ?・・・・・・私をからかって・・・・・・」
レティシア・コーラル「ううん、本当だよ」
レティシア・コーラル「だから、メルシーを採ってくれる会社があるなら、そこに行った方がいいよ」
メルシー「うん・・・・・・そうしてみる・・・・・・」
サティ・メソエル(さっきの話・・・・・・)
サティ・メソエル「れ、レティシア・・・・・・!!」
レティシア・コーラル「サティ!どうしたの?」
サティ・メソエル「さっ、さっきの話・・・・・・聞いちゃったんだけど・・・・・・」
レティシア・コーラル「さっきの?」
サティ・メソエル「わ、わたしたちが冒険者になるって話!!」
サティ・メソエル「わたしそんなの聞いてないよ・・・・・・!!」
レティシア・コーラル「聞いてないも何も、さっき決めた所だよ」
サティ・メソエル「わたしたち・・・・・・もっと良いところで働けるよ・・・・・・!」
サティ・メソエル「もう内定だって貰ったし・・・・・・」
レティシア・コーラル「じゃあお相手には悪いけど、断らないとだね」
サティ・メソエル「えっ・・・・・・?」
レティシア・コーラル「断りの連絡を入れないのは失礼だよ?」
サティ・メソエル「そ、そうじゃなくて・・・・・・!!」
サティ・メソエル「わたしは・・・・・・ぼ・・・・・・」
サティ・メソエル「・・・・・・・・・・・・」
サティ・メソエル(ここで冒険者になんてならないって言ったら・・・・・・なんて言われるかな・・・・・・)
サティ・メソエル(友達として認めて貰えないかな・・・・)
サティ・メソエル(レティシアにとって・・・・・・)
サティ・メソエル(わたしなんて数いる友達の1人・・・・)
サティ・メソエル「ぼ・・・・・・冒険者・・・・・・に・・・・・・」
サティ・メソエル「さ、させ・・・・・・」
サティ・メソエル(ダメ・・・・・・!やっぱやだよ・・・・)
サティ・メソエル「や、やっ────」
レティシア・コーラル「これから頑張ろうね!」
サティ・メソエル「あ、・・・・・・うん・・・・・・」
サティ・メソエル(どうしよう・・・・・・)
〇道場
サティ・メソエル「こんな感じで・・・・・・冒険者になっちゃったの・・・・・・」
レイ・トランクィリ「断わりゃよかっただろ」
サティ・メソエル「こ、断れないよ・・・・・・」
サティ・メソエル「断ったら・・・・・・嫌われちゃいそうだし・・・・・・」
レイ・トランクィリ「はぁ、よく分かんねぇ・・・・・・」
レイ・トランクィリ「まあ、今はあたしもダチだし」
レイ・トランクィリ「あたしは気なんか使ってもらわなくていいからな!」
サティ・メソエル「友達・・・・・・?」
レイ・トランクィリ「あ?なんかまずかったか?」
レイ・トランクィリ「あたしは気なんか使わねーから、まずかったとしてもやめねぇけどな」
サティ・メソエル「そ、そんなことない・・・・!」
サティ・メソエル「・・・・・・ありがとう」
サティ・メソエル「練習、あとちょっと頑張ろうね!」
レイ・トランクィリ「おうよ!」
〇ゆるやかな坂道
レティシア・コーラル「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・」
化蜘蛛 亜成体「ギ・・・・・・」
度重なる攻撃に耐えきれず、化蜘蛛の体は地に伏した。
義正「雷獣にも匹敵する・・・・・・厄介な敵だった」
レティシア・コーラル「とりあえず、ここのゾンビは片付いたね」
レティシア・コーラル「指示が出るまで休憩しよう」
義正「そうだな」
レティシア・コーラル(そういえばこの道・・・・・・)
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レイさん、この調子で魔法を覚えることができるのでしょうか……記憶力もですが学習意欲もww そんなレイさん、幼少時からの力の凄まじさ、何か理由があるのか気になります!