恋人はサンタクロース(脚本)
〇イルミネーションのある通り
クリスマスは少し憂鬱だ
だって私の彼氏は─────────
〇渋谷のスクランブル交差点
今日は12月24日、いわゆるクリスマスイブだ
街はカップルや家族で賑わっていて、なんだかいつもよりみんな浮かれているみたい
────かく言う私もその一人なのだけれど
美夜子「聖!!!」
美夜子「待たせてごめんね」
聖「大丈夫、俺も今来たところだよ」
聖「それじゃあ行こうか」
美夜子「うん!」
〇繁華な通り
──── ショッピング街 ────
──────
────────
〇映画館の座席
──── 映画館 ────
──────
──────────
〇テーブル席
──── カフェ ────
──────
────────
──────────
〇イルミネーションのある通り
美夜子「────うわあ!イルミネーション綺麗・・・!」
カフェから出ると外はすっかり暗くなっていて、イルミネーションが灯り始めていた
聖「ホントだね、とても綺麗だ」
美夜子「うん!」
美夜子「(聖とクリスマスイブにイルミネーションを見られて嬉しいな・・・でも・・・・・・)」
しばらく無言でイルミネーションの中を歩く
本来なら素敵な光景に胸を躍らせる場面なのだろうが、私の胸はチクチクと痛むばかりで少しも楽しむことが出来ずにいた
聖「・・・・・・」
聖「────美夜子、ごめんな」
美夜子「・・・どうして謝るの?」
聖「せっかくのクリスマスイブなのに・・・仕事のせいで美夜子には毎年寂しい思いさせてるから・・・」
聖「だから、ごめん」
美夜子「謝らなくていいよ・・・・・・ううん、謝らないで!」
美夜子「聖の仕事、最初に聞いた時はびっくりしたけど・・・」
美夜子「今はとっても鼻が高いというか、自分のことみたいに誇らしく思ってるんだよ」
美夜子「だから・・・悪く言うのはやめて欲しいな」
私は精一杯の笑顔で思いの丈を伝える
聖「美夜子・・・・・・」
聖「ありがとう。そう言ってもらえて俺も嬉しいよ」
聖がチラリと腕時計に目を落とす
聖「・・・・・・」
────18時20分。
もうお別れの時間だ
聖「・・・それじゃあ俺、そろそろ行くね──」
美夜子「うん──────あ、そうだ!」
美夜子「今晩は全国的に雪が降るみたいだから・・・これ」
紙袋からマフラーを取り出し、聖の首にフワリとかける
聖「・・・・・・!」
美夜子「──美夜子サンタからのクリスマスプレゼントだよ!」
聖「ありがとう美夜子、嬉しいよ」
美夜子「・・・じゃあ、気をつけてね!いってらっしゃい!」
美夜子「・・・・・・」
〇イルミネーションのある通り
聖を見送ったあと駅に向かっていると、前を歩いているカップルの楽しそうな会話が耳に入ってきた
若いカップル「────ねえ!雪降ってきたよ!!」
若いカップル「ホントだ、ホワイトクリスマスに君と過ごせるなんて僕は幸せ者だな」
若いカップル「もう・・・・・・!」
若いカップル「でも、私も幸せよ」
「アハハハハハ──────」
美夜子「(・・・雪)」
美夜子「(私も聖と一緒にホワイトクリスマス過ごしたかったな・・・)」
私は煌びやかな街を抜け、ひとり寂しく家路についた
〇明るいリビング
────美夜子自宅────
4時40分
美夜子「────スースー」
────ガチャッ
────パタパタパタ
────ゴソゴソ
美夜子「(────ん?)」
美夜子「(────誰か・・・入ってきた?)」
美夜子「(まさか強盗・・・じゃない、よね・・・?)」
リビングから聞こえてくる物音に聞き耳を立てながらゆっくりと体を起こす
美夜子「(────よし)」
そっとベッドを抜け出し、手近にある武器になりそうな物──分厚い辞書を手にドアを開ける
────ゴソゴソ
美夜子「(──向こうはまだ気付いてないみたい・・・今なら・・・!)」
〇明るいリビング
────パチッ
恐る恐る電気をつけるとそこには────
美夜子「・・・・・・聖!?」
聖「美夜子・・・・・・!」
サンタの姿をした聖が立っていた
聖「────ただいま」
美夜子「────おかえりなさい!」
美夜子「寒かったでしょ?すぐに温かいお茶淹れるね」
聖「ありがとう美夜子」
美夜子「はい、温かいお茶どうぞ。今年もプレゼント配りお疲れさま」
聖「・・・・・・それなんだけど、さ」
聖「────実はまだ終わってないんだ」
美夜子「────へ?・・・それってどういう・・・」
聖「────これが最後だよ」
聖「メリークリスマス、美夜子」
聖は白い袋の中から大事そうに小さな箱を取り出し、私に差し出した
美夜子「────私に?いいの?」
聖「もちろん。聖サンタからのプレゼント、受け取って欲しいな」
美夜子「────嬉しい・・・ありがとう!」
美夜子「開けても、いいかな?」
聖が微笑みながらコクリと頷く
美夜子「これって────指・・・輪・・・?」
聖「────美夜子」
聖「────俺と結婚してください」
美夜子「聖・・・・・・」
美夜子「・・・・・・っはい!よろしくお願いします・・・!!」
聖が私の手を取り優しく抱き寄せる
聖「・・・・・・待たせてごめん。たくさん寂しい思いさせた分、必ず幸せにするから」
美夜子「うん・・・・・・いっしょに幸せになろうね!」
聖「────それで、、美夜子にひとつ提案があるんだけど・・・」
美夜子「・・・提案?」
聖「うん。今のままだったらさ、これからもクリスマスイブに寂しい思いをさせてしまうのは変わらない、だろ?」
美夜子「────それは・・・」
聖「だから・・・もし美夜子が良ければ、なんだけど────」
〇明るいリビング
────1年後────
美夜子「────これでよし、と!」
聖「美夜子!こっちは準備できたよ」
美夜子「こっちもオッケーだよ!」
聖「よし!」
聖「────それじゃあ行こうか」
美夜子「うん!美夜子サンタのクリスマスデビュー、しっかり見守っててね聖先輩♡」
二人の名前をつなげると「聖なる美しい夜」になるところがすてき。サンタとその妻に成るべくしてなった二人ですね。美夜子までまさか「奥サンタ」になるなんて。お幸せに〜。
たしかに、彼女も一緒にサンタクロースをやれば、クリスマスも一緒にいられますね!
寂しかったクリスマスにさよならですね。
配り終わったら、その後も二人きりでクリスマスです。
涙腺弱くなっているのか感動で泣けました。寂しい気持ちを感じながらも、サンタである彼を支える彼女をみて、私もこんな女性でありたいと思いました。これからは、ふたりでともにクリスマスイブ&クリスマスすごせますね♪子どもたちにプレゼントと夢をくばりながら、、