Book the memory ~家族殺人~

羊人

目覚め(脚本)

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〇簡素な部屋
  ベッドに横たわる男。
  彼は呻くようにして体を起こす。
奈宮 真「うぅ・・・」
奈宮 真「ここは・・・一体・・・?」
  辺りを見回すが全く見に覚えがない場所だった。
  それどころか、俺自身のことさえも思い出すことが出来ない。
奈宮 真「俺は一体・・・誰なんだ?」
奈宮 真「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
奈宮 真「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
奈宮 真「駄目だ。考えても分からない。 一先ずここを出なくては・・・。 そうしなくてはいけない気がする」
  その時────
  扉の鍵が開く音が響く
  誰かが、入ってくる・・・・・・
「真さん・・・!!」
  視界に飛び込んだのは華奢な体をした女性だった。
  彼女は涙ぐみながらも笑顔を見せると、俺に抱きついた。
道永 由芽「ご無事でよかったです・・・!!」
  そう伝えてくる彼女だったが、俺は何一つ彼女のことを思い出すことが出来ない。
奈宮 真「あの・・・ごめんなさい、俺は君のことを知っている・・・? それに俺の名前・・・真(まこと)・・・」
道永 由芽「・・・・・・冗談ですよね?」
  彼女は困惑した表情を見せるが、俺は答えることが出来なかった。
道永 由芽「・・・・・・記憶がないんですか?」
奈宮 真「あぁ。全く覚えていないんだ」
  俺の言葉に、彼女は黙ってしまった。
  僅かな沈黙が走ったあと、彼女はもう一度口を開いた。
道永 由芽「もしかしたらなんですが・・・・・・」
道永 由芽「一階・・・ここから一つ下の階にある黒電話からなら、真さんがご自身の事を思い出すことが出来るかもしれません」
  彼女の言ったことに、俺は違和感を覚えた。
奈宮 真「どうして推測なんだ? それに、どこに電話を掛ければいい?」
道永 由芽「それは・・・・・・。 よく分からないんですが、黒電話は勝手に仲間に繋がると真さん自身がおっしゃってました」
道永 由芽「本の世界と外界を繋げる唯一のもの、それが携帯や電話器、それからパソコンとかの通信機器だって・・・・・・」
奈宮 真「俺がそう言ったのか? それに本の世界だって・・・・・・?」
  彼女は俺の言葉に黙って頷いた
  どうやら本の世界については詳しく話さないらしい。
  何かを隠している・・・・・・。
  その可能性も頭をよぎる
  しかし、俺の事を知っている。
  そして心配してくれている様子を見るに、まだ彼女が怪しいと決めつけるのも時期尚早だろう。
  俺は一度考えを整理したあとで口を開く
奈宮 真「そうか、わかった。 それなら一度下の階に行こう。 そこでならもしかしたら思い出す事が出来るかもしれない。 そうだろう?」
道永 由芽「・・・・・・はい!!」
  彼女は嬉しそうにそう言うと、部屋の扉へと視線を向ける。
道永 由芽「気をつけて向かいましょう。ここには、食人家族が住んでますから」

次のエピソード:会話

コメント

  • 聞きなれないワードが所々に散りばめられており、続きが気になって仕方ありません💦

  • ある日目覚めて自分がこの状況に陥ったらと思うと身の毛がよだちます。食人家族・・その言葉通りの人達が彼を襲おうとしているのなら、どうかこの彼女が頼みのツナであってほしいです!

  • 謎が謎を呼ぶ展開に夢中で読んでいたらあっという間に一話終了でした。由芽が何者なのかも気になるし食人家族というワードもインパクトあるけれど、異世界や異次元を想起させる「本の世界」が一番の謎ワード。この摩訶不思議系ミステリーの雰囲気、すごく好みです。

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