ハレとアメと湖とワタシ

ぽむ

エピソード36(脚本)

ハレとアメと湖とワタシ

ぽむ

今すぐ読む

ハレとアメと湖とワタシ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ファンタジーの学園
  とあるところに。
  ハレの国の王女と
  アメの国の王女がおりました。
  ハレの国は、一日中、一年中、
  おひさまが大地を照らし
  アメの国は、一日中、一年中
  雨で大地を濡らしておりました。
  おかげで、ハレとアメの国では
  食物が育たず、
  いつも食料を巡って
  争いが絶えませんでした。

〇洋館の廊下
  「アメの国の王女」
  「あなたは特別よ」
  「あなたは特別なのだから
   何もしなくていいのですよ」
コドモ「なにも?」
  「そう、なにも。」
コドモ「ワタシも、手伝います!」
  「いいのよ
   あなたは特別なのだから。
   そこに座ってなさい。」
コドモ「・・・はい」
  「なんで、手伝わせないのですか?」
  「アレに任せたら、ダメなの」
  
  「必ず失敗するから」
  「女王様!」
  「なにかあったら、わたしのせいになるもの」
コドモ「ごめんなさい・・・ お母様・・・」
コドモ「大人しく、待ってますから。 いい子にしてるから・・・」
  「そう、いい子ね。
  
   大人しくて、
   手がかからなくて。
  そうしてワタシは
  
  何もできない大人に、
  なりました。立派に。
アメの女王「大人に・・・なったのに・・・」
  さぁ、
  
  大人になったのだから、
  自分でおやりなさい!
アメの女王「無理です!」
  「無理じゃないわ、やればできるのよ」
アメの女王「だって、なにも やったことがない・・・」
  「やったことがない?
   そんなわけ無いでしょう。
  
   いったい、あなたは、
   今まで何をしてきたの?」
アメの女王「・・・」

〇要塞の廊下
  「ハレの国の王女」
  「あなたは特別よ」
  「あなたは特別なのだから
   何でもできるのよね?」
コドモ「はい。なんでもやってみせます」
  「あなたは一人でできるでしょ?」
  「なぜちゃんとできないの?」
コドモ(荷物が重い、息が苦しい。 ひとりでやるには、 大変すぎる、誰か手伝ってほしい)
  「他の人の助けなどいらないでしょ?
   あなたは特別なのだから。
  
   一人でできるでしょ?」
コドモ「・・・はい お母様」
  「なんで、手伝わせないのですか?」
  「他の人が手を出したら、ダメなの」
  
  「必ず失敗するから」
  「女王様!」
  「なにかあったら、わたしのせいになるもの」
コドモ「ごめんなさい・・・ お母様・・・」
コドモ「誰も頼らず、誰も信じません。 いい子にしてますから・・・」
  「そう、いい子ね。
  
   大人しくて、
   手がかからなくて。
  そうしてワタシは
  
  何でもできるけど、人に頼らない、
  人を信じない大人になりました。
  立派に。
ハレの女王「大人に・・・なったのに・・・」
  さぁ、
  
  大人になったのだから
  社交界にデビューしなければ!
ハレの女王「無理です!ひとりで大丈夫です!」
  「無理じゃないわ、やればできるのよ」
ハレの女王「だって人を信じることなんて もう出来ない・・・ ましてや殿方なんて・・・」
  「出来ない?
   そんなわけ無いでしょう。
  
   いったい、あなたは、
   今まで何をしてきたの?」
ハレの女王「・・・」

〇貴族の部屋
  シクシク
  「何を泣いているのかい?」
アメの女王「シクシク・・・ 誰?」
謎マッチョさん「こんばんは」
アメの女王「きゃっ!」
謎マッチョさん「驚かせてすまない。 ワタシは、マッチョの精霊・・・」
アメの女王「マッチョの精霊?」
謎マッチョさん「そう、マッチョの精霊。 万物の根源をなしている とされる不思議な筋肉・・・」
アメの女王「筋肉・・・」
謎マッチョさん「そう筋肉。 困ったことがあるなら この筋肉に相談してごらん」
アメの女王「・・・ワタシね」
アメの女王「なにもできないから、 泣いているの。」
謎マッチョさん「なにもできない?」
アメの女王「そう、やらなかったから、 やらせてもらえなかったから、 なにもできないの。」
  ・・・
謎マッチョさん「君に、手伝ってほしいことがあるんだ!」
アメの女王「なあに? ワタシでもできる?」
謎マッチョさん「あぁ、もちろん」

〇宮殿の部屋
  シクシク
  「何を泣いているのかい?」
ハレの女王「シクシク・・・ 誰?」
謎マッチョさん「こんばんは」
ハレの女王「きゃっ!」
謎マッチョさん「驚かせてすまない。 ワタシは、マッチョの精霊・・・」
ハレの女王「マッチョの精霊?」
謎マッチョさん「そう、マッチョの精霊。 万物の根源をなしている とされる不思議な筋肉・・・」
ハレの女王「筋肉・・・ たしかにすごい筋肉・・・」
謎マッチョさん「そう筋肉。 困ったことがあるなら この筋肉に相談してごらん」
ハレの女王「誰も頼れなくて、息が苦しくて、 泣いてるの。」
謎マッチョさん「誰も、頼れない?」
ハレの女王「そう、頼っても誰も助けてくれなかったの。 それでもワタシは、ハレの女王。 いつでも笑っていないといけなかったわ」
ハレの女王「誰も信じられない・・・」
ハレの女王「それなのに、お母様は、 結婚しろというのだわ」
ハレの女王「ワタシひとりで、なんでもやってきた。 いまさら、自分の運命を 誰かに委ねるなんて無理だわ」
ハレの女王「シクシク」
  ・・・
謎マッチョさん「君に手伝って欲しいことがあるんだ。 君を必要としている人がいる」
ハレの女王「必要としている人?」
謎マッチョさん「あぁ」

〇西洋の市場
  ガヤガヤ
ハレの女王「賑わってるわね」
アメの女王「なんとか、こっそりと お城から抜け出してきたけど・・・」
ハレの女王「ここは、ハレとアメの国の中間にある 「ハバヤジシ」の街・・・ この街に私達を連れてきて、 何をしようというの?」
謎マッチョさん「あぁ、これだ」
謎マッチョさん「この苗を二人で育てて欲しいんだ。 もちろんタダとは言わない。 できたら宝物をあげよう」
ハレの女王「苗?」
謎マッチョさん「そうだ。 この苗は、毎日水をあげて、陽の光に最低3時間あててあげないと、すぐ枯れてしまう」
ハレの女王「そしたら、ハレの国で育てたらいいんじゃない? お日様にあてて、水をあげたらいいんでしょ?」
謎マッチョさん「ハレの国はいつもお日様が照り ほとんど雨がふらない。 何故かこの苗は、ため水では駄目で 降ってくる雨でしか育たない」
アメの女王「お水がない? 普段、どうしてるの・・・?」
ハレの女王「アメの国の国境にある 川から水をひいているの。 ハレの国の生命線だわ」
ハレの女王「だから、 そこの土地の権利を巡って アメの国と争いが絶えないわ」
アメの女王「そうなの・・・知らなかった。 逆に、アメの国は ほとんど陽の光がささないから 水の中の植物しか育てられないの」
アメの女王「だからハレの国の作物を 輸入しているわ。 でもそれも争いのひとつなのね。」
ハレの女王「そう、だから、 その植物もハレの国で育てたら? って思ったの」
アメの女王「つまり・・・ ハレの国でお日様にあてて、 アメの国でお水をあげてないと 枯れてしまう、というわけね」
謎マッチョさん「そうだ。 国を自由に移動する権利を持つ 君たちにしか、出来ないのだ。 協力してくれるね?」
ハレの女王「いやよ。 ワタシは、ひとりでできるもの! 人の手など借りなくても!」
謎マッチョさん「・・・では、苗をどうぞ」
ハレの女王「これは預かるわね。 じゃあ、また」
  カッカッカッカッ
謎マッチョさん「やれやれ。 では、アナタにも 苗を渡しておきましょう。 いずれにせよ、育てていただければ、 いいのですから」
アメの女王「わかったわ。 やってみます・・・」
アメの女王「ワタシにも 出来ることが あるのなら・・・」
  カッカッカッ

〇森の中の沼
ハレの女王「うーん」
ハレの女王「水が悪いからか、 うまく育たないわ・・・」

〇湖畔
アメの女王「シクシク」
ハレの女王「あらアナタも? シクシク」
「えーん!」
謎マッチョさん「また泣いているのですか?」
アメの女王「やっぱりワタシじゃ だめなんだわ。 全然、育たない・・・」
ハレの女王「ワタシも、あんなこと言ったけど ちっとも育たなかったわ」
  アメの国の王女は
  水をあげすきで
  枯れてしまいました。
  ハレの国の王女は
  日に当てすぎて
  枯れてしまいました。
アメの女王「シクシク」
謎マッチョさん「泣きすぎて 涙で湖ができてるじゃないですか!」
「えーん!えーん!」
ハレの女王「もうどうしたらいいか わからないわ・・・」

〇奇妙な屋台
店主「あら〜 困ってるみたいね〜」
謎占い師さん「店主・・・」
店主「なあに?」
謎占い師さん「わかりました、 行って参ります・・・」
店主「行ってらっしゃ〜い!」
店主「ウフフフ」

〇湖畔
アメの女王「シクシク」
  「お姫様方。
  
    泣いてばかりじゃ
    せっかくの素敵なお顔が
    台無しですよ!」
アメの女王「だぁれ?」
謎占い師さん「お嬢様方。 コチラをどうぞ」
ハレの女王「クスン これは・・・」
ハレの女王「これ、ワタシの国で取れる食物だわ。 食べてみて」
アメの女王「美味しい・・・」
アメの女王「ワタシね、いつも母に なにも出来ないって 言われてたの」
アメの女王「いつも失敗ばかり」
ハレの女王「ワタシは・・・ 母に「あなたならできるでしょ」って。 手伝ってもらったことは 一度もなかったわ」
アメの女王「ワタシで良ければ・・・ 手伝えることがあるでしょうか?」
ハレの女王「ねぇ・・・よかったら もう一度、育ててみない?」
ハレの女王「ワタシ、あなたとなら できるような気がしてきたの」
アメの女王「そうね。 そう、ここで育ててみたら いいんじゃない?」
ハレの女王「ここで?」
アメの女王「ワタシたちは それぞれの国で育てようとしてきたわ。 だから雨が多すぎたり 晴れが多すぎたりして 育たなかったわ」
アメの女王「ここなら、ハレもアメも どちらもあるの。 ねえ、ここでしばらく 過ごしてみない?」
ハレの女王「わかったわ。 もう母たちに遠慮しない。 協力して、育てましょう!」
アメの女王「うん! ウフフフ」
  そうして年月が経ち・・・

〇睡蓮の花園
  ザッパーン!
ハレの女王「お魚さんもだいぶ増えたわ!」
ハレの女王「ウフフフ」
アメの女王「アハハハ」
アメの女王「すごい沢山の植物が育ったわ!」
ハレの女王「植物が育ったから 動物も増えたわ!」
アメの女王「そうよ! この植物、一度実をつけてしまうと どこでも栽培できる 魔法の植物だったのよ!」
ハレの女王「しかも沢山の水分を溜め込む性質があって、水の少ない地域でも利用できる!」
ハレの女王「この育った苗を全土に配れば・・・ もう、食料問題に悩まされることもないのね!」
アメの女王「ワタシ達、やったわ! できたのよ! 私たちの力で!」
  ウフフフ
ハレの女王「もうこのまま、ワタシたち ずっと暮らさない? お嫁に行きたくない・・・」
ハレの女王「アナタといっしょにいたい!」
アメの女王「ワタシも!」
ハレの女王「もう国を一つにしたら どうかしら? 二人で王女!」
アメの女王「うん!そうしよう!賛成!」
アメの女王「ワタシ、あなたとあえてよかった!」
ハレの女王「ワタシもよ!」
ハレの女王(もしかしたら・・・ あのマッチョ妖精さんがいう「宝物」って 彼女かもしれない)
  そうして・・・

〇睡蓮の花園
  ザッパーン
謎マッチョさん「よし」

〇睡蓮の花園
コイコちゃん「・・・と言う訳で この湖ができたのよ〜」
ミドリ「ふーん!面白かったわ!」
ミドリ「ワタシはサメの女王だから 人間のときのことなんて ほとんど覚えていないけどね・・・」
ミドリ「でも楽しいから サメでよかった〜」
ミドリ「じゃあね〜 また遊びに来る〜」
ミドリ「バハハーイ!」
  ザッパーン!
ユズル「なんだか 騒がしいお友達ですね」
コイコちゃん「ウフフフ」

〇奇妙な屋台
店主「ウフフフ」
店主「美味しいわよね〜 おつまみにぴったり!」
謎占い師さん「全く店主は・・・」
店主「なにか言った?」
謎占い師さん「いいえ何も・・・」
店主「飲んで食べたら 店じまいしましょうね〜」

〇睡蓮の花園
  おわり

コメント

  • どこかの国の説話かと思うくらい中身の詰まった湖エピソードですね!それにしても、マッチョさんも占い師さんも、時間も空間も超越した存在なのでしょうか!?

  • アメの女王とハレの女王…対極な二人が手を取り合う展開が面白かったです!
    大人でも楽しめる童話のようでした。

  • 読み切りかと思いながら開いたら、マッチョさんシリーズだったのですね。
    筋肉に相談しろというのが、筋肉好きにはツボりました。
    童話のような世界観かと思いましたが、しっかりと王女たちの内面と葛藤が見えて面白かったです。
    ほんのり甘い百合テイストも入ってて、ドキドキもしましたよ〜😂(←私だけかもしれませんが・・・。)

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ