メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード61(脚本)

メタリアルストーリー

相賀マコト

今すぐ読む

メタリアルストーリー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇宮殿の門
  ゼノンとの戦いから1カ月後。
ミリアドラ「・・・行くのじゃな」
ニル「はい。本当にお世話になりました」
ミリアドラ「もう傷はいいのか?」
ニル「俺はそんなに傷は深くなかったので、どちらかというとアイリのほうが・・・」
ニル「でもそれもこの1か月ここで療養させてもらったおかげですっかりよくなったみたいです」
ミリアドラ「おぬしたちはわが民を守ってくれたのだ。 これくらい当然じゃ」
ミリアドラ「わらわとしてはもっとゆっくりしていってもらいたかったのじゃが・・・」
ニル「この旅は俺の身体について調べるためでしたから・・・」
ニル「それにあの話が聞けたことでもっと知りたいことが増えました」
ミリアドラ「そうじゃったの・・・」

〇教会内
ミリアドラ「さて・・・、なにから話そうかの・・・」
ミリアドラ「・・・ニル、おぬしは八王を知っているか?」
ニル「・・・いいえ」
ミリアドラ「八王とは、この世界の始まりに関わる根源となるギアーズたち」
ミリアドラ「わらわはアドラの皇帝という一面をもつ一方で、八王第三位階の肩書きをもつ。 もう何千年もこの世を生きているのじゃ」
ニル「!」
ニル(つまり・・・、彼女はギアーズ・・・!)
ミリアドラ「八王は正体を明かして人の世に姿を現すことはまずない」
ミリアドラ「わらわのように人間に擬態する者、身を隠す者・・・。 さまざまじゃ」
ミリアドラ「今から・・・、その八王に名を連ねる、ある男の話をしよう」
ミリアドラ「あやつはさまざまな名で呼ばれておる」
ミリアドラ「「神の使い」「救世主」「悪魔」「災厄の化身」・・・」
ミリアドラ「どれもあやつのひとつの側面であり」
ミリアドラ「あやつにまつわる話はどれも現実離れしていてにわかには信じがたい」
ミリアドラ「ときには人間を助け」
ミリアドラ「ときには人間を恐怖に陥れる」
ミリアドラ「誰にも縛られることのない自由気ままな暴君じゃ」
ミリアドラ「あやつの名は「ファフニール」」
ミリアドラ「八王第一位階にして最古のギアーズと呼ばれる・・・。 おぬしの父親じゃ」
ニル「!!」
ニル「・・・俺の、父親・・・!?」
ミリアドラ「・・・・・・」
ミリアドラ「わらわとおぬしの父親は旧知の仲でな・・・」
ミリアドラ「我慢することが苦手でいつも自分が楽しむことしか考えてないやつじゃった」
ミリアドラ「しかもなにか新しいものを見つけると目をキラキラさせてな」
ミリアドラ「ふふふ、昔はわらわもあやつにつきおうて馬鹿をやったものじゃ」
ニル「・・・・・・」
ニル「父が、ギアーズ・・・」
ニル「・・・母のことも知っているんですか?」
ミリアドラ「うむ・・・」
ミリアドラ「おぬしの母親は、普通の人間じゃ」
ニル「!?」
ニル「ってことは・・・。 俺は・・・」
ニル「人とギアーズの、両方の血を持つ・・・」
ミリアドラ「そう、お前はギアーズと人の混血児じゃ」
ニル「・・・・・・」
ニル「すいません、ちょっといきなりのことでびっくりして・・・」
ミリアドラ「無理もない」
ミリアドラ「だが、その右腕のブレード。 間違いはない。 おぬしはやつの息子じゃ」
ニル「その・・・、俺の両親は生きてるんですか?」
ミリアドラ「ファフニールは・・・、おそらく生きとるじゃろうな」
ミリアドラ「あやつは殺しても死なんやつじゃ」
ミリアドラ「母親は・・・」
ミリアドラ「・・・・・・」
ニル「・・・?」
ミリアドラ「病気で死んだと聞いておる」
ニル「そう、ですか」
ニル「・・・ありがとうございます」
ニル「それと・・・」
ニル「俺がその、ファフニールって人の息子だとして」
ニル「ゼノンはいったいなんなんですか?」
ニル「俺と同じブレードを持ってたあいつは?」
ミリアドラ「あやつは・・・」
ミリアドラ「あやつも、おぬしと同じファフニールの息子・・・。 腹違いじゃが、おぬしの兄にあたるな」
ニル「!?」
ミリアドラ「だがあやつはおぬしと違い、生まれたすぐに捨てられた子なのじゃ」
ミリアドラ「ゼノンの母親とファフニールの間になにがあったのかは知らぬ」
ミリアドラ「わかっているのは、ゼノンの母親はゼノンを産んですぐにやつを近くの森に捨てたということだけじゃ」
ミリアドラ「おそらくゼノンは母親の顔すら知らぬのだろうな」
ミリアドラ「捨てられたあやつがどうやって生きてきたのかは知らぬ・・・」
ミリアドラ「おそらく父親ゆずりの力で周りのギアーズを喰らってきたのじゃろう」
ニル「・・・あいつは俺と戦うことを心底楽しんでいるようでした」
ミリアドラ「やつは生まれてからずっと、生きるために戦い続け、いつしかそれが生きがいになっとったのじゃな」
ミリアドラ「わらわが初めてあやつに会ったときにはもう、今のように戦いにしか生きる喜びを見いだせないやつじゃった」
ニル「・・・・・・」
ニル「ゼノンはあれで死んだんでしょうか?」
ミリアドラ「あやつは生きておる」
ミリアドラ「あやつはここ過去に幾度となくこの国を襲ってはわらわに戦いを挑んできた」
ミリアドラ「そのたびにわらわもコアを割ってやったのじゃが、あやつはまるで気にもしていないようじゃった」
ミリアドラ「そしてまた現れる・・・」
ミリアドラ「どうやっているのかは知らぬが、あれがあやつの能力によるものなのは間違いないじゃろう」
ミリアドラ「これはわらわの推測なのじゃが・・・、おそらくいつも見せている姿は分身じゃ」
ミリアドラ「どこかはわからぬが、分身を操る本体があるはずじゃ」
ミリアドラ「本体のコアを壊すことができればやつも・・・」
ニル「・・・・・・」

〇宮殿の門
ミリアドラ「達者でな。旅の幸運を祈っておる」
ニル「はい、本当にお世話になりました」
ミリアドラ「世話になったのはこちらのほうじゃ」
ミリアドラ「おぬしのおかげで今回は幸いにも死者もけが人も出なかった」
ミリアドラ「民に代わりわらわから礼を言おう」
ミリアドラ「ありがとう。本当に助かったぞ」
ニル「いえいえ、俺は自分にできることをしたまでです」
ミリアドラ「・・・そういえば、おぬしはこれからどうするのじゃ?」
ニル「それなんですが・・・」
ニル「父さんを探してみようかと思います。 なにも手掛かりはないんですが」
ミリアドラ「ファフニールと会いたいのか。 ・・・会ってどうするのじゃ?」
ニル「うーん会ってなにをしたいのかもわからないんですけど・・・」
ニル「あ、でも母さんの話を聞いてみたいです。 どんな人だったのか・・・、なにが好きだったのか」
ミリアドラ「・・・そうか」
ミリアドラ「ならば、ここよりもうすこし北にあるタルブという村に行ってみるがよい」
ニル「タルブの村・・・?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

成分キーワード

ページTOPへ