ふれてん

ぽんたろう

第16話『見えない絆』(脚本)

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〇高い屋上
宇喜多羽彩「・・・・・・」
宇喜多羽彩「優弥は何も悪くないよ」
三好優弥「あのとき、俺が家を離れなければ 良かったんだ」
宇喜多羽彩「雨の中、好きな人が自分の宝物を 必死に探してくれるなんて幸せだよ」
宇喜多羽彩「あの日、詩乃さんが亡くなった原因は 優弥がいなかったのはきっと関係ないよ」
宇喜多羽彩「詩乃さんが最期に会いたかったのが 優弥だったって話だと思う」
宇喜多羽彩「だから、必死に雨の中で 優弥を探したんだよ」
宇喜多羽彩「自分の死期を悟って 1秒でも速く優弥に会いたかった そうだと思うよ」
宇喜多羽彩「タイミング悪かったんだよ」
三好優弥「そうなのか?」
宇喜多羽彩「だって、私が詩乃さんだったら そうじゃないと好きな人の元まで 走ろうと思わないよ」
宇喜多羽彩「そんな倒れちゃったら 心配かけちゃうでしょ」
宇喜多羽彩「余裕があるなら 君を信じて待ってる」
三好優弥「でもさ、やっぱり俺が無理しなければ」
宇喜多羽彩「詩乃さんがやった行動を 否定しないであげてよ」
宇喜多羽彩「詩乃さんはその時自分に出来る 精一杯の行動をしたはずだよ」
宇喜多羽彩「優弥がそれで責任感じたら 詩乃さんが間違ってたみたいじゃない」
宇喜多羽彩「ねえ、今は自分を責めるの辞めて」
宇喜多羽彩「お願い」
三好優弥「分かった」
宇喜多羽彩「ねえ、とりあえず 水葉には大丈夫って連絡してあげて」
三好優弥「そうだな」

〇広い畳部屋
宇喜多羽彩「今日は家に帰らないの?」
三好優弥「そんな気分じゃない 部室に泊まる」
三好優弥「ていうか、何で羽彩はいるんだ? 家まで送ってくぞ」
宇喜多羽彩「目離したら死ぬかもしれないのに 放って置けるわけないでしょ」
三好優弥「信用ねえな」
宇喜多羽彩「今の優弥は一人にしておけない」
三好優弥「一応俺男なんだけど」
宇喜多羽彩「だから何?」
三好優弥「えー、、、」
宇喜多羽彩「なんで、ドン引きしてるの」
三好優弥「未成年の男女が2人きりは不味いだろ」
宇喜多羽彩「変な常識あるのね」
宇喜多羽彩「優弥を信用してるよ」
三好優弥「変に買い被ってくれてるな」
宇喜多羽彩「私が惚れた男の子だからね」
三好優弥「勝手にしろ」
宇喜多羽彩「そうさせてもらう」

〇広い畳部屋
三好優弥「結局寝れんかった」
宇喜多羽彩「仕方ないよ、精神が落ち着いてないんだから」
三好優弥「そうか」
宇喜多羽彩「ねえ、お願いがあるんだけど」
三好優弥「何だ?」
宇喜多羽彩「詩乃さんの痕跡を辿らせてもらえないかな」
三好優弥「どうしてだ?」
宇喜多羽彩「知りたいの」
宇喜多羽彩「この前、お弁当の味について 聞いたじゃない?」
三好優弥「確かに、あの時、羽彩に 食べさせた弁当は詩乃が作ったからな」
宇喜多羽彩「あんな美味しい料理作れる人のこと 気になるんだよ」
三好優弥「そうか」
三好優弥「じゃあ、1人だけ心当たりあるから行くか」
三好優弥「俺も気になる」

〇大きな日本家屋
宇喜多羽彩「ここが優弥の通ってた道場?」
三好優弥「ああ」
有馬美沙「優弥くんが女の子連れてる!」
三好優弥「美沙さん」
宇喜多羽彩「こんにちは、三好くんの友達の宇喜多です」
有馬美沙「優弥くんの師匠の孫の有馬です」
有馬美沙「優弥くん、友達出来たんだ」
三好優弥「いつの間にか友達になってました」
宇喜多羽彩「詩乃さんのお弁当食べて 料理始めました!」
有馬美沙「詩乃ちゃん?」

〇L字キッチン
有馬美沙「あー、チキンのマリネか」
有馬美沙「懐かしいね」
宇喜多羽彩「あれは有馬さんが教えたんですか?」
有馬美沙「違うよ」
有馬美沙「まあ、レシピ作りは手伝ったけどね」
三好優弥「あいつ、そんなことしてたのか」
有馬美沙「あれはね 学校に通ってない優弥くんのために 詩乃ちゃんが給食をアレンジしたんだよ」
有馬美沙「詩乃ちゃんが給食で美味しいと思ったものを 再現して優弥くんの好みに アレンジを加えてたの」
三好優弥「全然気付かなかった」
有馬美沙「だから、私には 正確なレシピは分からない」
宇喜多羽彩「すごい」
有馬美沙「優弥くんが美味しく食べることを 想像しながら調理してて いつも笑顔だったな」
宇喜多羽彩「本当に愛情を込めてたんですね」
有馬美沙「だからね、凄く上達したんだよ」
有馬美沙「最近は水葉ちゃんも習いに来てたし」
有馬美沙「高校に入学したぐらいかな」
三好優弥「そうだったんですか?」
有馬美沙「そうだよ お兄ちゃんに美味しい料理 食べてもらいたいって休みの日にね」
有馬美沙「本当君ら兄妹は似てるよ」
宇喜多羽彩「たった1ヶ月で上達するのは 早いと思った」
有馬美沙「多分、詩乃ちゃんの代わりになろうと頑張ったんだろうね」
三好優弥「あいつ、まったく料理興味なかったからな」
有馬美沙「水葉ちゃん、お話してたんだけどね」
有馬美沙「学校の先輩に憧れてるって」
有馬美沙「料理も上手くて美人で お姉ちゃんみたいだって」
三好優弥「羽彩のことだな」
宇喜多羽彩「わたし?」
有馬美沙「やっぱり?そんな感じはしてた!」
有馬美沙「不思議だね」
有馬美沙「詩乃ちゃんが まるでみんなを繋いだみたい」
三好優弥「まったくあいつはお節介だな」
三好優弥「俺に友達がいないことを 心配してたからな」

〇公園のベンチ
三好優弥「ここでよく待ち合わせしてたんだ」
宇喜多羽彩「私がお弁当食べさせてもらったところだ」
三好優弥「本当はあの日から羽彩とは 友達だったんだよな?」
三好優弥「忘れててごめん」
宇喜多羽彩「いいよ! また友達になったんだし!」
宇喜多羽彩「それも奇跡だよ!」
三好優弥「でも不思議だな」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「ちなみに、優ともここで出逢った」
宇喜多羽彩「なーんだ、みんなの思い出の場所か」
三好優弥「水葉から電話だ」
三好優弥「どうかしたか?」
三好優弥「え、双葉がいない?」
三好優弥「わかった、俺も探してみる」
宇喜多羽彩「双葉どうしちゃったの?」
三好優弥「朝早くから出かけて 連絡取れないらしい」
宇喜多羽彩「探そう!」
三好優弥「ああ」

〇湖畔の自然公園
三好双葉「優弥さんが記憶戻ったら 私が酷いこと言ったことも 思い出したってことだよね」
三好双葉「もし、優弥さんが それで死んじゃったら、、、」
三好双葉「私が優弥さんを殺したことになる」
三好双葉「優弥さんのこと散々責めといて」
三好双葉「そしたら、お姉ちゃんは悲しむよね」
三好双葉「わたし、ただのバカじゃん」
三好双葉「私の勝手な逆恨みだよ」
三好双葉「でも、きっと、私の言葉なんて許されない」
三好双葉「本当は優弥さんのせいじゃないなんて 理解できてるのに」
三好双葉「あ、水葉から着信とメッセージが すごい来てる」
三好双葉「帰らないと」
三好双葉「あっ!」
「痛っ!」
三好双葉「足首捻った」
三好双葉「ちゃんとした靴履いてくればよかった」
三好双葉「とりあえず、水葉に連絡して」
三好双葉「うそ、、、電池切れ!?」
三好双葉「速くしないとバスも無くなっちゃう」
三好双葉「でも、足が動かないし」

〇湖畔の自然公園
三好双葉「暗くなっちゃった」
三好双葉「今日はここで野宿か、、、」
三好双葉「きっと罰が当たったんだろうな」
三好双葉「もしかしたらお姉ちゃんが怒ってるのかも」
三好双葉「どっちにしろ、優弥さんに 合わす顔なんてないけど」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「やっぱり怖いよぉぉ」
「双葉!」
三好双葉「え?」
三好優弥「ここにいたか」
三好双葉「優弥さん!?」
三好優弥「良かった、無事で」
三好双葉「どうしてここに!?」
三好優弥「何となくな」
三好優弥「多分、詩乃との 思い出の場所にいると思った」
三好優弥「それより怪我とかは大丈夫か?」
三好双葉「ちょっと足首捻って動けなくなって それでバス乗り過ごしちゃった」
三好優弥「そうか、大きな怪我してなくて良かった」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「どうして?」
三好双葉「こんなことしてくれたの?」
三好優弥「は?」
三好双葉「私、前に優弥さんに 取り返しのつかない酷いことを言ったのに」
三好優弥「あー、そんなことあったか?」
三好双葉「人に言っちゃいけない言葉を言ったんだよ!」
三好優弥「気にしちゃいないぞ」
三好優弥「お前が元気でいてくれるなら あんな言葉いくらかけられたって 受け止めてやるよ」
三好優弥「お前の気持ちが 少しでも楽になるんなら安いもんだ」
三好双葉「水葉の言った通り 自分を犠牲にしちゃうんだ」
三好双葉「今の優弥さんは お姉ちゃんのことを思い出して 大変なはずなのに」
三好優弥「お前も詩乃と同じぐらい大事だ」
三好双葉「・・・・・・」
三好優弥「そんなことより帰るぞ」
三好優弥「子供は寝る時間だ」
三好双葉「ちょ、ちょっと!」
三好優弥「ほら、おんぶだ」
三好双葉「ゆ、優弥さん!」
三好優弥「いつ以来だ?」
三好双葉「小6の時かな」
三好双葉「私が今日みたいに転んで動けなくなってるところを学校まで迎えに来てくれた」
三好優弥「少し重くなったな」
三好双葉「そりゃ、そうだよ」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「ねえ、優弥さん」
三好優弥「ん?」
三好双葉「ごめんなさい」
三好双葉「『あんたが死ねば良かったのに』とか酷いこと言って本当にすみませんでした」
三好優弥「気にすんなよ お前の詩乃への想いは分かってるよ」
三好優弥「あいつのこと大好きだったもんな」
三好双葉「あと、去年、学園で道迷ってる時に見つけてくれて」
三好双葉「ありがとう」
三好双葉「ずっと言えなかった」
三好優弥「どういたしまして」
三好双葉「あとね、厚かましいお願いなんだけど いいかな?」
三好優弥「何でも言ってみろ」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「また、『お兄ちゃん』って 呼んでいいですか?」
三好優弥「もちろん」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「ありがとう!お兄ちゃん!」

〇明るいリビング
三好水葉「双葉のバカ!」
三好水葉「心配したんだから!」
三好双葉「ごめんね、水葉」
三好優弥「ほら、双葉もこうやって 謝ってることだし許してやってくれ」
三好水葉「お兄ちゃんも!」
三好水葉「本当に心配したんだから!」
三好優弥「す、すまん」
有馬美沙「とりあえず、これで一件落着か」
三好双葉「美沙先生、車出してもらって ありがとうございました!」
有馬美沙「話聞いた時はどうなるかと思ったけど 本当に良かったよ」
有馬美沙「それから お礼なら、お兄ちゃんに言うんだね」
有馬美沙「GPSよりも優秀なセンサーで 的確に当てたんだから」
三好双葉「さっき充分お礼しました」
三好優弥「されました」
有馬美沙「なら、良かった」
宇喜多羽彩「双葉無事で良かったよ」
三好双葉「はい!羽彩先輩も一緒に探してくれて ありがとうございました!」
宇喜多羽彩「まあ、私は優弥に 付いて行ったりしただけだけどね」
三好優弥「それでも、車内で料理部の部員達に 連絡取りまくってたぞ」
三好双葉「先輩は本当に頼りになります!」
宇喜多羽彩「やめてよ!」
三好優弥「それから、水葉」
三好水葉「はい」
三好優弥「羽彩に言うことあるよな?」
三好水葉「分かってる」
三好水葉「羽彩先輩!」
三好水葉「双葉を一緒に探してくれて ありがとうございました!」
三好水葉「そして、最近、先輩に対して 傲慢な言動して 不快な思いをさせて」
三好水葉「本当に申し訳ございません!」
宇喜多羽彩「いいよ」
宇喜多羽彩「また羽彩先輩って呼んでもらえて嬉しい!」
宇喜多羽彩「可愛い後輩のためなんだから これぐらい当然だよ」
宇喜多羽彩「それに、水葉は 本当に優弥のことが大好きだって 知ってたからね」
宇喜多羽彩「それだけ兄妹愛が強いって ちゃんと理解してるよ」
宇喜多羽彩「だから、気にしないで 前みたいに仲良くしよう」
三好水葉「ありがとうございます!」
有馬美沙「雨降って地固まるか まさに青春だな」
有馬美沙「お姉さん嬉しい」
三好優弥「美沙さんは何年前の話ですか?」
有馬美沙「おい、そこ!」

次のエピソード:最終話前編『ふれてん』

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