アングラ☆リーガル

杜若ゆうき

エピソード15(脚本)

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〇マンションの入り口

〇ファンシーな部屋
  紫苑は一心不乱に法律の勉強をしていた。
松山紫苑「やった! 全問正解♪ やっぱり私、逃げてただけだったのかな・・・」
松山紫苑「私にはこの道が合ってる!」
  ふと顔を上げると、本棚に飾ってある写真が目に入った。
松山紫苑「菜々美、元気にやってるのかな・・・」
  心苦しく思いながらも、紫苑は写真立てを裏返した。

〇ファンシーな部屋
  勉強に一区切りがつき、紫苑は紅茶を飲みながら休憩を取ることにした。
松山紫苑「あ、そうだ電源」
松山紫苑「ん?」
  スマホに電源を入れると、着信が数件入っていた。
  着信名には『大野菜々美』とある。
松山紫苑「いまさら何の用?」
  疑問に思っていると、再び着信がある。
松山紫苑「え? 北澤さん?」
松山紫苑「はい、松山です。はい──」

〇団地

〇アパートの台所
大野菜々美「ええー? こんなところで撮るの?」
監督「そうだよ。 ここが一番菜々美の持ち味を出せるからね」
大野菜々美「もっと爽やかな場所がいい!」
監督「いいや、君には、そういうのよりもこういう庶民的なエロスがふさわしい」
大野菜々美「エロス?」
監督「じゃあ、全部脱いで。 胸の寄りから撮りまーす」
監督「あ、君、ローション準備しといて」
大野菜々美「ん? これってイメージビデオでしたよね?」
監督「まぁそんな感じ」
撮影スタッフ「トルネードさん入りまーす」
トルネード村田「ウィッス! おねがいしまーす」
トルネード村田「早速、動きの確認していいすか?」
大野菜々美「動き?」
トルネード村田「台本に、キスは優しく、そこから乱暴に布団へってあったんスけど」
大野菜々美「は!? え? ちょっと、なんのこと?」
監督「新鮮な感じを大切にしたいから、菜々美には台本渡してないんだ」
大野菜々美「ちょっと待って! え? 何?」
監督「大丈夫、トルネードさんは大ベテランだから」
トルネード村田「最高にキモチゥィイデビューにしような☆」
  トルネードと呼ばれた男は無数の金歯をのぞかせて、不気味な笑みを菜々美に向けた。
大野菜々美「うっ・・・いや、ちょっと何が何だかわからないんですけど」
監督「大丈夫。 アダルトビデオデビューの女優さんて結構そういう人多いんだ」
大野菜々美「え? いま何て?」
トルネード村田「ん? アダルトビデオデビュー?」
大野菜々美「・・・私、現場間違えました」
大野菜々美「あー、びっくりした」
監督「いや、社長さんから直々にお願いされてるから、間違ってない筈だよ」
大野菜々美「え? そんな筈無い! ちょっと社長に電話してきても?」
  菜々美は慌てて社長の蛇淵(へびぶち)に電話をかけに行く。
  電話がつながり事情を説明すると、蛇淵はすぐに現場に向かうと告げた。

〇アパートの台所
  数十分ほど待つと蛇淵が現場に到着した。
蛇淵雅子「全くこの子は・・・本当すいませんねえ、うちの子がご迷惑おかけして」
監督「いえいえ。 デビューの子って割と皆そうですから」
大野菜々美「社長! 約束が違う!」
蛇淵雅子「約束? 守っているよ。 売れる為なら脱ぐって、自分で言ったじゃないか?」
蛇淵雅子「あ、そうだ。 この前言ってた菜々美の契約書のコピーを確認用に持って来たよ」
大野菜々美「契約書!?」

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