メリークリスマスやクソガキ共!!

近山 友夏

読切(脚本)

メリークリスマスやクソガキ共!!

近山 友夏

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〇クリスマスツリーのある広場
子供A「ねぇ、知ってる?」
子供A「サンタさんって、ほしいものなんでもくれるんだって!」
子供B「それって、おかねでも?」
子供C「どんなものでも?」
子供A「アタシ、ことしはカレシっておねがいした!」
子供B「じゃあぼく、おにいちゃん!」
子供C「ぼくは、えっとー・・・むりょーたいすー万円!!」
「これでくれたらおもしろいねー!!」
エリー「・・・」

〇汚い一人部屋
  ___12月24日、サンタ宅
先輩「帰れ」
後輩「嫌です」
後輩「クリスマスイブ当日、まだ全員分のプレゼントを用意できてないなんて・・・」
後輩「一体なにしてたんですか!?」
先輩「俺はな、もう嫌なんじゃ」
先輩「サンタ勤めてもう10何年」
先輩「そら俺も真面目にやって来ましたわ」
先輩「上司の嫌味に暴言で返したりな」
後輩「その態度はどうかと思いますが」
後輩「先輩の荒くもかっこいい仕事姿に、僕は憧れて___」
先輩「やけど何じゃ近頃のガキ共は!?」
  わたしは、カレシがほしいです
先輩「知らんわそんなもん!」
先輩「俺かて欲しいわ恋人!」
  むりょーたいすー万円ください
先輩「これもこれで腹立つけどのぉ、こっち!」
  ごまんえんください
先輩「たかる気か!!」
先輩「サンタにたかる気かこいつらは!!」
先輩「さっきのと比べてギリ貰える範囲狙ってくんなや!!」
後輩「まぁ、最近こういうの増えてますよね・・・」
後輩「他にも兄とか、透明人間になれる薬とか、校長のカツラとか色々ありますね・・・・・・」
先輩「俺はもうサンタはやらん」
先輩「俺らを舐めとるし感謝があらへん」
先輩「唯一、エリーって子のやつは用意したけどな」
  くまのぬいぐるみがほしいです!
先輩「ええ子にはそれ相応の日頃の褒美として渡す。サンタとして当然や」
先輩「俺らを敬え感謝せぇと言っとるんとちゃう。やけど人の好意を玩具にするような____」
先輩「クソガキにやる贈り物なんぞあらへんわ」
後輩「仕方ないでしょう・・・」
後輩「それが僕らの仕事なんですから」

〇海沿いの街
先輩「・・・ま、給料の為や」
先輩「しゃーなしプレゼント調達と行きますか」
後輩「急ぎましょう!」
後輩「お願いします、トナカイ達!」
トナカイ「あいよ!!」
先輩「校長のヅラはそこらのカツラ、金は玩具の偽札でいけるやろ」
先輩「近場のおもちゃ屋まで飛ばすぞ!」

〇海沿いの街

〇海沿いの街
  クリスマスまで後3時間____
トナカイA「ダメだ、間に合わない・・・・・・」
トナカイB「どうしたらいいんだ・・・」
後輩「あと残るは・・・」
  あのころのおもいでがほしいです
  あのこのハートがほしい!
  せんせいのおっぱい
後輩「ハートはそれっぽい形の玩具にするとして・・・」
トナカイA「もう沢山だ!」
トナカイA「僕らは面白がられる為にこんな事やってるんじゃない!」
トナカイB「渡しても調子に乗って噂が広がるだけさ」
トナカイC「バカバカしいよ!」
後輩「ちょっと、皆さん・・・!」
後輩「あと3時間切ってるんですよ!」
トナカイA「知るか!」
トナカイA「そもそも君が招いた事じゃないのか!」
トナカイB「そうやって馬鹿真面目に変なお願いも受け入れるからこうなったんだ!」
後輩「そんな、僕は!」
「おい」
先輩「ここの担当地区責任者は俺や」
先輩「配るも指示出すも俺がやった」
先輩「コイツは関係無い」
後輩「先輩・・・」
先輩「責任追求の矛先間違えんな」
先輩「一旦戻るぞ」
後輩「・・・」

〇汚い一人部屋
ボブ「オカエリナサイ、オ兄チャン」
先輩「おー」
後輩(弟さんなんだ・・・)
ボブ「今日モ全裸フルマラソン行ッテキタヨー」
後輩「えぇ・・・」
先輩「ええのぉ」
先輩「・・・」
先輩「これや!」
「え?」
先輩「お前ら、ええ案がある!」
先輩「クソガキにもプレゼントを渡せるええ話や!」

〇海沿いの街
  午前0時、クリスマス____
後輩「どうなっても知りませんよ!」
先輩「責任なら俺がとるさかい!」
トナカイ「行きますぜ兄貴ー!!」
先輩「よっしゃ!行くでお前ら!!」
先輩「メリークリスマスやクソガキ共!!」
  先輩は、プレゼントを町のシンボルツリー付近に投げ出した。
  上手くいくのかなぁ・・・

〇クリスマスツリーのある広場
  クリスマス、朝___
子供A「あった!プレゼントだ!」
子供B「なんでそとに?」
子供C「みてみようよ!」
子供C「なんか、おおきくない?」
子供A「あけてみよう!」
ボブ「彼氏デス」
マイケル「オ兄チャンデス」
ポール「ユキチ・フクザワデス」
子供達「ギャーー!!!!!!」
ボブ「サンタヲ困ラス悪イ子、君達?」
マイケル「善意踏ミニジル、クソガキ共ハ・・・」
ポール「成敗!!」
「成敗!!!!!」
その他多くの筋肉ゴリラ達「ミンナ、全裸フルマラソンヨー!!」
子供達「そんなぁ!!」
子供達「やりたくないよぉ!」
子供達「ごめんなさーーい!!!」

〇汚い一人部屋
  クリスマスから数日後
先輩「なんや朝っぱらから」
後輩「お茶漬け啜りながら対応しないでください」
先輩「ちゃう、今日は豪華やで」
先輩「鮭茶漬け」
後輩「知りませんよ」
後輩「可愛いサンタさんが来てるんですから」
後輩「おいで」
エリー「こんにちは・・・」
先輩「どないした嬢ちゃん」
後輩「会いたいって、ボブさん達に聞きに回ったらしいですよ」
エリー「あ、あの」
エリー「プレゼント、ありがとうございました!」
エリー「あとこれ・・・」
先輩「ケーキ?」
エリー「まちのみんな、サンタさんにごめんなさいって・・・」
エリー「みんなでケーキ、やいたの!」
エリー「えっと・・・」
エリー「サンタさんも、めりー、くりすます!」
先輩「ありがとうな、めんこいサンタさん」
先輩「メリークリスマス!」
エリー「う、うん!」
エリー「おおきくなったら、エリーもサンタさんになる!」
後輩「素敵なプレゼントですね」
先輩「流石にクソガキ共も懲りたやろ」
先輩「俺の腹違いの弟全員呼んだ甲斐があったもんや」
後輩「先輩、それは?」
先輩「あぁ、エリーからや」
先輩「あの子のプレゼントはちゃんと枕元に届けよう思ってな」
先輩「作戦決行の前にちょちょいと渡しに行ったんや」

〇可愛い部屋
  __遡り25日、作戦決行前の深夜
  エリーの部屋
先輩「そしたら机の上に置かれとった」
先輩「クッキーと一緒にな」

〇汚い一人部屋
先輩「見返りは求めてへんが」
先輩「サンタっちゅーのも悪ないな」
後輩「はい!」
後輩「でも、先輩」
後輩「サンタはもうやらないんじゃなかったんですか?」
先輩「はっ!」
先輩「今後のクソガキ共の行動次第じゃのぉ!」
  先輩はそう言うと、エリーちゃんのメッセージカードを嬉しそうにひらつかせた

  ────
  貴方は、サンタさんに何をお願いしますか?

コメント

  • 先輩かっこいいです!しゃべっている登場人物の姿が目に浮かぶようだと思ったら、イラストも描ける方なんですね。どおりで皆さん生き生きしていると思いました。感謝の心は持たないと駄目ですね〜。エリーちゃんのカードに詰まった優しさに胸が温まりました。急に出てくるボブさん大好きです笑

  • サンタさんがプレゼントを送るのは良い子しかあげません。だからクソガキどもにはありません。腹違いの3人がプレゼントだとは笑いました。

  • 人の善意を当然のものとして、更にはそれで悪ふざけをして迷惑をかける、確かに悲しいことですが時折目にしてしまいます。本作のように感謝が還ってくることで救われる人もいますね。コメディタッチで素敵なテーマの作品に満足です。

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