イルミネーションアニキ

快亭木魚

エピソード1(脚本)

イルミネーションアニキ

快亭木魚

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イルミネーションアニキ
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〇飲み屋街
  冬の繁華街を半袖で歩く無謀な女がいた。
妹「寒すぎる!畜生!冬のバカ野郎!」
妹「そりゃ「オシャレはやせ我慢」と言って強がってたけどやっぱ寒いわコレ!早く来いよ春!」

〇ネオン街
  街はイルミネーションで輝いている。女は電飾で光るクリスマスツリーの前で足を止めた。
妹「ツリーのくせに派手に電飾しやがって・・・その光私にくれよ!」
妹「そのイルミネーションで私の人生を照らせよバカ野郎!」
  女は電飾に悪態をつくほど余裕を失っていた。リストラされて金がなかったのである。
妹「ん?このツリーなんかおかしい・・・人が入っている?」
兄「メリークリスマス!」
妹「アニキじゃねーか!」
兄「おお!妹久しぶり!」
妹「アニ、なんで街角で電飾着てツリーになってんだよ!ついにイカれたか?」
兄「妹よ。これは立派な仕事さ。俺が人力でイルミネーションを点滅させているんだ!」
妹「すげえ!頭と手足のろうそく型ライトを華麗に点滅させている!」
妹「そうか・・・イルミネーションは全部自動で光っているわけじゃない・・・!光の裏に身体をはる労働者がいたんだ!」
兄「その通り!素晴らしい仕事さ!なんと日給66600円!これだけもらえるなら俺はやるさ!」

〇クリスマスツリーのある広場
兄「うぐっ!」
兄「腰にきた・・・ツリーが重過ぎる・・・!」
妹「アニ無理すんな!」
兄「金の為・・・途中で諦めたくない!」
「素晴らしいーヨ!」
サンタ「ハロー!」
兄「サンタキタコレ!」
妹「マジか!ヤバッ」
サンタ「ツリーを人力で光らせる仕事はボクが募集してタんダーヨ!君は素晴らしい!」
サンタ「報酬を上乗せして払ってあげるヨ!空飛ぶソリにも乗せてアゲル!」
兄「頑張ったかいあった!俺を空に連れてってくれ!」
  サンタが兄の手をとった。
兄「ああ心地よい・・・天にものぼる気持ちだ・・・」
  なんと兄の身体から魂が抜けていく!
妹「おい!アニのバカ野郎!魂が抜けてるぞ!」
サンタ「心配ないネ!サンタが魂を導くヨ!」
妹「サンタさんよ・・・待ちな・・・」
  妹はサンタの足から強引に長靴を奪いとる!黒い足がのぞいた。
サンタ「オーノー!なぜ長靴をとるンデスかー!」
妹「やはり!」
妹「この嘘つきめが!!」
  妹はサンタをぶん殴った!
サタン「ギャー!」
  サンタの変身がとけサタンが現れた。
妹「正体を現したな!サンタのふりしたサタンめ!」
妹「私はニセサンタを探してたんだ!」
サタン「畜生なぜ分かった!」
妹「66600円という報酬さ。666は悪魔のが好む数字・・・!そして靴に隠した黒い足で確信した!こいつはサタンだと!」
妹「そもそもサンタさんはそんな怪しい喋り方をしねえ!今からホンモノのサンタさんを呼び出す!」
妹「もしもし?モノホンのサンタさんですか!偽物を今捕らえました!」
サンタ「ふぉっふぉっふぉっ!ホンモノのサンタが今来たぞよ」
妹「さすがホンモノは貫禄が違う!サンタさん!サンタに化けた不届き者はこいつです!」
サンタ「うむ!でかした!」
妹「では報酬のプレゼントを!おねがしゃっス!」
サンタ「ふぉっふぉっふぉっ!では特別なプレゼントをあげよう!」
  ボカッ!
  なんてサンタだ!唐突にハンマーで女を殴る!
妹「うぎゃー!サンタさん・・・なぜ・・・ぐふっ」
  女は気絶した。

〇クリスマスツリーのある広場
サタン「くっくっくバカな女め。魂を抜きとってやるわ!」
兄「待ちな!テメエよくも妹をぶっ叩いてくれたな!もう騙されたふりはしてらんねえ!」
サタン「なぜだ?なぜ魂の状態で動ける?」
兄「俺は魂でイルミネーションを光らせる光の戦士!イルミネーションアニキだ!」
兄「魂を操ることに長けた俺には幽体離脱は朝飯前!おらぁっ!」
サタン「一瞬で元の身体に戻った!」
兄「くらえ!真実を照らし出すイルミネーションライティング!」
  アニキはありったけのチカラを込めてイルミネーションを光らせた。まばゆい光がサンタとサタンをおおう!
緑のおじさん「うわー!」
サタさん「あれ?わしは何やってたんだ?」
兄「真サンタの正体は近所のサタさん!サタン、てめえが幻術使って操ってたんだ!」
兄「そしてサタン!てめえの正体は幻術が得意な緑のおじさんだ!」
サタさん「寒いから帰ろ。さいなら」
  サタさんは去った。
緑のおじさん「畜生!バレた。俺は冬に浮かれてる奴らが嫌いで魂を抜きとって売りさばいてたんだ!」
兄「緑おじよ!てめえの幻術はそんなチンケなことに使うシロモンか?もっといい使い方がある!ゲスト、カモン!」
サンタ「はい、今度こそマジなサンタです!」
サンタ「最近サンタ界も不景気でトナカイを支給されなくなってさ。徒歩移動なんよ。すると皆がマジサンタだと信じてくれないの」
サンタ「ここらの街の人に幻術かけてサンタは飛べるんだって思わせて欲しいな」
緑のおじさん「それくらい朝飯前だ!」

〇クリスマスツリーのある広場
妹「うーん・・・」
妹「はっ!気を失っていた!記憶があやふやだな。私は何をしていた?」
兄「アニキのイルミネーション見て笑ってたとこさ。上を見てみな」
サンタ「ふぉっふぉっふぉっ」
妹「サンタだ!サンタが空中を歩いている!」
兄「俺のイルミネーションに気づいて来てくれたのさ!」
サンタ信じない系男子「サンタマジで飛んでる!」
年金心配な婆さん「サンタが飛んでるよ!長く生きてて初めて見るね!」
  街行く人が空飛ぶサンタを見て驚愕する。
緑のおじさん「俺の幻術マジすげえじゃん!手品師になろっ!」
  こうして緑おじは手品師になった。アニキが新しい道を照らし出したのだ。
妹「あーあ結局金は入らないな」
妹「アニ・・・金にもならないのになぜ身体中にイルミネーションつけるんだい?」
兄「全ての人の人生を照らしたいからさ!それが俺!」
兄「イルミネーションアニキ!」
  完

コメント

  • アニキかっこいいです!笑
    リズミカルなテンポで、楽しく読めるお話でした。
    それにしてもサンタさんの偽物多すぎですよね。
    みんなでパーティーできそうです。笑

  • イルミネーションアニキに近所のおじさんサタさん、、とても賑やかな人たちばかりでテンポ感も良くて楽しく読ませて頂きました!

  • イルミネーションアニキかっこいい〜〜〜!!年中活躍しててほしいです!!妹さんも頭脳・フィジカル・ガッツ全て揃っていて好きです。キャラがみんな濃くて容赦なく個性を発揮してきて、夢中で読みました。楽しかったです!

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