ポメ(脚本)
〇宮殿の部屋
メイ「くっ ころせ」
封印魔法のせいで動けない
ラビ「ははは 命を助けてやったのだから 粗末にするなよ」
私は魔王界統一をかけてラビと戦い、敗れた
ラビ「おまえはポメに髪色が似ている。 だから生かしてやったのだ」
ラビ「ほら、ワンと鳴け」
メイ「ポメ・・・?」
ラビ「ポメは私のたった一人の友達だった」
ラビ「ある日、人間界を散歩しているときに、 仲良くなって、そのまま城に連れて帰ったが・・・」
ラビ「ポメのために、なくなく元の飼い主に返したのだ」
ラビ「私の魔術を結集してもポメは作れない なぜだ・・・ なぜだ・・・」
メイ「そりゃ自然物だからな 自然物には何一つとして同じものはない」
ラビ「うるさい巫女 おまえは犬だ 今日から犬だ かわいいかわいい俺のポメだ」
メイ「くうーん くうーん」
ラビ「ああ、その声! ポメが帰ってきた!」
ラビ「ポメ〜 うりうりうりうり あばばばばばぶー」
メイ(なんだコイツ・・・キショ・・・ と思っても 犬語しか喋れない)
ラビ「ポメ〜ポメ〜」
メイ「ワンッワンッ」
メイ「痛い痛い痛い折れる この怪力魔王め!」
ラビ「うーわーん やっとポメに会えた・・・」
わあ、こいつ、泣くのか?
魔王のくせに・・・
と思っても勝手に舌が魔王の涙を拭う
ラビ「優しいなポメは」
ラビ「おまえしか俺をわかってくれるやつはいない」
メイ(わあ・・・)
ラビ「そうだポメ 晩ごはんだぞ〜 俺がポメのために焼いた 魔ンモスのステーキだ」
勝手に体が四つん這いになって皿にがっついてしまう
ラビ「どうだーうまいだろう〜」
メイ「くうーん」
ラビ「そうか〜よーしよしよし」
ラビ「そうだポメ、一緒に風呂に入ろう」
メイ「ワウッッ(無理!!!)」
ラビ「そうか水は嫌いか 仕方ないな あとで最高のトリマーを呼んで きれいきれいにしてもらおうね」
メイ(ふう・・・ いつまでポメでいなくてはならないのだ?)
メイ(大丈夫かこの魔王・・・本当に魔界統一を目論むような器なのか? 私のほうが余っ程ふさわしいと思うが・・・)
メイ(私は犬なんぞにうつつを抜かさないしな フンッ)
ラビ「一緒に寝ようポメ〜」
メイ「ギャウッ(無理!!)」
ラビ「あははかわいいな〜」
抵抗むなしくベッドに連れて行かれる
ラビ「ああ、ポメ・・・俺もポメみたいな犬に生まれたかった 魔王の子なんかじゃなくてさ・・・」
メイ「くうーん」
ラビ「なあ、ポメはどんな世界を見ているんだ? そっちに連れて行っておくれよ」
メイ「・・・・・・」
私は自発的に魔王の頭を撫でてやった
翌朝
手下「魔王様ー! 会議の時間ですぞ いらっしゃらないのですか?」
ラビは布団を被ったまま出ていこうとしない
手下「魔王様ー!」
ラビ「うるさい! 今日は腹の調子がよくないので、おまえにまかせる! 消えろ!」
手下「は、ハハー!」
メイ(もう無理はせず魔王なんてやめたらいいのではないか? 多分性根に合わないのだろう・・・)
メイ(こいつがいなければ私の魔王界征服のチャンスが・・・! ふふふ)
ラビ「おい巫女」
メイ「ウグっ」
犬化魔法が解かれた
ラビ「お前は俺の秘密を知った 俺を殺せ」
ラビ「お前はまあ、俺を殺すのにふさわしい程度の器の魔王だ やれ」
メイ「・・・・・・」
メイ「大した秘密でもなくないか?」
ラビ「俺には大したことなのだ」
メイ「そんな秘密も背負えないくらいなら 人間にでもなって、犬を飼って、幸せに暮らしな」
ラビ「?!」
メイ「自分で自分に技をかけたらいい 俺は犬を飼っている人間だと」
メイ「お前は私を倒せるほどの魔王なのだから そのくらいの決断は簡単にできるだろう」
ラビ「・・・」
メイ「・・・人間界には私がつれていこう」
〇魔界
・・・私は魔王界を統一した
あの魔王がどうなったかは知らない
私も動物が好きなので、少しの時間を過ごしただけでも情が移って寂しい気持ちになっちゃうの、とても共感してしまいました🥹ワンコを演じてあげた巫女さん、とても優しいですね☺️
魔王とポメ巫女という取り合わせが絵的にも背徳的かつ倒錯的な淫靡さが漂ってていい感じでした。魔王のポメ好きは本当としても、「魔王に向いてない。人間になれ」と誰かに言ってほしい潜在的な願望があったんじゃないかな。ラストの結末は両者にとって本望だったと思います。