過去編第8話『最悪の不安』(脚本)
〇ファンシーな部屋
天宮詩乃「付き合い始めたけど やること大して変わってないよね」
三好優弥「まあな」
天宮詩乃「そんなもんか」
三好優弥「ああ」
天宮詩乃「彼氏か彼女の家にお呼ばれイベントなんて 私たちには関係ないもんね」
三好優弥「毎日顔合わせるもんな」
天宮詩乃「寝落ち通話とかもやってみたい」
三好優弥「それなら直接話そうぜ」
天宮詩乃「情緒なさすぎ」
天宮詩乃「あと、あれ、やってみたい!」
三好優弥「ん?」
天宮詩乃「放課後、一緒に下校して買い食いとか」
三好優弥「学校に行くのか」
天宮詩乃「ゆーやは校門まででいいよ」
天宮詩乃「入りたくないでしょ?」
三好優弥「まあな」
天宮詩乃「それにみんなビビっちゃうからね」
三好優弥「それな」
天宮詩乃「友達作らないとダメだよ」
三好優弥「詩乃がいればいいし」
天宮詩乃「そんなこと言って!」
天宮詩乃「じゃあ放課後は校門に迎えに来てね」
三好優弥「りょ」
〇学校の裏門
天宮詩乃「あ、ちゃんといた!」
三好優弥「当たり前だろ」
天宮詩乃「じゃあ、どっか寄って帰ろう?」
三好優弥「そうだな」
〇公園のベンチ
三好優弥「結局いつもの待ち合わせ場所を 通るんだよな」
天宮詩乃「そうだね 商店街にはとりあえず行かないと」
三好優弥「詩乃!?」
天宮詩乃「ご、ごめん ちょっと胸が苦しくなって」
三好優弥「病院に行くぞ」
天宮詩乃「で、でも」
三好優弥「頼む、やっぱり変だ」
天宮詩乃「うん」
〇病院の診察室
医師「精密検査を受けないと 何とも言えないですね」
天宮詩乃「本当ですか?」
医師「すぐに検査入院をしてください」
天宮詩乃「はい」
〇病室
三好水葉「お姉ちゃん大丈夫なの?」
三好双葉「痛いところとかあるの?」
天宮詩乃「大丈夫だって! それにここは病院だからね」
天宮詩乃「2人ともここは個室だけど 静かにしないとダメだよ」
三好水葉「はーい」
天宮詩乃「検査で今日は泊まるだけだから」
天宮詩乃「きっと、たまたま体調が 悪いだけだよ」
〇病院の廊下
三好優弥「来るの遅えよ」
三好優作「すまない」
三好葉月「言い訳なんてできるわけないわ」
三好優弥「あんたら、血が繋がってないからって 詩乃を軽んじてないだろうな」
三好葉月「そんなことするわけないじゃない」
三好葉月「詩乃は私たちの可愛い娘よ」
三好優作「そうだ」
三好優弥「どうだか」
三好優作「それよりも、検査結果が そろそろ出るはずだ」
三好葉月「行きましょう」
三好優弥「俺も行く」
〇病院の診察室
医師「大変申し上げにくいのですが」
医師「お嬢様の心臓の筋肉が 非常に弱くなっています」
「!?」
三好優弥「本当ですか?」
医師「ええ」
医師「自覚症状もなかったためか 発見が遅れたみたいです」
医師「この段階で気づけたのは 運がいい方かと」
医師「最悪の場合 亡くなっていた可能性もあります」
医師「明日以降も精密検査を いろいろと行わせてもらいますが」
医師「手の施しようがないほど 進行しているかもしれません」
三好優作「治らないということですか!?」
医師「投薬治療と手術をすることになると 思いますが断言はできません」
三好優弥「100%無理なんですか?」
医師「100%無理というわけではありません だけど、可能性は低いでしょう」
医師「本人にも説明をしたいと思います」
医師「よろしいでしょうか?」
三好優作「分かりました」
三好葉月「・・・・・・」
〇病室
天宮詩乃「・・・・・・分かりました」
医師「治療を頑張りましょう」
天宮詩乃「・・・・・・そっか」
天宮詩乃「大変なことになっちゃったね」
三好双葉「そんなんやだよ」
三好水葉「お姉ちゃん」
三好双葉「お願い治って」
天宮詩乃「そんな顔しないで」
三好優作「頑張って治療しよう」
三好葉月「これまで無理させちゃってごめんね」
三好葉月「詩乃ばかりに家のこと 任せきりだったから ストレスとか色々かけてしまったのよ」
天宮詩乃「そんなことないよ!」
天宮詩乃「私、結構家事好きだし! みんな私の料理美味しい美味しいって 食べてくれるの本当嬉しいんだから!」
天宮詩乃「だから、いいんだよ」
天宮詩乃「お父さんとお母さんは これまで通り、仕事に専念して」
三好優作「いや、仕事は控える」
三好葉月「ええ、仕事よりも詩乃が大事よ」
天宮詩乃「お父さんとお母さんは 人のためになる仕事をしてるんだから いなくなったら困っちゃうよ」
三好優作「いや、でも 娘すら優先できないようでは 親として失格」
天宮詩乃「じゃあ、定時で仕事を終わらせてね それでいいよ!」
三好葉月「それでいいの?」
天宮詩乃「私のために他人に迷惑かけられないよ」
三好優作「お前ってやつは」
天宮詩乃「ちゃんと聞いてたでしょ? ゆーや」
天宮詩乃「どうなの?」
三好優弥「納得できねえ」
天宮詩乃「ねえ、私のお願いなの」
天宮詩乃「聞いてよ」
天宮詩乃「お父さんもお母さんも 私たちのために毎日遅くまで 働いてるんだから」
三好優弥「でもよ!」
天宮詩乃「私は大丈夫だから 分かった?」
三好優弥「詩乃がそこまで言うなら」
三好優弥「仕方ねえな」
天宮詩乃「そうそう!」
天宮詩乃「ということだから みんな、今日は帰って大丈夫だよ!」
〇病室
天宮詩乃「何で私ばかりこんな目に遭うの?」
天宮詩乃「パパとママが死んじゃって 学校でいじめられてさ」
天宮詩乃「今度は難病とか、、何で?」
三好優弥「頼む泣かないでくれ」
天宮詩乃「ゆーや」
天宮詩乃「帰ったんじゃないの?」
天宮詩乃「面会時間はとっくに過ぎてるよ」
三好優弥「隠れてた」
天宮詩乃「ダメじゃん」
天宮詩乃「でも、1人じゃ心細かったから嬉しい」
天宮詩乃「こういうとき、彼氏がいると 心強いね」
天宮詩乃「・・・・・・」
天宮詩乃「わたし、死ぬのかな?」
三好優弥「頼むからそんなこと言わないでくれ」
天宮詩乃「パパとママのところに行けると思えば 怖くないかな」
天宮詩乃「天使になれるかな?」
三好優弥「お願いだ、どこにも行かないでくれ」
三好優弥「お前がいないと俺はダメだ」
天宮詩乃「どんだけ私のこと大好きなの?」
天宮詩乃「まあ、私もゆーやいないと 生きていけないんだけどさ」
三好優弥「一緒じゃねえか」
天宮詩乃「そうだね」
天宮詩乃「私には、今ゆーやがいるもんね」
天宮詩乃「パパとママのいるところに 行くにはまだ早いよね!」
三好優弥「そうだ!」
三好優弥「今のお前は元気じゃねえか」
天宮詩乃「うん!」
三好優弥「詩乃はいつも笑顔でいてくれないとな」
三好優弥「お前はいつも笑顔でさ 周りを明るくする天使みたいな存在だ」
天宮詩乃「嬉しい」
三好優弥「もしも、お前が泣いていたら 俺が笑顔にしてやる」
天宮詩乃「ゆーやがいるだけで 充分私は笑顔になれてるよ」
天宮詩乃「本当にありがとね」
天宮詩乃「大好きだよ、ゆーや」