8話 特殊な朝食(脚本)
〇貴族の応接間
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「朝になりましたよ、ルゥラッハさま」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「ハァ・・・この人が無防備すぎるせいでまたバカなことをしようと・・・耐えろ」
エレエレ・テンテンポム「この人にも、少しは心の余裕ができたと言うことなのか・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お、おはよう・・・」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「おはようございます 朝食の準備ができてますが・・・いつも通り食べられませんか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロは寝てるのか? まだ食べていないなら一緒に食べたいんだけど・・・」
エレエレ・テンテンポム「・・・食べるんですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・食べちゃダメなのか?」
エレエレ・テンテンポム「いつも最低限の食事しかしなかったので、気になってしまって」
エレエレ・テンテンポム「これからも毎日三食きちんと食べてください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そうする アゥルペロにひとりで食べさせるのは可哀そうだ」
エレエレ・テンテンポム「あなただっていつも一人でしょう?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺は平気だけど、アゥルペロは寂しかったかもしれないだろ?」
エレエレ・テンテンポム「・・・それはないのでは?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・・・・」
確かにそれはない・・・
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロが起きてから一緒に食べる 書斎へ向かおう、昨日の報告を聞かせてくれ」
エレエレ・テンテンポム「はい」
〇王妃謁見の間
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ゲルホウス・クウザン・・・テルヌンドの暗殺団副団長・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「正体はわかったけど、居場所はまだつかめない──・・・か」
エレエレ・テンテンポム「申し訳ございません」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロはいつも何時くらいに起きる?」
エレエレ・テンテンポム「そろそろだと思います。ついさっきベラが朝食の準備を始めたと報告を受けました」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「じゃあ・・・朝食を終えたら、情報ギルドへ向かおう」
エレエレ・テンテンポム「情報ギルドへですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「期待はしていない・・・ダメもとで」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(一度目では漫画の通り悪役令嬢の味方になり厄介だった情報ギルド──)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(彼女たちを味方につけられたら万々歳だが・・・ もう既に悪役令嬢とは仲良しこよしだろう)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロの悪事の証拠を集めたのもきっと彼女たちだ・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「──ってことは敵か。情報を出さなければ壊滅させようかな」
エレエレ・テンテンポム「出せなければ?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「壊滅させる 公爵令嬢側であることは間違いないからな」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そろそろ行こう アゥルペロも起きた頃だろう」
〇城の会議室
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・??」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベ、ベラ、いつもより量が多くないかしら?」
ハグスタリ・ベラ「なぜか料理長が張り切っていたんです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そうなの? 何かあったのかしら」
エレエレ・テンテンポム「あ!」
ハグスタリ・ベラ「テンテンポムさま、何か?」
エレエレ・テンテンポム「・・・ベラ、その朝食は下げなさい」
ハグスタリ・ベラ「私はアゥルペロさまへ朝食を運んでくださいと頼んだのです」
エレエレ・テンテンポム「その朝食はルゥラッハさまが食べる」
ハグスタリ・ベラ「はい?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・お兄さまが?」
エレエレ・テンテンポム「お嬢さま、私が料理長に”おいしいものをいっぱい作れ”と伝えたんです」
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさまが久しぶりにまともな食事をするようなので・・・」
エレエレ・テンテンポム「料理長もそれで張り切ってしまいまして・・・」
ハグスタリ・ベラ「お嬢さまはその料理長が張り切って作った料理を食べてはいけないのですか?」
エレエレ・テンテンポム「はい」
ハグスタリ・ベラ「なぜそのようなことを言うのです・・・!!」
エレエレ・テンテンポム「お腹を壊されるでしょう?」
ハグスタリ・ベラ「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
「え・・・」
エレエレ・テンテンポム「わ、私が怒られるんです お嬢さまがもしお腹を壊したら・・・」
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさまは胃袋が丈夫なのでいっぱい食べてもらおうと思ったのですが・・・」
エレエレ・テンテンポム「お嬢さまと一緒に食事をすることを伝えたら、料理長がお嬢さまの分まで増やしてしまい──」
エレエレ・テンテンポム「それをベラが運んだと聞いて、止めに来たんです」
ハグスタリ・ベラ「胃袋に問題のありそうなものはありませんが・・・?」
エレエレ・テンテンポム「・・・見た目はそうですが、元気が出るように魔物のエキスなどの魔物から出来た材料が混ぜられているんです」
エレエレ・テンテンポム「そんなものをお嬢さまが食べてしまったら・・・一週間は苦痛を味わうことになります」
「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「普通なら専用の薬で治りますが、ルゥラッハさまには50倍凝縮されたものを使っていますので・・・薬が効かなくて・・・」
「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベラ、エレエレの指示に従いなさい」
ハグスタリ・ベラ「・・・はい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ごめんなさい、エレエレ ベラを許して。私のために怒ったの」
エレエレ・テンテンポム「わかっています。ベラがいれば安心だとルゥラッハさまがおっしゃっていました」
ハグスタリ・ベラ「う・・・申し訳ございません」
エレエレ・テンテンポム「こちらのミスですから」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「それより・・・お兄さまが来てくださるの?」
エレエレ・テンテンポム「はい。旦那さまとお話されていて、遅れると・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベラ! 聞いた・・・!? 私どこか変じゃないかしら・・・!?」
ハグスタリ・ベラ「大丈夫ですよお嬢さま ドレスも似合っています」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「良かった」
エレエレ・テンテンポム「私は残りの料理を運ぶように言ってきます」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ええ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・まだあるのね」