花姫様と最強の冷徹騎士様

ちゅるちゅるめん

入学早々、問題勃発(脚本)

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〇宮殿の門
「・・・シャイローゼ様、アレグラット様、そろそろ学園に着きますゆえ、ご準備の方を」
シャイローゼ「わかったわ、ありがとう」
アレグラット「──あ」
シャイローゼ「アル、大丈夫?二度寝なんて珍しいわね?」
アレグラット「──申し訳ありません。昨夜の鍛練が響いたようでして・・・」
シャイローゼ「あ、また?もう、ちゃんと寝なさいって言ったでしょう?」
アレグラット「すみません、今日から学園が始まると思うと、自分の技術に不安を覚えてしまって、つい・・・」
シャイローゼ「そんなこと全然無いのに・・・それよりも体調を崩される方が困るわ」
アレグラット「以後気を付けます」
シャイローゼ「それなら良いのよ」
「只今学園に着きました」
アレグラット「承知しました」
シャイローゼ「じゃ、行きましょうか」
アレグラット「足元にお気をつけください」
シャイローゼ「ありがとう」
シャイローゼ「あら、早く来たからか誰もいないわね」
???「おはよー!」
  ガバッ!
シャイローゼ「わっ?!」
蝶々夜胡桃「おはよ!ローゼ、アレグラット!」
  蝶々夜胡桃。東の方に位置するラズェール地方を治める蝶ケ夜子爵の次女。
  この地方の人特有の黒髪と黒目は神秘的で人目をひく
アレグラット「おはようございます」
シャイローゼ「おはよう。久しぶりね、胡桃。もう、いきなり抱きついてくるからビックリしたわ」
蝶々夜胡桃「ごめんごめん、見つけたら嬉しくなっちゃって、つい」
蝶々夜胡桃「・・・アレグラット?大丈夫?眠そうだね?」
アレグラット「昨晩少し長い間鍛練していただけですので、お気遣いなく・・・」
蝶々夜胡桃「そう?でも無理のしすぎはダメだよ」
シャイローゼ「あ、あっちにクラス分けの紙が張ってあるわ。見に行きましょう!」
蝶々夜胡桃「ホント?行こ行こー!」
シャイローゼ「・・・えっと・・・あ、私とアルは1ーBみたいよ」
蝶々夜胡桃「私は・・・1ーCだ。離れちゃった・・・」
シャイローゼ「まぁ休み時間だったら話せるんだし、そこまで落ち込まないの!」
蝶々夜胡桃「ん、そうだね」
教師「蝶々夜さん、少しお話が・・・」
蝶々夜胡桃「あ、はい!今行きます!」
蝶々夜胡桃「じゃあまた後でね!」
シャイローゼ「えぇ、また!」
アレグラット「お気をつけください」
シャイローゼ「さて、じゃあ私たちは教室に向かいましょうか」
アレグラット「わかりました」

〇ファンタジーの教室
シャイローゼ「あら、やっぱり誰もいないみたいね」
アレグラット「学園近くの通りには人がいたので、少し待っていれば人が来るかと」
シャイローゼ「そうね。少し待ってみましょう」
  数分後
女子生徒「・・・え、シャ、シャイローゼ様とアレグラット様だわ!」
女子生徒「嘘、ちゃんとクラス分けの紙を見ていなかったから心の準備が・・・」
男子生徒「え、えっと・・・お、お二人とも、おはようございます!」
シャイローゼ「おはよう。この1年間、よろしくね」
アレグラット「・・・よろしくお願いします」
男子生徒「シャイローゼ様と挨拶できた・・・俺もう死んでもいいかも」
女子生徒「アレグラット様のお声を聞けたわ・・・!それにしてもかっこ良すぎだわ!」
シャイローゼ「ふふっ、楽しくやっていけそうだわ」
アレグラット「・・・結構人が来ましたね」
シャイローゼ「えぇ・・・あら、中等部のときより人数が少ないわね?」
アレグラット「中等部の時は平民も同じクラスでしたが、高等部からは平民と貴族で校舎や授業のみ分けられるそうです」
シャイローゼ「・・・身分で分けるのはあまり好ましいことではないわね」
アレグラット「・・・」
アレグラット「でも、課外活動や活動会は共にやれるそうですよ」
シャイローゼ「・・・え?」
アレグラット「完全に交流を断ち切るというわけではないのでしょう」
アレグラット「だからいつも通りにしていてください」
シャイローゼ「・・・!」
シャイローゼ「──クスッ」
シャイローゼ「そうね、なら早々に活動会の見学に行かなくちゃね」
アレグラット「そうですね」
???「シャイローゼさーーーん!」
「!!」
琉翔「おはようございます!お久しぶりですね!」
シャイローゼ「琉翔・・・ひ、久しぶり・・・」
アレグラット「・・・お久しぶりです、琉翔様」
  城ノ内琉翔。東北の島国、ケテオメーゼ島を治める城ノ内伯爵の一人息子。
  明るく活発で、普通は皆が仲良くしたがる存在だが──
琉翔「シャイローゼ様、 僕もあなたと同じクラスなんですよ、奇遇ですね!」
琉翔「僕は中等部の卒業式以来、ずっと考えていました。また会えたら言おうと・・・」
琉翔「シャイローゼ様!」
琉翔「僕と婚約していただけませんか?!」
シャイローゼ「え、えっと。その・・・」
女子生徒「うわ・・・まだ懲りていないのね、城ノ内様ったら・・・」
女子生徒「シャイローゼ様もお可愛そうに・・・中等部のときからずっとああ言われているのよ」
男子生徒「あいつ何回目だ?あぁやって『婚約してください!』って言ってるの」
男子生徒「恐らくだが今ので50回回ぐらいじゃないか?──てかそろそろあいつキレるんじゃ・・・」
  ──この言動と行動のせいでその良さが全て台無しになった。
アレグラット(あいつは何度やれば気が済むんだ・・・シャイローゼ様と結婚できる立場だからって調子に乗りやがって・・・)
アレグラット(──いっそ、切り捨ててしまおうか)
アレグラット(・・・いや、ダメだ。国王様から軽く脅す程度に、と言われたばかりではないか。 そう、軽く脅す程度・・・)
アレグラット「(──大丈夫ですよ、お嬢様)」
シャイローゼ「──!」
アレグラット「琉翔様、失礼ながら申し上げさせていただきます」
アレグラット「その件についてですが、お答えできるのはシャイローゼ様のお兄様、つまり国王だけなのです」
琉翔「・・・」
アレグラット「そして婚約したいのであれば、”貴族として”正しい手順を踏んでください。公の場でこのような行動は慎んでいただきますよう・・・」
アレグラット「・・・1度お引き取りください」
アレグラット(でないと、入学早々に周りとの関係も悪くなるぞ)
琉翔「・・・わかった、忠告ありがとう。シャイローゼ様、すみませんでした」
琉翔「・・・でも僕は、あなたとの婚約を諦めたつもりではありません。近いうち、”正しい手順で”婚約を申し込ませていただきます」
  琉翔は気まずそうに廊下に出た。
アレグラット「シャイローゼ様、大丈夫ですか?」
シャイローゼ「えぇ、ありがとうね。アル」
ヴィッツ先生「はい皆、席に着いてください。ホームルームを始めます」

〇ファンタジーの教室
ヴィッツ先生「このクラスの担任を任されました。『ロウラーク・ヴィッツ』です。 皆には歴史を教えます」
ヴィッツ先生「1年間、よろしくお願いします。 さて、今日の流れですが・・・」
ヴィッツ先生「1時間目、2時間目は大講堂で先生方や学校等の紹介を行います。3時間目は自己紹介等。今日の流れはこんな感じです」
ヴィッツ先生「それ以降は各々自由にしてください。活動会の見学に行ってもらっても、帰ってもらっても構いません」
ヴィッツ先生「あと、聞きたいことがあるのだけれど・・・」
ヴィッツ先生「城之内さんはどこですか?」
男子生徒「さっき廊下に出ていってそれっきりです」
ヴィッツ先生「あら、そうなんですか・・・」
ヴィッツ先生「では、城之内さんは私が探すので、皆は予鈴が鳴った後に大講堂に移動してください」
ヴィッツ先生「大講堂は1階です。間違えないようにしてくださいね」
ヴィッツ先生「では、ホームルームを終わります」
アレグラット(変な様子は無し。この教師は大丈夫そうだな)
シャイローゼ「・・・アル?」
アレグラット「あ、はい。どうされました?」
シャイローゼ「いや、また思い詰めた顔してたからどうしたのかなって」
アレグラット「・・・なんともないですよ、大丈夫です」
シャイローゼ「そう、何かあったらすぐに言うのよ?」
アレグラット「承知しました」
シャイローゼ「あら、予鈴だわ。アル、行きましょう!」

次のエピソード:活動会

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