〇飛空戦艦
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ん～いい天気だな」
エレエレ・テンテンポム「戦闘用の飛行艇を私用で使っていいんですか？」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「だって俺のだし 皇帝陛下が俺にくれたんだから」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「父上とも話し合った。同意してくれてよかった」
エレエレ・テンテンポム「そう言えば、何を話したんです？」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「今から、ゲルホウス・クウザンの居場所を付きとめに行くだろ？　捕まえて、テルヌンドに案内してもらうんだ」
エレエレ・テンテンポム「なるほど」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「その許可をもらいに行った」
エレエレ・テンテンポム「そうなんですね」
エレエレ・テンテンポム「・・・・・・」
エレエレ・テンテンポム「・・・ん？」
エレエレ・テンテンポム「はあああああああああああ!?」
エレエレ・テンテンポム「な、なななな、何を言ってるんです!? て、テルヌンドへ向かう？　なぜ!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「なぜって・・・引っ越すから」
エレエレ・テンテンポム「ひ、ひっこ・・・す？」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そう。テルヌンドに移住するんだ。その交渉に向かう」
エレエレ・テンテンポム「そんなの帝国が許すわけないじゃないですか・・・!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺頭良くないから、父上に相談したらいい案を出してくれたんだ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「皇帝が反対するのはわかりきってるだろ？　邪魔だから、とりあえず王さまに相談してみようと思って──」
エレエレ・テンテンポム「邪魔とか言うな!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、落ち着いてくれ」
エレエレ・テンテンポム「私は落ち着いてますよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ずっとそばにいてくれるんだよな？」
エレエレ・テンテンポム「・・・ずるい」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ？」
エレエレ・テンテンポム「ずっとそばにいますよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま〜！」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もうすぐ町に到着するそうです・・・！」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「わかった。物騒な場所だから俺から離れるなよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい、情報ギルドですよね？ 前からあの女に協力していることは知ってます」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロはどこからそう言う情報を貰ってるんだ？」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お父さまに頼んだら、教えてくださいます」
エレエレ・テンテンポム「旦那さまが、さっきのお話に協力的である理由がわかりました」

〇黒

〇西洋の街並み
ルゥラッハ・オル・レバノスタン（ん〜・・・迷った）
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、どっちだっけ？」
エレエレ・テンテンポム「この町は道が入り組んでいて、後ろ暗い商売を隠すには持ってこいの場所ですね」
エレエレ・テンテンポム「確かこっちですよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン（やっぱり、頼りになるな）
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、これお兄さまに似合いそうです！」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「これ買います、お兄さまに贈りたい・・・！」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロ、自分の欲しいものを買いなさい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「まあ、私はお兄さまへの贈り物が欲しいんです！ あ、あれも素敵！」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え・・・!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ〜・・・」
エレエレ・テンテンポム「ぷっ・・・くくっ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、笑うな」
エレエレ・テンテンポム「私は情報ギルドの場所を特定してきます。久々のお出かけですから、楽しんでいてください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「あ！　エレエレ・・・！」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま〜！　これも素敵！　お兄さまに似合うわ！」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「い、いやこれはお前の方が・・・!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、お花屋さんにはもっとあるかも！　行ってみましょう！」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン（誰かアゥルペロを止めてくれ〜!!）

〇黒

〇洋館の一室
　　情報ギルド
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「本当にここが情報ギルドなのか？」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ケホッケホッ・・・！ 酷いところね！」
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさま、お嬢さま、ハンカチを・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ありがとう あの女はこんなところに来ていたの？ 正気かしら？」
エレエレ・テンテンポム「様子を見てきます」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロは外に出ていろ。何があるかわからないし、何より汚い」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でもお兄さまが心配だわ」
エンシェン・リン「汚い汚いって、さっきから失礼ねー。情報売らないわよ？」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あなたね！ 公爵令嬢に協力して私を陥れたいのは・・・!!」
エンシェン・リン「しっ・・・静かに。ここは秘密の場所なのよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「汚いけど？」
エンシェン・リン「・・・昔は綺麗だったわ。でも前のギルド長がやめてからは評判が落ちてね」
エンシェン・リン「そんな時にあの美しい公爵令嬢さまが来てくれたの。私たちを信頼してくれた大事なお客さまよ」
エンシェン・リン「例え落ちぶれても、帝国中の情報を集められると、はっきりと言える。私たちが帝国一の情報ギルドよ」
エンシェン・リン「公爵令嬢のおかげで、少しずつ評判が良くなってきているわ」
エンシェン・リン「彼女を裏切るわけにはいかないの、おわかりいただける？」
エンシェン・リン「彼女に関わる情報は、あなたたちには売らないわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あの女にどんな情報を売ったの・・・っ!?」
エンシェン・リン「それは言えないわよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あの女には”私”の情報を売っているんでしょう!?」
エンシェン・リン「声を抑えてって言ってるのに、本当に情報を売らないわよ？」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「俺の欲しい情報は、公爵令嬢に関係ない」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「帝国一の情報ギルドなら、知っていると思うが、つい先日レバノスタン家に侵入した者がいる」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ゲルホウス・クウザン、正体は知っているな？　そいつの居場所が知りたい」
エンシェン・リン「もちろん正体も、居場所も知っているわ。帝国一ですもの。でもその情報は売れないわ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「つまり公爵令嬢に関係があるのか？」
エンシェン・リン「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「言えないのか？ やはり公爵令嬢に関係があるみたいだな」
エンシェン・リン「彼女は関係ないわ 簡単には売れない情報なのよ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そうか。公爵令嬢には恩があるから、裏切らないんだったよな？」
エンシェン・リン「だから公爵令嬢は関係ないの、おわかりいただける？」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「帝国一の情報ギルドの一つや二つ、壊滅させるには容易い」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「エレエレ、いるんだろう？　予定通りだ。飛行艇の操縦室に指示を出せ」
エンシェン・リン「な!?」
エンシェン・リン「無断で戦闘用の飛行艇を使う気なの!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「無断ではない。敵の排除は全部任されている」
エンシェン・リン「敵ですって!?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「侵入者の正体を知っているんだろう？ でも、レバノスタン家に侵入した”敵”の情報を渡さない」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「──つまり、”敵”を匿っていると言うことだろう？ ならお前たちも”帝国の敵”じゃないか？」
エンシェン・リン「そ、それは・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「教えるのか、教えないのか、帝国の敵になるか、ならないか、選べ」
エンシェン・リン「・・・・・・っ!!」
エンシェン・リン「教え・・・ます」