タワマン・オブ・ザ・デッド

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第4話:ウェルカム・トゥ・ブルジョワ(脚本)

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〇おしゃれな玄関
神門友貴「神門友貴です。はじめまして」
鐘星愛(私のことを知ってるはずなのに・・・ はじめまして?)
神門友貴「・・・俺の顔に何かついてます?」
鐘星愛「・・・すみません。鐘星愛です」
神門友貴「素敵な名前だ。 愛さんはどうしてこの家に?」
鐘星愛(・・・初対面設定で会話をしろってこと?)
鐘星愛「ええと、私は──」
神門ミチ「彼女は俺の家庭教師だから」
神門ミチ「死人のくせに、人と話をするなよ」
神門友貴「神門家にとっては死人でも 俺はしっかり生きてるよ」
神門八千代「ユウキ、お父様がお呼びよ」
神門友貴「わかりました。先生、また後ほど」
鐘星愛「母なる大地から死人が帰ってくるって もしかしてお兄さまのことだったの?」
神門ミチ「・・・長男っていいよな」
神門ミチ「勝手に大学中退してオヤジに絶縁された はずが、もどってきたら復縁だもの」
鐘星愛(貧乏学生だったユウキ先輩が まさか神門家の長男だったなんて・・・)

〇豪華なリビングダイニング
小判鮫「ゲストがいるから失礼のないように」
鐘星愛「こんなときにゲストが?」
小判鮫「ホテルのスイートルームにご滞在のところ ご避難いただいた」
鐘星愛「さすがにすごい顔触れね」

〇幻想2
  オフホワイト教の白神様
  白とは名ばかりで真っ黒な噂が絶えない
  信者3万人の一大新興宗教トップだ

〇不気味
  あれは衆議院議員
  元内閣総理大臣の悪地院平
  秘書を何人も連れていて
  暴力団に見えなくもないが
  総理大臣を辞任後もいまだ影響力を持ち
  影の総理の異名を持っている

〇豪華なリビングダイニング
鐘星愛(さすが神門家、すごい人脈。 何とかしてこの方たちとお近づきに──)
神門友貴「――みなさん、よろしいですか」
神門友貴「このマンションは 怪物となった人たちに制圧されています」
神門友貴「怪物に襲われた者は怪物となってしまう 悪夢のような状況です」
神門ミチ「それってゾンビ?」
神門友貴「似てるけど少し違う」
神門友貴「人を食べれば食べるほど成長する」
神門ミチ「成長? 怪物が?」
神門友貴「力が強い怪物や足の速い怪物など 人間を食べて進化しているようだ」
神門ミチ「マジ? 先生も見た?」
鐘星愛「マジ。本当のお話よ」
神門ミチ「・・・ヤバいね」
神門友貴「時間が経てば経つほど どんな怪物が生まれるか想像できません」
神門友貴「一刻も早くここから脱出しましょう」
神門八千代「最上階から階段で降りたくないわ」
神門友貴「俺が乗ってきた非常用のエレベーターが 1基、生きています」
神門友貴「閉まらないよう細工しておいたので まだ待機してるはずです」
神門貴「脱出の成功確率は?」
神門友貴「今なら9割方成功するかと」
神門貴「ここにいれば100%安全なのに リスクを冒す理由があるか?」
神門友貴「何事にも100%はありません」
神門貴「屁理屈を言うな。皆様の意見を伺おう」
神門貴「ここに残った方がいいと思う者は?」
悪地院平「私は神門さんに賛成ですな」
小判鮫「私も、はい、賛成です」
神門友貴「ミチは?」
神門ミチ「・・・女性もいるのに危険は冒せない」
神門友貴「そうか」
神門八千代「白神様のご意見は? 未来が視えるのですよね?」
神門八千代「何でも最近の異常な隕石群の落下 本日の地震まで予言されていたとか」
白神様「・・・いずれも待つ運命はひとつ」
白神様「世界の終焉じゃ」
神門八千代「ええと、それはつまり・・・」
白神様「何をしても無駄、死あるのみじゃ」
  白神様の一言に、場がシーンと凍りついた
神門友貴「・・・先生はどう思いますか?」
鐘星愛「え? 私、ですか?」
神門貴「一介の庶民たる彼女に発言権はない」
神門友貴「参考にするだけですよ。 鐘星さんの意見を教えてくれるかい?」
鐘星愛(エレベーターが稼働するなら、今のうちに脱出した方が賢明だとは思うけど・・・)
鐘星愛「・・・助けを待つのがいいと思います」
神門友貴「理由は?」
鐘星愛「ゾンビは非常階段を 下からのぼってきました」
鐘星愛「1階にはとてつもない数の ゾンビがいる可能性があります」
神門友貴「・・・なるほど。ありがとう」
神門貴「なかなか頭のいいお嬢さんだ」
鐘星愛(先輩、ごめんなさい。私は神門家に 嫌われるわけにはいかないんです)
神門貴「ユウキ、逃げたければ一人で逃げろ。 お前は所詮、死んだはずの人間なのだから」
神門八千代「ユウキ、行かないでちょうだい。 一緒に安全なお家で待機しましょう」
神門友貴「・・・安心してください。 大事な人たちを置いて一人だけ行けません」
  それからしばらく、全員リビングに待機
  したまま、それぞれの時間を過ごしていた

〇豪華なリビングダイニング
神門貴「こんな時ですが、どうぞお納めを」
悪地院平「これは嬉しい。選挙資金に役立てます」
鐘星愛(選挙資金って聞こえた気がしたけど・・・ 気のせいよね。 こんな堂々と裏金は渡さないはず)
悪地院平「仕事が終わると腹が空きますな。 何かお願いできますか?」
神門貴「もちろんです。八千代、何か出してくれ」
神門八千代「今すぐとなると 会社の試供品しかありませんわ」
神門貴「貧乏人に開発した昆虫食を悪地さんに 出せるか。まともな蛋白源を出せ」
神門八千代「となるとメイドもシェフも今日はもう いないから・・・愛さん、料理できる?」
鐘星愛「はい。簡単なものであれば」
神門八千代「助かるわ。私、包丁握ったことがないのよ」

〇システムキッチン
鐘星愛「何を作りましょう?」
神門八千代「とにかく作れるものは何でも お願いできる? 20人分くらいかしら」

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