勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

第14話 最高のバースデー(脚本)

勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

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〇川に架かる橋
松本真理(あーあ、またお祈り)
松本真理(一週間も無断欠勤したら そりゃクビになるよね)
松本真理(面接でも理由を説明できなくて 全然うまくいかないし)
松本真理「はあ・・・」
松本真理(あれからもう3ヶ月経ったんだ)
松本真理(舞花・・・ ミシェル様、リゼットさん、クレール)
松本真理「みんな元気でやってるかな・・・」

〇西洋の城

〇広い厨房
第一王子ミシェル「・・・うん これなら問題ないですね」
宮廷料理人「ありがとうございます!」
宮廷料理人「皇帝の養子になったのは 異世界の方なのですよね?」
宮廷料理人「気に入っていただけるでしょうか?」
第一王子ミシェル「ええ、きっと」
第一王子ミシェル「マリー様はおいしいと言ってくださった だから彼女も気に入ってくれると思う」
「ミシェル様! 資料はどうなっていますか?」
第一王子ミシェル「リゼットに依頼してあるから 魔導研究所に・・・」
第二王子クレール「・・・ミシェル殿!」
第一王子ミシェル「こんにちは、クレール様」
第一王子ミシェル「会合の準備は滞りなく進んでいますよ」
第二王子クレール「そうか・・・」
第二王子クレール「今日は・・・」
第二王子クレール「・・・いい天気だな」
第一王子ミシェル「そうですね・・・?」
第一王子ミシェル「明日も天気に恵まれるといいですね」
第二王子クレール「・・・ああ」
第一王子ミシェル「・・・?」
第一王子ミシェル「では、わたしはこれで・・・」
第二王子クレール「待て!」
第二王子クレール「・・・これを」
第一王子ミシェル「これは・・・?」
第二王子クレール「・・・今日は・・・」
騎士団長ヴァレリー「クレール殿下! 最終確認をお願いいたします」
第二王子クレール「わたしはもう行く」
第二王子クレール「引き続き、会合の準備を頼むぞ」
第一王子ミシェル「はい・・・」

〇謁見の間
皇女マイカ「トビアスさん 明日はリュテスとの会合だよね」
皇女マイカ「あたしも行っていいの?」
皇帝トビアス「ああ」
皇女マイカ「リゼットちゃんに会えるの、楽しみだなー」
皇帝トビアス「遊びに行くわけではないぞ」
皇女マイカ「だってこのお城 女の人が全然いないんだもん」
皇帝トビアス「・・・侍女や女性兵士の雇用を検討するか」
皇帝トビアス「今はおまえもいることだしな」
皇女マイカ「うん!」
皇女マイカ「ね、こないだ 召喚士に魔法を教えてもらったの」
皇女マイカ「成果を見てくれる?」
皇帝トビアス「召喚術だと?」
皇女マイカ「あたしの魔力と技量なら 任意の相手を喚べるんだって」
皇帝トビアス「月󠄃神イーリャの言葉を忘れたのか?」
皇帝トビアス「世界に綻びができれば よからぬことが起きるかもしれない」
皇帝トビアス「帝国は召喚術を用いて他国に侵攻した」
皇帝トビアス「再び召喚術を使えば 他国からの誹りは免れないぞ」
皇女マイカ「あたし・・・一生懸命覚えたから お父さまに見てほしくて」
皇女マイカ「でも、そうだよね」
皇女マイカ「考えなしなこと言ってごめんなさい」
皇帝トビアス「・・・まあ 一度だけならいいだろう」
皇女マイカ「ほんと!?」
皇帝トビアス「一度だけだぞ!」
皇帝トビアス「姉を召喚したいのか?」
皇女マイカ「ううん」
皇女マイカ「会いたいけど・・・ お姉ちゃんが決めたことだもん」
皇女マイカ「喚びたいのは あたしとお姉ちゃんの知り合いで・・・」

〇住宅街の道
松本真理(・・・なんでだろ、全然楽しくない)
松本真理(戻ってくること ずっと望んでたはずなのに)
松本真理「どうして・・・」
松本真理「なんだろ? 騒がしいけど」
「あっ、松本さん!」
「あなたの家、燃えてるわよ!」
松本真理「え・・・」

〇一戸建て

〇住宅街の道
松本真理「ええーっ!?」

〇貴族の応接間
宮廷魔導師リゼット「明日の準備は終わったか?」
第一王子ミシェル「ああ、どうにかね」
宮廷魔導師リゼット「じゃあ町へ行くぞ」
第一王子ミシェル「今から?」
宮廷魔導師リゼット「・・・まさか忘れてるのか?」
第一王子ミシェル「なにを?」
宮廷魔導師リゼット「今日はミシェルの誕生日だろう」
第一王子ミシェル「あっ・・・そういえば」
宮廷魔導師リゼット「本当に忘れてたのか」
第一王子ミシェル「ここのところ忙しくて」
宮廷魔導師リゼット「確かに、ずっと頑張ってるな」
宮廷魔導師リゼット「よし! 今日はとびきりの店でお祝いしよう!」
第一王子ミシェル「うん・・・ありがとう」
第一王子ミシェル「あ、でも 1つだけ片付けておきたいことがあるんだ」
第一王子ミシェル「すぐ終わるから待っててくれないか」
宮廷魔導師リゼット「わかった 魔導研究所で待ってるぞ」
第一王子ミシェル(まさかクレール様 誕生日プレゼントをくださったのかな)
第一王子ミシェル(ただの偶然かもしれないけど)
第一王子ミシェル(クレール様の誕生日には贈り物をしたいな)
第一王子ミシェル(後でリゼットに相談しよう)

〇川に架かる橋
松本真理「あーあ、最悪」
松本真理(延焼しなくてよかったけど これからどうしよう)
松本真理(とりあえず今日はネカフェに泊ま・・・)
松本真理「あ・・・」
松本真理「ミシェル様・・・!」
伊達大智「あ?」
松本真理「・・・なんだ伊達か」
松本真理「そうだよね ミシェル様がここにいるわけないし」
松本真理「あたし、疲れてるのかな」
伊達大智「ちょっと待てよ」
松本真理「なに?」
伊達大智「・・・舞花、死んでないよな?」
松本真理「縁起でもないこと言うな!」
伊達大智「ならよかった」
伊達大智「おまえの家に放火したの、俺の元カノ」
松本真理「は?」
伊達大智「愛子がおまえを刺しただろ?」
伊達大智「さすがにどうよと思って切ったら メンヘラになっちまってさ」
伊達大智「舞花が俺をかくまってると思ったのかもな」
松本真理「笑い事じゃないっての!」
松本真理「おまえのせいで・・・」
伊達大智「な、なんだ?」
松本真理「この光・・・まさか!」

〇謁見の間
伊達大智「いってー・・・」
松本真理「リュテス城・・・じゃない?」
皇女マイカ「大智くん、ひさしぶ・・・」
皇女マイカ「・・・お姉ちゃん!?」
松本真理「舞花! じゃあここは・・・」
皇帝トビアス「ガンディア城だ」
皇帝トビアス「召喚したかったのはこの男か?」
皇女マイカ「うん」
皇女マイカ「お姉ちゃん、大智くんと一緒にいたの?」
松本真理「たまたまね」
伊達大智「おい! 俺にもわかるように説明しろ」
伊達大智「ここはどこで、このおっさんは誰だ!」
皇女マイカ「ここはガンディア帝国 この人は皇帝のトビアスさん」
皇帝トビアス「おまえを召喚したのは 養子であるマイカの願いだ」
松本真理「養子!?」
皇女マイカ「大智くん」
皇女マイカ「悪いことしたら、償いをしなきゃ」
皇女マイカ「ね?」
皇女マイカ「みんな、この者を連れて行きなさい!」
「はい、殿下!」
伊達大智「なんだおまえら! 離せ! 離せって!」
「俺をどこに・・・いででで! やめろ! 折れる!」
松本真理「・・・えーっと」
皇帝トビアス「あの男をどうする気だ?」
皇女マイカ「それは秘密」
皇女マイカ「それよりお姉ちゃん 元気そうでよかった」
松本真理「元気じゃないよ」
松本真理「仕事は見つからないし 家は燃えちゃったし」
皇女マイカ「そうなの?」
皇女マイカ「じゃあリュテスで暮らしたら?」
松本真理「そっ・・・」
松本真理「そういうわけにはいかないでしょ!」
皇女マイカ「なんで?」
皇女マイカ「ミシェルくんもリゼットちゃんも きっと喜んでくれるよ」
松本真理「そうじゃなくて・・・!」
皇女マイカ「家と仕事を一緒に探すの、大変でしょ?」
松本真理「そうだけど・・・」
松本真理「ああもう!」
松本真理「とにかく、すぐ戻して!」
皇帝トビアス「そういうわけにはいかんな」
皇帝トビアス「続けざまに往復すれば 世界の綻びは大きくなる」
皇帝トビアス「しばしリュテスに滞在するがいい」
皇女マイカ「さすがお父さま!」
皇女マイカ「転移魔法でリュテスに送ってあげるよ」
皇女マイカ「あたしもついてってあげるね」
松本真理「ダメだってば!」
皇女マイカ「もう! 往生際が悪いなあ!」
皇女マイカ「そーれっ!」
松本真理「ちょ、ちょっと・・・!」

〇城の廊下
皇女マイカ「ここ、リュテス城の廊下?」
松本真理(ヤバ・・・)
皇女マイカ「誰かいませんかー!?」
皇女マイカ「ミシェルくーん! リゼットちゃーん!」
松本真理「ちょっと舞花!」
第一王子ミシェル「何事ですか?」
松本真理「あっ・・・」
第一王子ミシェル「・・・マリー様・・・!?」
皇女マイカ「ミシェルくん! ちょうどよかった」
皇女マイカ「お姉ちゃんね 仕事も住むとこもなくなっちゃったの」
皇女マイカ「お姉ちゃんのこと、よろしくね!」
第一王子ミシェル「え、あの・・・皇女?」
皇女マイカ「じゃ、またね!」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
松本真理「久しぶり・・・ミシェル様」
第一王子ミシェル「本当に・・・マリー様なのですね」
松本真理「う、うん」
第一王子ミシェル「・・・っ」
松本真理「ミシェル様!?」
松本真理「どうして泣くの・・・」
第一王子ミシェル「す・・・すみません」
第一王子ミシェル「もう二度と会えないと・・・ 思って・・・いたので・・・」
松本真理「とりあえず移動しよ!」

〇謁見の間
皇女マイカ「ただいまー」
皇帝トビアス「おかえり」
皇帝トビアス「ところでマイカ」
皇帝トビアス「姉をすぐに転移させなくても よかったのではないか?」
皇女マイカ「善は急げって言うでしょ」
皇女マイカ「明日まで待ってたら お姉ちゃんが逃げちゃうかも」
皇女マイカ「それに・・・」
皇女マイカ「これでちょっとは ガンディアの罪滅ぼしになったでしょ?」
皇女マイカ「リュテスに勇者を返してあげたんだから」
皇帝トビアス「なるほど」
皇帝トビアス「おまえももう、立派な皇女だな」
皇女マイカ「でしょ!」

〇貴族の応接間
第一王子ミシェル「・・・すみません 見苦しいところを」
松本真理「そんなことないけど・・・」
宮廷魔導師リゼット「ミシェル、まだ終わらないのか?」
宮廷魔導師リゼット「・・・マリー様!」
松本真理「ど、どうも」
宮廷魔導師リゼット「戻ってきてくださったのですか?」
松本真理「ほんとはそうじゃなかったんだけど」
松本真理「そうだ、ユーグさん!」
松本真理「ユーグさんに頼めば帰してもらえるかな」
宮廷魔導師リゼット「それは不可能ですね」
宮廷魔導師リゼット「宮廷魔導師の身分を剥奪されましたから」
松本真理「そうなの?」

〇華やかな裏庭
宮廷魔導師リゼット「今は魔法の行使を制限されて 使用人として働いています」

〇貴族の応接間
松本真理「そうなんだ・・・」
宮廷魔導師リゼット「命があるだけ寛大な処分でしょう」
第一王子ミシェル「・・・マリー様」
第一王子ミシェル「マリー様は元の世界に帰りたいのですか?」
松本真理「・・・わかんない」
松本真理「あたし、昔からゲームが好きだったの」
松本真理「豚骨ラーメンとカツカレーも」
松本真理「・・・でも」
松本真理「ゲームしてもラーメン食べても 全然楽しくなくて」
松本真理「けど、ここに残るって決めるのも怖くて」
松本真理「・・・どうしたらいいんだろ」
第一王子ミシェル「すぐに答えを出さなくても いいのではありませんか?」
第一王子ミシェル「人生を左右する選択ですから 悩むのは当然です」
第一王子ミシェル「ですから・・・ 答えが出るまでリュテスにいませんか?」
松本真理「・・・いいの?」
第一王子ミシェル「もちろんです」
松本真理「うん・・・」
松本真理「ありがと、ミシェル様」
宮廷魔導師リゼット「よかったな、ミシェル」
宮廷魔導師リゼット「最高の誕生日プレゼントじゃないか?」
第一王子ミシェル「リゼット・・・」
松本真理「ミシェル様、今日誕生日なの?」
宮廷魔導師リゼット「ええ」
松本真理「じゃあお祝いしなきゃ」
宮廷魔導師リゼット「これから町で食事をするところです」
宮廷魔導師リゼット「マリー様も行きましょう」
松本真理「うん!」
第一王子ミシェル「・・・マリー様」
第一王子ミシェル「これから、よろしくお願いします」
松本真理「・・・・・・」
松本真理「こちらこそ!」

次のエピソード:番外編 それぞれのペースで

コメント

  • 妹さん強いなぁ……と🤣
    にしても、最後の最後まで伊達の元カノがとんでもなくて笑いました(いや、笑えねぇえ!😭)。
    ユーグさんを使用人に……いいですねぇ……😇

  • 完結おつかれさまでした。
    各キャラのその後を穏やかに伝える最終回かと思っていたら、一波乱二波乱あってラストまで楽しませてもらいました!特にツンデレなクレール様や、舞花さんの愉快な言動がww
    真理さん、最後まで飾らず偽らず、真っ直ぐ悩み、感情を素直に言葉にする、とっても魅力的なキャラクターでしたね。あの場面で、豚骨ラーメンやカツカレー、それも彼女らしいですねw

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