〇球場のベンチ
キャプテン山田「監督！」
斉藤監督「どうした山田？」
キャプテン山田「今日の采配何すか？あれ？」
斉藤監督「は？言ってる意味が分からねえな」
キャプテン山田「じゃあちょっとタブレット観ましょう」

〇中世の野球場
　　山田「８回裏１アウト２塁の場面ですよ」
　　監督「１打勝ち越しのチャンスの時だな」
　　山田「僕は監督のサインを見たんですよ」
　　監督「出したな〜、サイン」
　　山田「そしたら・・・・・・」

〇球場のベンチ
斉藤監督（バスター＆ランだぞ！）
謎の男「監督、何のサイン？」
斉藤監督「バスター&ランだ」

〇球場のベンチ
謎の男「バスター&ラン!!」
敵将岩原「了解!!」
敵将岩原「みんなー!!バスター&ラン来るぞー!!」

〇中世の野球場
キャプテン山田「えー!?」
審判「アウトー!!」
キャッチャー吉永「ヘイ！サード！」
審判「アウトー!!」

〇球場のベンチ
斉藤監督「ドンマイドンマイ！気にすんなよ」
斉藤監督「誰にでも失敗はある。前向きにやってこうな！」
キャプテン山田「あんたのせいなんだよ」
斉藤監督「え？」
キャプテン山田「あんたが知らない人にサイン教えちゃうからアウトになったんだよ」
キャプテン山田「そもそも誰なんすか？あの大男は？」
斉藤監督「ボールボーイだろ？」
キャプテン山田「あんなボールボーイいるかよ」
斉藤監督「おい、ボールボーイに年齢は関係ねえだろ」
キャプテン山田「バスローブ着てたぞ」
斉藤監督「風呂上がりだったんじゃないの？」
キャプテン山田「それじゃダメだろ」
キャプテン山田「何、試合中に風呂入ってんだよ」
斉藤監督「お前は何が言いたいんだ？」
キャプテン山田「ですからね、敵チームにサインを教えに行くような・・・」
斉藤監督「なるほど。契約金に納得いってないんだな？」
キャプテン山田「誰も契約サインの話してねーよ」
斉藤監督「じゃあ、プラス10万でどうだ？」
キャプテン山田「お前にそんな権限ねーだろ」
キャプテン山田「何だプラス10万て」
キャプテン山田「この雇われ監督が！」
斉藤監督「生意気なやつだ。 俺の若い時ソックリだぜ」
キャプテン山田「じゃあ大成しねーじゃねえか」
斉藤監督「結局何が言いたいんだよ？」
キャプテン山田「ですからね、あのバスローブの男は 敵のスパイなんでサイン教えちゃダメ って言ってるんですよ」
斉藤監督「そんな証拠どこにあるんだよ？」
キャプテン山田「今、タブレット観てなかったのかよ」
斉藤監督「観た上で聞いてんだよ」
キャプテン山田「じゃあ話になんねーわ」
斉藤監督「もう気は済んだか？」
キャプテン山田「まだプロローグだよ」
斉藤監督「まだ文句があんのか？」
キャプテン山田「大アリだよ」
キャプテン山田「タブレット観ようか」

〇中世の野球場
斉藤監督「ターイム!!」
斉藤監督「バッター交代!!」
キャプテン山田（え？誰と交代すんだ？）
斉藤監督「代打この人！」
キャプテン山田「え!?」

〇球場のベンチ
キャプテン山田「誰と交代してんだよ」
斉藤監督「パワーありそうだったから」
キャプテン山田「せめて選手から選べよ」
斉藤監督「お客さん湧いてたな」
キャプテン山田「引いてたんだよ」
斉藤監督「いやいや湧いてただろ」
キャプテン山田「湧いてねーよ」
斉藤監督「じゃあタブレットで確認しようか」

〇中世の野球場
アナウンサー「９回裏２アウト、５vs５の同点！」
アナウンサー「代打、バスローブの男！」
アナウンサー「ピッチャー第１球を投げました！」
審判「ホームラン!!」
アナウンサー「放送席、放送席！ サヨナラホームランを打ちました！」
アナウンサー「えーと・・・どなたですか？」

〇球場のベンチ
斉藤監督「やっぱり大歓声じゃないか」
キャプテン山田「俺の立場考えろよ」
斉藤監督「え？」
キャプテン山田「交代させられて、サヨナラホームラン打って、ヒーローインタビューまでしてる素人 に食われた俺の立場を」
斉藤監督「申し訳なかった」
斉藤監督「お前よりあの人の方が可能性あるかなと つい思っちゃって」
キャプテン山田「言っちゃダメなんだよ」
斉藤監督「本当に申し訳ない。 お前に任せても、間違いなく サヨナラホームランだったな」
キャプテン山田「打った事ねーよ。サヨナラは」
斉藤監督「アハハハ！ごめんごめん！」
キャプテン山田「シバくぞ！」
斉藤監督「まあ、結果的にあの大男がスパイじゃない 事が証明できただろ？」
キャプテン山田「結果的にな」
斉藤監督「あ、そうそう」
斉藤監督「お前、明日から休養を取れ」
キャプテン山田「え？」
斉藤監督「ファームの方に行ってみないか？」
キャプテン山田「それ２軍オチじゃねーか」
斉藤監督「上手い事言うねえ」
キャプテン山田「言ってねーよ。そのままだよ」
斉藤監督「どうだ？まだプロローグか？」
キャプテン山田「エピローグだよ」
斉藤監督「選手生命がか？」
キャプテン山田「チクショウ！ぐうの音も出ねえ」
　　————————-おわり—————————