ゴリラ・タワー

千田陽斗

7.祝賀会とゴリラ 謎の予感(脚本)

ゴリラ・タワー

千田陽斗

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〇本棚のある部屋
丸山サクラ「カタカタカタカタ カタカタカタカタ」
丸山サクラ「ふむ、ゴリラ・タワー争奪杯は もう最初の競技が終わったのか 勝者たちは・・・」
丸山サクラ「クラゲ ヒトデ 才馬ヤブル タカシ 名取キクオ  そして山田カテル・・・・・・etc ふむ なかなか面白いメンツじゃ」
「ピンポーン」
丸山サクラ「はーい (そうじゃった 今日は人を呼んでいた)」
カキツバタ「お久しぶりです サクラさん!」
丸山サクラ「久しぶりでござる して、そなたは社会人で弁護士 ゆえに学生身分の拙者に 気を使うのはよしてくだされ」
カキツバタ「いえ、私の家は代々 丸山家にお世話に なってます 丸山家の一人娘のサクラさんとなれば もう気軽にはお話できませぬ」
丸山サクラ「だから、丸山家代々とか そういうのが嫌なんじゃ 親は学者だし、親戚にはメディア関係者も おるが」
丸山サクラ「そういうのは拙者自身の 評価とはなんの関係もないんじゃ」
カキツバタ「は、はあ・・・・・・ なるほど でもサクラさんって呼び慣れてるから そこはそのままでいいかしら」
丸山サクラ「うむ・・・・・・ 今日は、争奪杯のパズル&ラビリンスの 勝者たちのための祝賀会があるみたいじゃ いちいち豪華じゃ」
カキツバタ「そうね その祝賀会って税金も 入ってるのにメディアはだんまり メディアもスポンサーになってるからね」
丸山サクラ「のお でも争奪杯はなぜか今年で最後 この街もマスターゴリラさまに 飽きられたので ございましょうか」
カキツバタ「マスターゴリラとその配下にいるのは ゴリラを超越したハイパーゴリラ 彼らの存在も謎ね ところで・・・・・・」
カキツバタ「サクラさんのお部屋って ずいぶんさっぱりしてるわね 人それぞれでしょうけど 一般的は女子の部屋とは かけ離れてますね」
丸山サクラ「部屋などいうのは  必要な作業ができて 十分な休息が取れれば 余計なものなどいらんのですよ」
カキツバタ「では参りましょうか」
丸山サクラ「うむ  いざ祝賀会に潜入調査じゃ」

〇結婚式場のレストラン
丸山サクラ「シャー!スタスタスタ ササッ」
カキツバタ「スススススッ サッ  サッサッー」
丸山サクラ「ここが祝賀会の会場 潜入完了じゃ」
カキツバタ「忍者ごっこみたいで楽しい」
丸山サクラ「拙者が知りたいのは ゴリラ・タワーと Dr.ザンデスという人物の繋がりじゃ」
カキツバタ「・・・・・・ 了解」
山田カテル「あれー?よく分かんないけど サクラちゃんだ! ネット配信で 争奪杯の俺の活躍見てくれた?」
丸山サクラ「あー、カテルくんじゃん 忙しくて見れてないけど 必ずアーカイブで見るね じゃ、楽しんでね」
カキツバタ「あ、サクラさん どこへ? ってか、普段と口調が違う?」
山田カテル「あれ?どっか行っちゃった まあいいや  ご馳走いっぱい!残さず食べちゃお」
カキツバタ「サクラさん、見つけましたよ」
カキツバタ「今のお猿さんみたいな男の子は?」
丸山サクラ「あれは、不確定要素V」
カキツバタ「!?」
丸山サクラ「一般論理で言えば、同じ大学に 通っている人間じゃ」
カキツバタ「なるほど あの男の子って、ヤンチャそうだけど 案外イケてない?」
丸山サクラ「仰る意味が分かりかねますじゃ 私は、彼が争奪杯に参加するように 仕向けたまでじゃ 彼が争奪杯を 引っ掻き回すじゃろて」
カキツバタ「そう  彼が出た試合では、 アレックスというゴリラが 暴れたみたいよ」
カキツバタ「ネットの一部界隈では それを危険視する声もあった ハイパーゴリラが暴れたら 最悪、死者が出る」
丸山サクラ「左様でござったか それは興味深い あとで試合を見ねばなるまい」
カキツバタ「あと、さっきのカテルくんの イケてる勇姿もチェックしなきゃね」
丸山サクラ「・・・・・・ だから、意味が分かりかねますじゃ」
カキツバタ「あっ 噂をすればなんとやら!」
丸山サクラ「どうしたのじゃ」
カキツバタ「ご、ゴリラ!」
丸山サクラ「うむ、ゴリラじゃの」
カキツバタ「あのゴリラ 争奪杯の試合で迷路を破壊していた! ヤバい!」
アレックス「あのお、お二人共 すいません お尋ねしたいことが あるのですが」
カキツバタ「ゴリラが話しかけてきた!」
丸山サクラ「うむ、話しかけてきたの」
アレックス「私は金髪の青年を探しているのですが 見かけませんでしたか?」
丸山サクラ「あー、金髪のお猿さんみたいな青年なら あの辺でご馳走を平らげていたはずですよ」
アレックス「なるほど それはありがたい なにせだだっ広い会場なもので ご親切にどうも」
カキツバタ「ゴリラがめっちゃ紳士的だった」
丸山サクラ「なるほど ハイパーゴリラともなると 理性で自分をコントロール できるようじゃ」
丸山サクラ「いまどき並の人間でも あそこまで紳士的に振る舞えないと 言うものじゃ」
カキツバタ「お口あんぐり」

〇おしゃれな食堂
山田カテル「すっげー! こっちはこっちで雰囲気が違う こっちの食い物もうめー」
アレックス「やあ、親切な人のおかげで やっと会えたよ 私はアレックス はじめまして、カテルくん」
山田カテル「あれ?こないだの破壊的なゴリラ?」
アレックス「いかにも まあ迷路を破壊したりとか あれは役割を演じてるだけなんだがな」
山田カテル「そうなんだ! じゃ、普段はやさしいんだね」
アレックス「そうだな・・・・・・ 人間とゴリラがこれから 仲良くしていけるといいね」
山田カテル「お、おう」
信者「ジー」
アレックス「ちっ 監視されているのか じゃカテルくん またね」
山田カテル「あの白装束・・・・・・ なんだありゃ」
山田カテル「まっいいや ご馳走 ご馳走」

〇グレー
  こうして、虚飾の祝賀会は終わった

〇立ち食い蕎麦屋
名取キクオ「えー カテルまだ食べるの?」
山田カテル「いいじゃん いいじゃん 雨降ってきたし 雨宿りついでに いつもの蕎麦屋行っとこ」

〇立ち食い蕎麦屋の店内
山田カテル「こんちゃーす!」
蕎麦屋のおじさん「ヨオ カテルにキクオじゃねえか 争奪杯見たぜ 大活躍だったじゃねえか」
名取キクオ「ありがとう」
蕎麦屋のおじさん「いじめられっ子だったキクオも あんなかっこよくなるとはな」
蕎麦屋のおじさん「そいで、カテル 何があっても自分でいろよ」
山田カテル「おじさん 急に神妙になって 何?」
蕎麦屋のおじさん「たははは なんでもねえ で、注文はいつものでいいな!」
山田カテル「あたぼうよ!」
名取キクオ「よろしくお願いします」
  いつもの仲間
  いつもの蕎麦屋
  カテルやキクオが恵まれていたのは
  こういうものに囲まれていたことである
  これから噴出する、矛盾や欺瞞
  そういったものの気配は
  雨に隠され
  誰も気づかなった・・・・・・ 
  
  つづく

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