堀田探偵シリーズ第二弾『魔法使いと音の無い雨が降る町』

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第十五話 もう一つの真実(終)(脚本)

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〇空

〇農村
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「泉さん、遠くまでありがとうございます」
泉 礼華(いずみ れいか)「いえ、構いません」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そちらの君も。こんにちは」
泉 怜央(いずみ れお)「こんにちは。泉怜央です」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「よろしくね。僕は堀田です」
泉 怜央(いずみ れお)「おじさん、本当に探偵?」
泉 怜央(いずみ れお)「僕は探偵なんて、 物語の中の職業だと思ってます」
泉 怜央(いずみ れお)「おじさん、本当は詐欺師なんじゃないの?」
泉 礼華(いずみ れいか)「れ、怜央! 何を言ってるの!」
泉 怜央(いずみ れお)「手紙が来なくなって、 お母さんはずっと元気がないんだ」
泉 怜央(いずみ れお)「それにつけ込もうとしてるなら、 僕が許さないよ!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「これは。頼もしいお子さんですね」
泉 礼華(いずみ れいか)「す、すみません」
泉 礼華(いずみ れいか)「私が離婚してからずっとこの子、 お母さんは僕が守るんだって」
泉 礼華(いずみ れいか)「なんだか警戒心の 強い子になってしまって」
泉 礼華(いずみ れいか)「怜央、堀田さんは お母さんがお仕事をお願いしたの」
泉 礼華(いずみ れいか)「ちゃんとした探偵さんよ」
初刷 論(はつずり さとし)「ちゃんとしてるかは怪しいけどな」
浜 伊織(はま いおり)「依頼に関係ないこと深追いしがちだし」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そこ、余計なこと言うんじゃない!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「僕はね、君のおじいちゃんを 探していたんだ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「今日来てもらったのは その話をするためさ」
泉 怜央(いずみ れお)「わかりました」
泉 怜央(いずみ れお)「でも怪しいと思ったら すぐ通報しますから」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ははは。お手柔らかにね」

〇林道

〇車内
初刷 論(はつずり さとし)「車で来れるのはここまでですね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「よし、じゃあ降りよう」
浜 伊織(はま いおり)「私たちも降りましょう」
泉 礼華(いずみ れいか)「あ、はい」

〇滝つぼ
泉 怜央(いずみ れお)「わあ、すごい!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「『言問いの滝』っていうんだ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「観光スポットとしても人気なんだよ」
泉 怜央(いずみ れお)「へえ!」
泉 怜央(いずみ れお)「なんだよ、別に解説してなんて 言ってないからな!」
泉 礼華(いずみ れいか)「すみません」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いやあ、警戒心が強いのは 賢い証拠ですよ」
泉 礼華(いずみ れいか)「ありがとうございます」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「少し歩きます。大丈夫ですか?」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ。スニーカー履いてきました」
泉 礼華(いずみ れいか)「これでも昔は、山登りもしてたんですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「本当ですか? 実は僕もですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「雲取山とかいいですよね」
泉 礼華(いずみ れいか)「わかります! 登山しながら富士山が見えて──」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「──」
泉 礼華(いずみ れいか)「──」
初刷 論(はつずり さとし)「おい、なんか負のオーラが出てるぞ」
浜 伊織(はま いおり)「あ? 気のせいよ」
初刷 論(はつずり さとし)(気のせいじゃないだろ)

〇空

〇けもの道
浜 伊織(はま いおり)「疲れたー。ロン、水」
初刷 論(はつずり さとし)「ほらよ」
浜 伊織(はま いおり)「生き返った。サンキュ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「二人とも大丈夫かい? もう着くから」
泉 怜央(いずみ れお)「おーい! 早くしないと日が暮れるよ」
初刷 論(はつずり さとし)「子供は元気でいいなぁ」
初刷 論(はつずり さとし)「おう、今行くぞ!」
浜 伊織(はま いおり)「あんたも変わんないわよ」

〇山中の滝
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「着いた。ここだ」
初刷 論(はつずり さとし)「凄い!」
浜 伊織(はま いおり)「ここは滝の上流ですか?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「うん。『言問いの滝』のね」
泉 怜央(いずみ れお)「すっげー!」
泉 礼華(いずみ れいか)「怜央、あんまり身を乗り出すと 落ちちゃうわよ」
泉 礼華(いずみ れいか)「それで、堀田さん。ここで一体何を?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「実は見ていただきたいものが あるんです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「浜くん、プロジェクターは持ってきてる?」
浜 伊織(はま いおり)「ええ。ドローンに積んであります」
浜 伊織(はま いおり)「バイパー、ドローン誘導」
浜 伊織(はま いおり)「所長、準備オッケーです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「よし、じゃあミストスクリーン起動」

〇山中の滝
泉 礼華(いずみ れいか)「これは?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「今回の依頼で手に入れた 副産物みたいなものです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「この霧には 映像を映すことができるんです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「これを使って──」
泉 礼華(いずみ れいか)「堀田さん」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「何でしょう」
泉 礼華(いずみ れいか)「父は・・・佐々木哲司は 一年前に亡くなったんですよね?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ええ。お電話でも申し上げた通りです」
泉 礼華(いずみ れいか)「私、正直言って それだけでも全然よかったんです」

〇女の子の一人部屋
  父は、毎月欠かさず手紙をくれました
  でも──
  ただの一度だって『私に会いたい』とは
  書いてくれなかった

〇山中の滝
泉 礼華(いずみ れいか)「いまさら父の映像なんて 見せられても──」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「泉さん。これ、わかりますか」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ、いつも父の手紙に入っていました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「この花びらについて調べたことは?」
泉 礼華(いずみ れいか)「あります。椿ですよね?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そうです。そして便せんは ヒノキから作られたものでした」
泉 礼華(いずみ れいか)「あ、そうだったんですか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ヒノキと椿、これは長崎のシンボルです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「どう考えるかは自由ですが」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「お父さんはあなたに 会いたかったのではないですか」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「だが、直接手紙で伝えることは 禁じられていた」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「これは僕の想像ですけどね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「自分の子に会いたくない 親なんていませんよ」
浜 伊織(はま いおり)「準備できました」
浜 伊織(はま いおり)「映像、流します」

〇山中の滝
佐々木 哲司(ささき てつじ)「撮れてるかな?」
泉 礼華(いずみ れいか)「お、お父さん!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「泉さん、落ち着いて。映像です」
泉 礼華(いずみ れいか)「ああ、そうでした。ごめんなさい」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「よく見てあげて下さい」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「これからお父さんが生涯を賭けた お話が始まりますよ」
泉 礼華(いずみ れいか)「わかりました」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「私の名前は佐々木哲司」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「発掘を続けて20年、私はついに発見した」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「ここ、『言問いの滝』は」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「飛鳥時代に作られた古墳の 一部だったのだ!」

〇山間の集落
佐々木 哲司(ささき てつじ)「この地域は乾期と雨期の差が激しく、」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「住民は飢饉に苦しんでいた」

〇滝つぼ
佐々木 哲司(ささき てつじ)「そこで、当時の住民が目を付けたのが 周濠と呼ばれる古墳の水路だ」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「しかし、この地には古墳を 作るほどの有力者がいなかった」

〇寂れた村
  そこで住民は宴と称し、
  近くの豪族の長を招待し──
  これを秘密裏に殺害した
  そして、弔いのために墓を作りたいと
  申し出たのだ

〇山中の滝
  豪族の古墳のためならばと、
  この地に多くの人が集まり
  古墳とその周濠が作られた
  こうしてこの地域は
  貯水池と水路を手に入れたのだ

〇美術館
佐々木 哲司(ささき てつじ)「それらの事実は、 水路から出た出土品が証明している」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「町内会にある展示品が 動かぬ証拠となるだろう」
泉 礼華(いずみ れいか)「お父さん、見つけてたんだ」
泉 礼華(いずみ れいか)「ずっと探してた、『大発見』を」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「僕も驚きました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「佐々木さんは、見つけてたんです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ダム建設を止められるほどの 歴史的資産をね」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「しかし残念なことに、 私にはダム建設を止められない」

〇山中の滝
佐々木 哲司(ささき てつじ)「私は・・・脅迫されている」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「『古墳を公開すれば、娘の命はない』 ──とね」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「おかしいと思うかもしれないがね」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「私は20年間追い求めた遺跡より」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「20年間会っていない、 娘の方が大切なんだ」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「昔、離婚したときもそうだった」

〇空
  娘が病に倒れたときのことだ
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「渡米をやめるですって!?」

〇アパートのダイニング
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「考古学の権威があなたの仮説を聞く 一生に一度しかないチャンスなのよ!」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「上手く行けば、予算ももらえる」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「夢が叶うかもしれないのよ!」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「いいんだ、弥生子」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「渡米を止めれば、礼華の手術代が出せる」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「学問のために娘を失うわけにはいかない」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「でもっ!」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「大丈夫さ。予算なんてなくても」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「諦めなければ、いつか必ず 『大発見』は出来る」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「・・・うん」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「・・・うん」

〇空
  そして娘が退院する日
  弥生子は私の前から姿を消した
  娘とともに

〇アパートのダイニング
  あなたへ
  渡米をやめてくれたこと、
  礼華を優先してくれたこと
  本当に感謝しています──でも
  このまま私たちと居たら
  あなたは多分、いつか夢を諦める
  だから私は礼華を連れて
  あなたの元を去ります
  いつかあなたが『大発見』したら
  そのときはまた──

〇総合病院
  私を、私たちを──
  あなたの家族にしてくれますか
幼い礼華「お母さーん」
幼い礼華「あれ? お父さんは?」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「礼華。お父さんはね、 もう私たちの家族じゃないの」
  ずっとずっと、あなたを応援しています
  
  弥生子

〇山中の滝
佐々木 哲司(ささき てつじ)「万が一に備え、この映像を保存する」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「そして最後に愛する妻と娘に メッセージを残す」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「弥生子、礼華」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「これがお父さんが一生をかけて 探した遺跡だよ!」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「この景色を二人に見せたかった」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「今までも、これからもずっと ──愛してる」

〇山中の滝
泉 礼華(いずみ れいか)「お父さんっ!」

〇女の子の一人部屋
  違ったんだ
  お父さんは、ずっと私に──
  会いたかったんだ

〇山中の滝
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「椿の花言葉は「控えめな優しさ」」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「偶然かもしれませんが、泉さんの お父さんのようですね」
泉 礼華(いずみ れいか)「ぐずっ。控えめ過ぎますよね」
泉 礼華(いずみ れいか)「堀田さん」
泉 礼華(いずみ れいか)「私、ここへ来て良かったです」
泉 礼華(いずみ れいか)「ありがとうございました」
泉 怜央(いずみ れお)「お母さん! どうして泣いてるの?」
泉 怜央(いずみ れお)「やっぱりお前は詐欺師だったんだな!」
泉 怜央(いずみ れお)「お母さんから離れろ!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「えっ!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ろ、肋骨が!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「うわあっ!」
「堀田さん!      所長ーー!」

〇空
  こうして、今回の依頼は無事完了した
アナウンサー「次のニュースです」

〇農村
アナウンサー「音無雨町で予定されていた ダム建設が中止になりました」
アナウンサー「なんと飛鳥時代の古墳が 見つかったそうなんです」

〇おしゃれなリビング
アナウンサー「スタジオでは、専門家をお呼びして──」
浜 伊織(はま いおり)「古墳のニュースばっか」
浜 伊織(はま いおり)「つまらなすぎる」
初刷 論(はつずり さとし)「いいじゃねーの」
浜 伊織(はま いおり)「全然良くない」
浜 伊織(はま いおり)「あと、アレもなんとかならないの?」
初刷 論(はつずり さとし)「ああ、あれね」
???「依頼がないと来ちゃいけませんか」

〇応接スペース
泉 礼華(いずみ れいか)「あ、だったら私の身辺調査とか いかがですか」
泉 礼華(いずみ れいか)「ちゃんとお代はお支払いしますので」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「泉さん」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「自分で自分を調査しても 意味ないですよね」

〇おしゃれなリビング
初刷 論(はつずり さとし)「あの男は大切なものを 発掘していきました」
初刷 論(はつずり さとし)「それはあなたのここ──」
浜 伊織(はま いおり)「言わせねーよ!」
浜 伊織(はま いおり)「さっさとあの女を追い出しに行くよ!」
初刷 論(はつずり さとし)「了解」

〇商店街
  とある商店街の路地裏に
  都内屈指の探偵事務所がある

〇応接スペース
  探偵はその見事な手腕から
  奇妙な二つ名を持っていた
  『魔法使い』、と
  これは、その探偵と
  仲間たちの物語である

コメント

  • 少し遅くなりましたが完結お疲れ様でした
    スピンオフだけど探偵3人の魅力がしっかり立っているから、こっちのシリーズも是非読んでみたいです。とても濃密でハラハラする物語でした。
    次の作品も楽しみにしています😆😆😆😆😆✨

  • 完結お疲れ様でした。
    いやいやいや、見切り発車って嘘ですよね!?
    めっちゃ頭の中で練ってますよね!?😆

    ホッター、罪な男…
    やっぱりいおりんといい雰囲気になってロンが空気ぶち壊しにくる関係が、一番いいですね👍

  • 新シリーズを通してさらに堀田たちが好きになりました😊
    いやーしかし完成度がすごい…お話の臨場感や謎が紐解けていく快感を楽しめました。面白かったです。完結お疲れ様です!

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