バルタッシュ伝説

ナスカ

第3話:自意識過剰娘の受難(脚本)

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〇森の中
ランパス「ふぅ・・・あそこまで自意識過剰な娘だったとは・・・」
ランパス「なんか元気無さそうだったから、少し気を紛らわせてやろうと思ったんだが・・・」
ランパス「いらん勘違いさせてしまったみたいだな・・・」
ランパス「後が気まずいぞこれは・・・」
ランパス「まったく・・・女の子って生き物は何考えてるかわからんのよな~・・・」
ランパス「俺恋人いたことないし・・・」
ランパス「まぁいいか、さっさと戻って水筒を・・・ ・・・ッ!?」
草原の魔物「ギーー・・・・・・!」
ランパス(しまった!!!魔物かっ!!!!)
ランパス(俺としたことがこの距離まで気付かないとは・・・!!)
ランパス(折角こうならないようにニラレヴァに同行してもらってたのに・・・!!)
ランパス(待てよ・・・ワンパの森では昔から典型的な出来事が起こりやすいと聞いたことがある・・・)
ランパス(これはまさか単独行動に出た俺の強制退場を意味する展開なのか!?)
草原の魔物「ギギーーー・・・!!」
ランパス(しかも囲まれているだと!?)
ランパス(完全に死亡フラグじゃねーかよ!!!!)
ランパス「・・・くそっ!!」
ランパス(閃光煙幕催涙弾!!)
  閃光煙幕催涙弾─
  
  受けた敵はその眩しさと煙幕で敵を見逃し、悔しさに涙する。
「ギーーーーー!(見えねぇ見えねぇ!)」
ランパス(今のうちに・・・!)
「ギギギーーーーーー!!(何も見えねぇ!!)」

〇山中の川
ニラレヴァ「・・・(そわそわ)」
ニラレヴァ(落ち着かない・・・)
ニラレヴァ(ランパス殿の前でやばい痴態を晒してしまった。)
ニラレヴァ(泣きたい・・・)
ニラレヴァ「・・・」
ニラレヴァ「忘れましょう、歌を歌って忘れましょう!!」
  ニラレヴァの精神は既に半壊していた──
ニラレヴァ「ららんたらんたんららんたらんたん♪」
ニラレヴァ「ニラレヴァは~鼻がいいの~まるで犬みたいね~♪」
ニラレヴァ「でも本当は~犬より熊の方が鼻が利くんだって~♪」
ニラレヴァ「だからニラレヴァはどっちかと言うと熊~♪ AH~最強ニラレヴァ~DANZENニラレヴァ~♪」
チンピラ男「へっへっへっ・・・」
ニラレヴァ「ふぉおおおおおーー!!!!!?」
チンピラ漢「んっふっふ・・・」
ニラレヴァ(いつの間にか暴漢が左右に!!!!)
チンピラ男「お嬢ちゃん、ここは魔物がウジャウジャいる地獄みたいな森だぜェ!?!?」
チンピラ男「お嬢ちゃんみたいな華奢な娘がウロついてちゃいけねぇなぁ・・・!」
チンピラ男「ヒャーハハハハハッ!!!!」
チンピラ漢「俺達に付いてきな・・・ 安全な町まで案内してやるよ。」
チンピラ男「お楽しみはそれからだぜェェ!!!!」
チンピラ男「キヘァッ!!!!!」
ニラレヴァ(こいつらクズですね・・・)
ニラレヴァ「すみませんが私には仲間が大勢いますので。さようなら──」
チンピラ漢「それは向こうにいた近衛隊の連中かい?」
ニラレヴァ「だったら何か?」
チンピラ男「ヘヘェッ!連中ならもう森を抜けて町に向かっていったんだぜェ!」
チンピラ男「俺見たもんねーーーーー!!!!」
ニラレヴァ「下手な嘘を。」
チンピラ男「嘘じゃねぇよ!お嬢ちゃんは仲間に捨てられたんだよ!残念だったなァ!ヒハァ!!」
チンピラ漢「だから俺達と一緒に町まで行けばいい。 なに、悪いようにはしない」
ニラレヴァ「貴方達のような下賤な輩の言葉など何一つ信用出来ません。」
ニラレヴァ「すみませんが、公務中ですのでお引取りを・・・」
チンピラ漢「・・・そうかい」
チンピラ漢「・・・断るってんなら・・・」
チンピラ漢「俺達が一番手慣れた方法でやらせてもらう・・・!!」
ニラレヴァ(出た!!ワンパの森特有の古典的展開!!!!)
ニラレヴァ「・・・どこまでも愚かな連中ですね・・・」
チンピラ男「ヒハハハ!!!そういう事だァ!!!」
チンピラ男「死ねぇぇぇぇえぇぇ!!!」
チンピラ男「ギャアアアァァァーーーーッ!!!!!!」
チンピラ漢「くっ・・・!このガキ・・・!! 抵抗する気か・・・!!」
ニラレヴァ「その程度ですか・・・?」
ニラレヴァ「恥を知りなさい!痴れ者が!!!!」
チンピラ漢「コイツ、ガキのくせに手馴れてやがる・・・!?」
ニラレヴァ「近衛隊を舐めない事です!」
ニラレヴァ「無力な人々を守る為、日夜厳しい鍛錬に励んでいる我々を──!!!!」
ニラレヴァ「それに私ほど可愛ければ、襲われるのだって初めてではありません・・・」
ニラレヴァ「・・・って、あっ!また自意識溢れちゃいました!」
チンピラ漢(色んな意味でヤバい奴かもしれん・・・)
チンピラ漢「ケッ!仕方ねぇ・・・予定変更だ!」
チンピラ漢「おい!!早く出て来やがれ!!!」
  男が怒声を発したその瞬間──
  周囲の空気が突然不気味なほどに澱んだ。
ニラレヴァ(えっ・・・?何いきなり・・・)
ニラレヴァ(これは・・・まさか魔力の転移門!?)
シェラー「・・・」
ニラレヴァ(何?この娘・・・ 魔物に近い臭い・・・まさか!?)
チンピラ漢「気付いたか・・・そうだ。うちのシェラーは本物の魔族だ・・・!!」
ニラレヴァ「魔族ですって・・・!?」
ニラレヴァ「魔族は暗黒大陸にしか生息しないはず・・・」
シェラー「この森、魔気たくさん・・・ 魔物もいっぱいいる・・・」
シェラー「シェラーも元気出る・・・」
チンピラ漢「だそうだ。」
ニラレヴァ「愚かな・・・」
ニラレヴァ「魔族と手を結ぶことが何を意味するか分かっているのですか!?」
チンピラ漢「当然理解はしている・・・」
チンピラ漢「元俺たちのボスだったワルサーが売れ残っていた魔族の奴隷を大金叩いて買ってきたのが3か月前──」
チンピラ漢「ソイツはしばらく大人しかったが一週間もすればすぐに本性を現した・・・」
チンピラ漢「多くの仲間達を殺したり玩具のように使いまわし、俺たちのアジトを滅茶苦茶にしやがった・・・」
ニラレヴァ(売れ残ってた理由が分かった気がする・・・)
チンピラ漢「だがそんな中で俺はシェラーを制御する方法を見付けた・・・」
ニラレヴァ「何を・・・言っているのです?」
チンピラ漢「なぁに、ソイツは自分が必要とする相手には抵抗しないのさ・・・いくら感覚がズレてても結局はガキだ・・・」
チンピラ漢「俺の指示を聞いてりゃ何でも手に入ると分かって尻尾を振ったぜ・・・」
ニラレヴァ「それは体のいいパシリなのでは・・・」
チンピラ漢「シェラーを手に入れたことで俺の人生は変わった(無視)」
チンピラ漢「シェラーの力を使って俺は組織を立て直して巨大化、今やアベルヘンを震撼させる一大マフィアの頭領へと上り詰めたワケだ」
ニラレヴァ「では貴方は下っ端ではなく、闇の組織のトップという事ですか・・・」
チンピラ漢「フン、嗅ぎつかれねぇように敢えてそう見えねぇようにしてるがな・・・」
チンピラ漢「ワルサーは無能な奴だったぜ、だが俺は違う。俺が欲しかったのはシェラーの圧倒的な力だ!!!!」
チンピラ漢「さぁ行けシェラー!! お前の力を見せてやるがいい!!!!」
  男の声に頷いた少女がおもむろに手を翳すと、周囲に闇の魔力が充満し始める─
ニラレヴァ(ッ─なんという禍々しい気・・・!! 空気に押し潰されそう・・・!!)
シェラー「死んじゃえ──」
チンピラ漢「待てえぇぇぇぇぇぇぇえええい!!!!!!」
「(ビクッ!!)」
シェラー「な・・・?なに・・・?」
チンピラ漢「誰が殺せと言った・・・」
シェラー「え?だってさっき自分でも殺そうとしてたじゃん・・・」
シェラー「ナイフをヒュッって・・・」
シェラー「シェラー見てたんだから・・・」
チンピラ漢「ゴタゴタ言うな!!!!プラン変更だ!!!! ソイツは旦那に売り渡すことにした!!!!!!」
チンピラ漢「そうすりゃ手っ取り早く金品が手に入るだろ!?!?」
シェラー「え?だとしても殺した方が早くない?」
シェラー「生きたままだと逃げちゃうかもだし・・・」
シェラー「ねぇ?」
ニラレヴァ(えっ・・・私に聞く?)
ニラレヴァ「そりゃあ・・・」
ニラレヴァ「逃げますけど・・・?」
チンピラ漢「馬鹿野郎!!!!!!!!」
「(ビクッ!!)」
シェラー「もう・・・頼むから怒鳴るのやめてよ・・・ ただでさえ声大きいのに・・・」
チンピラ漢「殺せば商品価値がなくなる事も分かんねぇのかこの間抜けが!!!!いいからさっさとやれや!!!!!!」
シェラー「分かんないよそんな雑な指示・・・」
シェラー「そんなに言うなら自分でやれば・・・?」
チンピラ漢「俺には傷跡残さず昏倒させるなんて高度な芸当は無理だ。 暴れられると傷が残るだろ・・・」
シェラー「無能・・・」
ニラレヴァ「不毛・・・」
チンピラ漢「取り敢えず高濃度魔力とかで気絶させとけばいい。その後は取引場所まで俺が運ぶ・・・」
シェラー「はぁ・・・」
シェラー「あなたかわいそうね。生きたままだって・・・」
シェラー「奴隷って結構辛いよ・・・?」
ニラレヴァ(まぁ大体予想は出来ますが・・・)
シェラー「私なら楽に殺してあげられたのにね。」
シェラー「そうしたら、もう酷いことされなくて済んだのに・・・」
ニラレヴァ(えぇ・・・)
ニラレヴァ(そうなる・・・?)
  少女の手から発せられた純黒の魔力が、ニラレヴァの全身を一瞬にして包み込む。
ニラレヴァ(ッく・・・息が──!!)
  息をするのも苦しいほどの重圧のなかで辛うじて吸った息と同時に侵入した魔力は、瞬時にニラレヴァの意識を奪っていき─
ニラレヴァ(隊長・・・申し訳・・・ありません・・・どうか・・・任務の成功を・・・お祈り・・・し・・・)
  意識を失ったニラレヴァは地に伏した─
チンピラ漢「やれば出来るじゃねぇか!」
シェラー「・・・」
チンピラ漢「なんだその目は!? 何が不満なんだよ何が!!!」
シェラー「いや、別に・・・」
シェラー「いいけど・・・」
シェラー「・・・」
シェラー「何だかなあ・・・」
チンピラ漢「ケッ!! 俺は旦那に連絡を入れてコイツを高値で捌いてくる。お前は先にアジトに戻ってシャワーでも浴びてろ!!!!」
シェラー「・・・」
シェラー「・・・なんなのアイツ!! 人を呼んでおいて勝手に!!」
シェラー「ムカつく!!いろいろ壊したい気分!!!」
シェラー「そういえばコイツ、何でずっと寝てるんだろ?」
シェラー「(つんつん)」
シェラー「死んでる・・・」
シェラー「・・・」
シェラー(ま、今日はコレで遊べばいいや)
シェラー「えいっ」
チンピラ男「あッ・・・ガ・・・アァ・・・ッ!!」
チンピラ男「・・・」
チンピラ男「ワタシ・・・シェラー様ノオモチャ・・・」
チンピラ男「シェラー様ダイスキ・・・」
シェラー「町で何かお菓子買ってきて。」
シェラー「ポテチとりんごジュースとミルクチョコ。 あ、あときくらげの谷。」
チンピラ男「了解デス・・・イイ取リ合ワセダト・・・思イマス・・・」
シェラー「気が済んだわ!!」

〇山中の川
ランパス「・・・」
ランパス「こいつは一体・・・何があったんだ・・・?」
ランパス(ニラレヴァがいねぇ・・・しかもそれだけじゃない)
ランパス(俺でも分かるくらいはっきりとした魔力の残滓・・・それと血の跡・・・)
ランパス(間違いなく何かと戦った痕跡だ)
ランパス(得体の知れない何かと・・・)
ランパス「・・・」
ランパス(この任務には・・・何か良からぬ連中が関わっている気がしていた・・・)
ランパス(だが、その予感がまさか・・・こんな形で当たっちまうなんて・・・)
ランパス「ひとまず、隊長に連絡だ」
ランパス(ニラレヴァすまない・・・俺がヘマしたばっかりに・・・)
ランパス(必ず助け出してやるからな!!!!!!)
ランパス「フラグなんて俺が全部へし折ってやるぞ!!!!!」

〇森の中
アレック「・・・」
ランパス「・・・」
アレック「・・・そうか。」
アレック「よく話してくれたランパス。」
ランパス「いえ・・・申し訳ありませんでした。俺がもっと早く気付いていれば・・・」
アレック「君達を危険に晒したことは、隊長である私の責任だ。」
アレック「君が気落ちする必要はない。 それより早急に対策を立てよう。」
アレック「ティナ君は確か魔法使いだったね。」
ティナ「そうだけど?」
アレック「使える魔法はどの程度かな?」
ティナ「一通りの初級魔法から中級魔法まである程度こなせるわよ!」
アレック「なら我々はこれから予定を変更し、まずニラレヴァ君が攫われたポイントに向かう。」
アレック「そこでティナ君は彼女を襲った連中の魔力の残滓を特定し、追跡の糸口を探ってみて欲しい。」
アレック「どうかな?出来そうかい?」
ティナ「その程度ならお易い御用よ!」
アレック「それからバルタッシュ君!」
バルタッシュ「・・・はい」
アレック「君は周辺の警戒を。ランパスと二人で、私とティナ君が痕跡を探す邪魔を魔物共にされないよう見張っていてくれ。」
アレック「くれぐれも気を緩めないこと。 敵がまだどこかに潜んでいるかも知れないからね。」
バルタッシュ「・・・」
バルタッシュ「はい」
ランパス「魔物の野郎も結構いましたよ。 俺、一度は囲まれてましたからね」
ランパス「閃光煙幕催涙弾を持ってたお陰で切り抜けられましたが・・・ヤツらもまだ近くにいるのは間違いないです」
バルタッシュ「閃光煙幕催涙弾・・・?」
アレック「あれは貴重な兵装だからな。ドラゴンとの決戦でも決定打となる事を考えると、道中ではもう消耗したくない。」
アレック「バルタッシュ君。君の祖父殿から受け継いだという秘剣の腕に期待している。」
バルタッシュ「・・・」
バルタッシュ「はい」

〇山中の川
アレック「ここか・・・ニラレヴァが襲われたと思われるのは・・・」
ランパス「はい。俺が魔物を撒いて戻ってきた時には既に・・・」
アレック「ふむ・・・男のものと思われる足跡が2つ・・・これは子供の足跡か・・・?」
ランパス「ニラレヴァの足跡は、どこに向かったか分かりませんね・・・」
アレック「どうかな、ティナ君? 魔術師としては何か感じられるかい?」
アレック「・・・と言いつつ、魔法を扱えない私でさえ身震いするほどの強力な魔力の痕跡を感じるのだが・・・」
ティナ「えぇ。実際かなり腕の立つ魔術師が来たみたいね・・・」
ティナ「この階位の相手だとレバニラの子、きっと交戦しても殆ど歯が立たなかったんじゃないかしら・・・」
ランパス「くそ・・・俺がついてりゃこんな事には・・・ッ!!!!」
アレック「彼女の話が本当なら、君と二人がかりでも状況は大きく変わらなかっただろう・・・」
アレック「こんな事は言いたくないが、君だけでも無事でよかった。」
ランパス「くッ!!何で俺じゃなくあの子なんだ──!!」
ティナ「何れにしてもここまで強大な魔力の使い手となると、大陸全体を通して見ても何人とはいないハズよ」
ティナ「王政の目を盗んで悪事を働いていたとして、最上級魔術師なら候補はある程度絞れるけど・・・」
ティナ(間違っても「あの勢力」が関与してる訳じゃないと思いたいわね・・・)
アレック「最上級魔術師だって・・・!? すべて人間国宝級じゃないか・・・そんな連中が人攫いなど有り得ない・・・!!」
ティナ「・・・魔術師が移動する時、残り香のように残った魔力が糸を引くのは知ってる?」
アレック「ああ。それを辿れば魔術師の行先が分かるはずだ。これまで何回も犯罪を解決している」
ティナ「その痕跡を辿れないとしたら・・・?」
アレック「なん・・・だと・・・!?」
ティナ「考えうる唯一の可能性を辿ってみて。」
ティナ「敵は何らかの方法でこの場所に直接現れて去ったということよ」
アレック「瞬間転移魔法・・・そんな馬鹿な・・・」
  魔術師には最下級、下級、中級、上級、最上級の5階位(ランク)が存在し、ティナは中級に該当する。
  最上級の魔術師は一握りしかおらず、その全てが王政によって管理されているのが原則である。
  瞬間転移魔法は最上級魔術師だけが扱える極めて高難度な魔法であった。
ティナ「・・・想定しうる最悪の可能性として、最上級魔術師が悪党に加担している可能性──」
アレック「・・・だとしたら現状の我々の戦力では、もし仮に追いついたとしても・・・」
ティナ「奪還は絶望的。 恐らく勝負にすらならない。貴方の聖剣をもってしても・・・」
ランパス「隊長の力でも及ばないって── 一体どんな連中なんですか!!その最上級魔術師ってのは!!!?」
アレック「王宮守護神アルフレッド、狭間の導師クルエラ、赤き屍の奏者フロイデル・・・」
アレック「我が国グランディールが保有する最上級魔術師はこの3人だ。」
アレック「アルフレッドは王家の人間であり、王宮から出ることのない鋼の番人」
アレック「クルエラは隠居の身で星見占いをする老婆だが、常に王政の人間が見張っているらしい」
アレック「フロイデルは元々屍を操る凶悪な犯罪者だったが、現在は獄中のはずだ」
ランパス「仮にその3人の誰かだとすると・・・ 怪しいのは・・・フロイデル・・・?」
ティナ「本当にフロイデルなら近衛の娘を攫うなんてチャチなことせずに真っ先に町を焼き払おうとかするわよ」
ランパス「つまり誰も知らない4人目の最上級魔術師がいるって事ですか・・・!?」
ティナ「今のままだとそうなるわね・・・」
アレック「知らない足跡の3人のうちの誰かか・・・」
バルタッシュ(・・・なんか雲行きが怪しいな・・・)
バルタッシュ(まぁ、この状況で俺に出来ることなんてどうせ何も・・・)
バルタッシュ「・・・!!(何だ?伝説の剣が光って・・・!)」

〇山中の川
バルタッシュ「・・・」
ランパス「よかった、割と近くに川があったな!」
ニラレヴァ「早く隊長様の為にお水を汲んで帰りましょう」
バルタッシュ(これは・・・まさかここであった事?)
バルタッシュ(まさか伝説の剣にこんな力があったとは・・・)
バルタッシュ(それにしても何で今いきなり発動したんだ・・・?)
バルタッシュ(ともかく、これで何があったか分かるかもしれない!!)
ランパス「そういや知ってるか?隊長が騎士隊を志した理由!!」
バルタッシュ(おっ興味ある・・・)
ランパス「ギャンブルで負け損じて借金の返済の為に入隊させられたのがきっかけらしいぜ!!」
バルタッシュ(・・・)
バルタッシュ(何だそれメチャクチャ哀れだな)
ランパス「しかも当時入れ込んでた女の子に、有り金全部ふんだくられたんだって!!2回も!!」
バルタッシュ(・・・)
バルタッシュ(イケメンだ何だって言っても惨めなもんだ・・・)
バルタッシュ(・・って!そうじゃないだろ!!)
バルタッシュ(結局何があったんだよ・・・)
ランパス「あとこれも知ってるか!? 実は酒場のオーナー、あの人絶対ヅラ!!!!」
バルタッシュ(・・・マジで・・・?)
バルタッシュ(場面が変わった!!!!)
ニラレヴァ「忘れましょう、歌を歌って忘れましょう!!」
バルタッシュ(え、何でそうなった?何があったの?)
バルタッシュ(肝心なところが飛ばされた。便利なのかよく分からんなこれ・・・)
ニラレヴァ「ららんたらんたんららんたらんたん♪」
バルタッシュ(マジで歌いだしたぞ・・・ 頭大丈夫かこの娘・・・?)
チンピラ男「へっへっへっ・・・」
バルタッシュ(うわビビった!!!)
バルタッシュ(いきなり背後に立つんじゃねーよ!!このチンピラ!!!!)
バルタッシュ(もう1人・・・!こいつらがニラレヴァを攫った犯人なのか!?)
バルタッシュ(・・・)
バルタッシュ(・・・あれ?)
サバド「ドラゴンだろうが何だろうが敵じゃねーよ!!」
バルタッシュ(サバドじぇねぇかよ)
バルタッシュ(どうなってんだこの世界)
ニラレヴァ「恥を知りなさい!痴れ者が!!!!」
チンピラ漢「コイツ、ガキのくせに手馴れてやがる・・・!?」
バルタッシュ(意外とあっさり勝負あったな)
バルタッシュ(でもじゃあなぜニラレヴァは消えたんだ・・・)
シェラー「・・・」
バルタッシュ(おっと、可愛い女の子が・・・)
バルタッシュ(・・・ってそうじゃねぇ!今の!転移魔法!!)
バルタッシュ(何なの?最近のゴロツキはナチュラルに女の子連れてるの?羨ましい!!)
ニラレヴァ「厄介な・・・! 魔族と手を結ぶことが何を意味するか分かっているのですか!?」
バルタッシュ(魔族・・・?)
バルタッシュ(魔族って、祖父が戦ったというあの魔族?)
チンピラ漢「ワルサーは無能な奴だったぜ、だが俺は違う。俺が欲しかったのはシェラーの圧倒的な力だ!!!!」
ニラレヴァ「ぐっ・・・!!」
バルタッシュ(うわぁ・・・これ絶対アカンやつや・・・)
バルタッシュ(俺やティナなら秒で死んでたな)
バルタッシュ(ともかくこれは隊長達に報告した方がいいな)
バルタッシュ(えっと・・・?どうやって戻るんだ?これ・・・)
チンピラ男「シェラー様ダイスキ・・・」
バルタッシュ「・・・」
バルタッシュ(なんだ最後の・・・)
  続く──

次のエピソード:第4話:貴族の勘に根拠なく、されど事態は好転する

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